不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

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2012-03-14 18:08:11 | Tweet Log



Salviamo la Cappella degli Scrovegni

2012-03-14 13:21:00 | アート・文化

フィレンツェのドゥオーモ、ジョットの鐘楼、
洗礼堂のモニタリングが今週行われています。
一連の建造物がまとめて
Opera di Santa Maria del Fiore
(サンタ・マリア・デル・フィオーレ建造物管理部)の
管理下におかれてから現在まで
毎年冬の終わりに行われる恒例行事です。

高さ56メートルと42メートルのクレーン車が出動して
建物の大理石の歪み具合をチェックします。
クレーン車のなかった時代には
天頂からロープを下ろして
地道にチェックが行われており
その努力のおかげで、
現在も我々はこうした芸術建築を
鑑賞することができるのだと思うと
本当に頭の下がる思いです。
4月にはイタリアでもっとも長い腕を持つ
104メートルのクレーンが出動して
ジョットの鐘楼(84メートル)の最高部も含めた
入念なチェックが行われます。
特に今シーズンは冬の寒さが厳しかったため
大理石に与える影響も甚大であったと予想されており、
このモニタリングの結果を元に、
今後の修復・保護活動の計画が練られることになります。

このように、芸術建築物は
毎年密かに入念なチェックが続けられ
修復が重ねられてこそ、守られているのです。
もちろん建造物そのものだけでなく、
近隣の道路交通量の増減や工事などの
外的要因が建造物に及ぼす影響にも注意が必要です。

パドヴァにある
Giotto(ジョット)のフレスコ画で飾られている
Cappella degli Scrovegni(スクロヴェーニ礼拝堂)が
いわゆる外的要因による影響で崩落の可能性があると
関連団体が警鐘を鳴らしています。

礼拝堂から200メートル地点に
公会堂の建設計画が進められており
これによって
地下水・地質のバランスが
崩れる恐れがあるといわれています。
2011年に行われた調査では
公会堂建設予定地の地下の深い地層部分が
礼拝堂の地層と繋がっていることが判明しています。
したがって公会堂の建設及び完成後の利用などにより
かすかな振動が絶えず礼拝堂に与えられる可能性が高く、
それによって礼拝堂の建物そのものの
耐久性が落ちることも十分考えられます。
となると
建物の壁に描かれるフレスコ画にも
もちろん影響が出るわけです。
この公会堂の建設とは別に
近隣に104メートルの高層ビルの建築も予定されており
既にその駐車場の工事が行われています。
地表がセメントで固められてしまったことにより
周辺の水捌け、雨水の吸収力が落ちることで
地盤の緩みも心配されていますし、
また周辺の湿度が上がることによる
フレスコ画への影響なども懸念されています。

非常にデリケートな芸術作品を守るためには
入念な調査と保護活動が必要ですが
近代文明はかなり酷な試練を与えているのです。

スクロヴェーニ礼拝堂を守るための
署名運動も始められています。
10000人の署名を集める目標ですが、
まだまだ数が足りていない状況。
スクロヴェーニ礼拝堂保護に賛同される方は
下記から署名できます。
スクロヴェーニ礼拝堂を守ろう 署名運動