不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

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2012-08-08 19:04:04 | Tweet Log



La guerra del Marmo di Carrara

2012-08-08 13:55:00 | アート・文化
ミケランジェロがこよなく愛して
自分の作品には必ずここの石を使ったとも言われる
Carrara(カッラーラ)の白大理石。
彼の代表作であるDavide(ダヴィデ像)やPieta'(ピエタ像)にも
カッラーラの大理石が使われています。

そして、この周辺では今もまだ採石は続けられています。
大理石の眠る採石場は名目上は公の所有となっていますが、
実際に管理しているのはもちろんカッラーラ市です。

この大理石を巡ってここ数年熱い闘いが繰り広げられています。
市長対各採石業者はもちろん
環境保全団体は例のごとくすべての関連業者や市を相手に闘っています。
そして、市民の間には
大理石採石から輸出までの関連業界で暴利を貪っている人々に対して
そろそろ堪忍袋の緒が切れそうな雰囲気が漂ってきています。
その昔、この周辺では
石材工場も多く、
もちろん切り出し工や石材加工職人などの仕事に携わる人も多く
親族・家族の中には一人くらい
大理石の仕事に関わっている人がいたものですが、
そうした状況も時代の流れとともに変わってきています。
現在は採石場で働く人はわずか1000人となり、
(因みにカッラーラ市の人口は約6万人)
ほとんどの大理石は切り出されると
そのまま海外に持ち出されてしまうため
カッラーラ周辺での大理石加工業は廃れる一方です。

実はカッラーラ市は
大理石の産み出す資金は潤沢であるにも関わらず、
イタリアで二番目に借金の多い市町村。
これも採石場から港までの石の運び出しを容易にするための
道路整備を行ったためでもあります。

大理石を切り出すことで潤っているのは
関連会社のみという状況で
市長は公共の所有であるものを切り出していることを理由に
切り出し手数料の値上げを打出していますが、
もちろん関連業者はこれに猛反対して
裁判も起こしています。
一方環境保全団体は大理石は公共所有物であり
関連業者だけが勝手に儲けを出してはならないとし
市長が求めている切り出し手数料が安すぎるともいっています。

環境保全団体によれば
昨年1年間で切り出された大理石は約500万トンだそうで
カッラーラ市によれば
市が大理石産業から得る収入は1500万ユーロで
これを2000万ユーロにまで伸ばしたいとしています。

金と権力がからむとどこでも紛争が起きるものですが、
白大理石も自然から切り出している
地球の恩恵であることを忘れずにいたいものです。