不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

Tra la mente e il cuore 11.02.2013

2013-02-11 18:29:31 | Tra la mente e il cuore

ベネデット16世辞任表明で揺れ続けた月曜日のイタリア。

私は別のもっと下世話なニュースを検索しようと思って
(ミラノのM5線開通というニュースをね)
いつも見ているサイトを開いた瞬間に、
トップニュースが入れ替わって
教皇辞任の第一報に出くわしちゃったわけです。
最初は2行しかないニュースで
直後のラジオでも詳しいことは何も報道されず。

徐々に全容が明らかになっていったわけですが、
最初は信じられなくて驚くばかりで
エイプリルフールだったっけとか疑ってみたり。
そして、ここ数年不祥事続きの
ヴァチカン内部の様々な捜査の手が
教皇本人の身辺に及んでいるからではないのかとも疑ったりも。

結局、齢を重ねることで
教皇であることの重責に耐えられるだけの体力がなくなったから
というのが教皇ご本人が発表した辞任理由。
本人がそういうのなら、
それは尊重もしようと思うけれど、
重病を患い、公衆の面前で涎を垂らすような、
ともすれば情けないともいえる姿を晒しながら
最後の最後まで教皇であり続けた前教皇を見ているだけに
あまりにも潔い辞任表明に
実感が湧かなかったのが正直なところ。

表明全文を読んでみて、
多分裏には色々あったとしても
彼自身の気持ちは
かなりその表明文に近いものなんだろうなと思った。
そして、カトリック教会総本山のトップを辞任するって
自らの意思を表明するまでは
それこそ、
我々庶民などには想像のできない心の葛藤があり、
決意を伝えるのはとてつもない勇気が必要だったろうし。
何よりも、自分はその任務を遂行するレベルにないと
自分の無力さをも認めなくてはならないというのは
相当な謙虚さを強いられたんじゃないかと思うと、
今度献灯しに行く機会があったら、
ベネデット16世の
心の平穏のために祈ろうと思ったりもする。

教皇って少なくとも
この世の中のカトリック教会の最高位であるとはいっても
もちろん神そのものではないし、
単なる神の仕えであり、
我々と同じ世界にいて、とても人間的な部分もあって当然。
そういう一面をさらけ出したという意味では
前教皇と同じなのかもしれない。

私はベネデット16世にまったく親近感が持てず、
これまでもずっと
前教皇ジョヴァンニ・パオロ2世と比べてばかりいた。
私程度がそうなのだから、
世界にはそういう人が多かっただろうし、
ヴァチカン内部にも
そういう人は多かったんじゃないかと。
前教皇が偉大だったことは
ベネデット16世も認めてはいるけれど
ずっとその陰に生き、比べられ続けるというのも
実際にはかなりの忍耐力が必要だったんじゃないかと、
ふと思った。

教皇の辞任表明という
イタリアに居るからなおさら
その震撼の振れに敏感に触れてしまうできことで
それがどんな職務であろうと
辞任するというのは
ものすごいパワーのいることだということや
人間を比較せず
それぞれの能力で評価しなくてはということを
改めて知る機会になったかも。