超人日記・俳句

自作俳句を中心に、自作短歌や読書やクラシックの感想も書いています。

<span itemprop="headline">マタチッチのベートーヴェン交響曲全集を聞く</span>

2015-09-28 17:21:54 | 無題

ロヴロ・フォン・マタチッチのベートーヴェン交響曲全集を聞く。
ミラノRAI交響楽団との放送録音で、マタチッチ初出の全集録音である。
モノラルのライヴ録音にしては音質がいい。
ちょっと弦楽器の音の線が細いが、盛り上がるときは全体の音も厚い。
モノラル特有の彫りの浅さもある。
だが各楽器の音が綺麗に聞き取れる美点はある。
英雄、運命は名演。田園もハッとする美しさがある。
同時代のジョルジュ・ジョルジェスクを思い出させる清冽な演奏。
7番も迫力がある。
非凡な全集である。
歌うところはよく歌い豪放なところは勢いよく鳴らす。
第九は凄絶。
時々音が割れるが、比較的モノラルのライヴ録音としては
よく録れている。
ジョルジュ・ジョルジェスクの録音が同じ62年で鮮烈なステレオ録音
だったのと比較すると、62年でモノラルなのは惜しい気がする。
イタリアの歌心とマタチッチの豪放さが聞き取れる全集ではあるが
歴史的音源として聞くのが吉である。
だが思い入れを強くして聞くと、62年モノラルの音質が
気にならない圧倒的な歌心に包み込まれる瞬間が何度も訪れる。
マタチッチのファン必聴の人類のお宝である。

巨体からこの世のものと思えない心を洗う清冽な音



コメント
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