チュエボーなチューボーのクラシック中ブログ

人生の半分を過去に生きることがクラシック音楽好きのサダメなんでしょうか?

金額別レコード蒐集法(レコード芸術1965年4月号)

2014-05-14 22:27:56 | どうでもいいコーナー

レコード芸術昭和40年4月号に「金額別レコード蒐集法」という記事があります。

初めてレコードを集めたいという人のために、予算別、ジャンル別のレコード収集例が推薦されています。

5千円、1万円、3万円、5万円の予算別になっています。さらにジャンルは「交響曲・管弦楽コース」、「協奏曲・室内楽コース」(なんでこの2つが一緒?)、「声楽曲コース」、「一般コース」に分かれていますが、今回は宇野功芳先生担当の「交響曲・管弦楽コース」の、一番ビンボーな5千円の部に注目してみます。

【交響曲・管弦楽の5千円コース】
1.驚愕交響曲 クリップス ¥500
2.おもちゃの交響曲(ハイドンとあります)、ハフナー交響曲 ベンダ、カイルベルト指揮 ¥400
3.ジュピター交響曲 ベーム ¥400
4.運命交響曲 ヨッフム ¥400
5.田園交響曲 カイルベルト ¥800
6.シュトラウスワルツ集 クリップス ¥500
7.モルダウ セル ¥500
8.アルルの女第2組曲 モレル指揮 ¥450
9.ペールギュント カラヤン ¥500
10.マドンナの宝石間奏曲 P.ワルター(誰?) ¥400

なお、「好みによって一部を下記に代えても差し支えない」そうです。
1.軍隊交響曲
2.タンホイザー序曲他
3.金と銀

→50年前って5千円でこんなにたくさん買えたんだー!?って一瞬思いましたがちょっと違いました。

宇野先生は「5千円で30センチ盤を買えば三枚が限度なので、思いきって全部17センチにした。最近では盤質、録音共にたいへん向上しており、特にロンドンのエリート・シリーズには30センチをしのぐレコードさえ見られるからである。」と仰っていて納得。

↓(参考)17センチ。「運命」が一楽章ずつ4面(2枚)に収録されています。



。。。この後、雑誌の記事は1万、3万、5万コースに進みますが、目を引くような曲目がほとんどなく面白くないので割愛します。ドイツ系7割、それ以外3割というドイツ音楽崇拝定数はほぼ変わらないです。

自分がもし評論家だったら交響曲入門としてペッテションとかティシチェンコ入れますけどね(?)

この種の記事はクラシックに興味はあるけど、どのへんの曲から聞き始めていいのかわからない人々にとっての一つの指針になったことは確かだと思います。真面目な読者はここに書かれているとおりにレコードを集めていったんでしょうね。

しかし「これだけを聴いておけば大丈夫、他はいらない」っていう姿勢はお勉強や実用品に対してはしてはイイかもしれないけど趣味にとってはどうなんでしょう?掃除機や洗濯機選んでるわけじゃないんで。
雑誌等のこういうベスト・テン的な企画はクラシック音楽に対するイメージを固定化しちゃって、いつも同じような曲ばかりで退屈っていう悪い印象を一般の人たちに与え続けてきたに違いないです。

趣味の世界くらい、「これが絶対イイ、あれはダメ」でなく、もっと勝手気ままに、自由に好きなものを選びたいです。そういう雰囲気を作るお膳立てをもう少し音楽雑誌が昔からしてくれていたら現在のクラシック界はもっと楽しくなっていたんじゃないでしょか?(エラそ)