チュエボーなチューボーのクラシック中ブログ

人生の半分を過去に生きることがクラシック音楽好きのサダメなんでしょうか?

ショスタコーヴィチ・交響曲第15番日本初演(1972年5月10日)

2014-10-13 00:03:33 | 来日した演奏家

1972年(昭和47年)に初来日した国立モスクワ放送交響楽団の演奏会プログラムを200円で買って読んだら、このツアーで、世界初演されてからまだ間もないショスタコーヴィチの交響曲第15番がロジェストヴェンスキーの指揮で日本初演されていたことがわかりました。



しかも、それは6月1日(木)、東京・新宿 厚生年金会館でのこと!?



。。。と思ってページを遡ると、あらー、5月10日(水)に既に大阪フェスティバルホールで初演されちゃってるじゃないですか。東京は二度目の日本初演だったわけですね。。

↑ショスタコーヴィチのあとに悲愴。



以下は、そのプログラムの、大木正興氏(1924-1983)による曲目解説ですが、ご本人もまだ音楽を聴かれてないようなので、結果的に、一体どんな音楽なのかドキドキ期待を抱かざるを得ない文章になっています。

------
 1969年の夏、63才のショスタコーヴィチは第14番の交響曲を書きあげ、その年の冬、それはモスクワで初演されて大きな話題となりました。それから2年とたたぬ1971年の夏には彼はまた新しい交響曲の創作にとりかかり、異常な速さでそれを完成、今年1月8日、やはりモスクワで初演されたのがこの最新の第15交響曲です。この交響曲はソビエト国外ではまだ現在までのところ演奏がおこなわれておらず、レコードも出ておりません。今回の日本での演奏が国外での初の演奏ということになります。モスクワでの4ヶ月前の初演とは、指揮者は異なりますが【註:モスクワでの指揮は作曲者の息子マクシム】、オーケストラは同じです

 さて、曲については何分にもでき上がったばかりのものですから、資料も十分でなく、楽譜さえも入手できませんので、以下、タス通信と夕刊モスクワに掲載された記事とを頼りに紹介の義務を果たすことにします。

 初演の前日(1月7日)のタス通信はショスタコーヴィチの新作第15交響曲に大きな期待がかけられていること、そしてそれは翌8日に、モスクワ音楽院大ホールで演奏されることになっていると前置きして、作曲者のインタビュー記事を載せています。

「作曲は1971年の夏におこない、懸命に仕事をし、たいへん早く、ざっと2ヶ月ほどで完成しました。この曲は拡大された打楽器群を含むオーケストラのための交響曲です。初演前夜に当って私はいまとても気持がたかぶっております。国立モスクワ放送交響楽団と指揮者のマクシム・ショスタコーヴィチが最高の演奏を成功させるのに非常な努力をしたこともつけ加えておきましょう。毎度のことながら自分の作品を論ずるのはむずかしいことですが、第15交響曲が聴衆に快く受け入れられれば、もちろんとてもうれしいことです。」

(中略)さて初演直後の同じタス通信は、こんどは次のように伝えています。
「ショスタコーヴィチの第15交響曲の今夜のモスクワ初演は大成功であった。満堂に溢れる聴衆は、病後初めて公衆の前に姿をみせた作曲家に、みな立ち上がって15分間ほども嵐のような大喝采をおくった。モスクワ音楽界を代表する人物はみな音楽院大ホールに集まっていた。リヒテル、バルシャイ、フレンニコフ、コンドラシン、ヴィシネフスカヤ、コズロフスキー、そのほか著名な音楽家、批評家の顔が勢ぞろいしていた。終演後に一同はショスタコーヴィチの作曲に祝意を述べ、一般的な意見では、彼の最上の作品のひとつであるということになった。(後略)」

(この項は通信のみを手がかりに書いたものですので、あるいは報道の誤りや筆者の誤解があるかもしれません。もしそのようなことがありましたらお許しください。)
------

。。。モスクワでの世界初演のたった4ヵ月後に、しかも同じオーケストラで日本初演に接することができた聴衆の方々がうらやましいです。日本初演の条件が世界初演とほぼ一緒。予備知識のないお客さんは第1楽章のウィリアム・テルにはさぞビックリ「できた」ことでしょうね。作曲者自身が来てくれたらもっとよかったんでしょうけど。。


(公演日程について)
このツアーでは、ロジェストヴェンスキーは若きネーメ・ヤルヴィを同行させました。



ショスタコーヴィチ初演の他には、ベートーヴェンの第7交響曲、ベルリオーズの幻想交響曲、グリンカの「ルスランとリュドミラ」序曲、チャイコフスキーの三大バレエ抜粋、第5交響曲、悲愴、ピアノ協奏曲第1番(ピアノはヴィクトリア・ポストニコワ、ラフマニノフも)、プロコフィエフの第5交響曲、ショスタコーヴィチの第5交響曲、ラフマニノフのピアノ協奏曲第1番、そして諸井誠のヴァイオリンとオーケストラのための協奏組曲(黒沼ユリ子)が演奏されていますが、どの日にどちらの指揮者が指揮したのかはプログラムからはわかりませんでした。ショスタコーヴィチ15番はどちらもロジェストヴェンスキーだと当然思っていますが、本当にそうですよね?(調査します)

(画像はすべてプログラムより)