チュエボーなチューボーのクラシック中ブログ

人生の半分を過去に生きることがクラシック音楽好きのサダメなんでしょうか?

来日中のカラヤンを囲んでの座談会(1954年)

2015-08-05 21:16:39 | メモ

1954年、N響の招きで当時46歳のカラヤンが単独初来日しました。

『音楽之友』1954年6月号にカラヤンを囲んでの座談会(聞き手は前田幸市郎、田代秀穂、村田武雄)の記事が載っていましたが全体的にカラヤンの優等生的な、またはリップサービス炸裂の、正直あまり面白くない記事だと思ったので、カラヤンが指揮したNHK交響楽団について述べた感想などについてのみピックアップします。

-----------------

村田 ではN響を指揮なさった印象を伺いたいのですが。

カラヤン NHKの交響楽団はとても敏感と言うのでしょうか。センスに富んでいる。とても敏感で六十分練習していましたら、日本のオーケストラであることを忘れた位です。とても指揮しやすい交響楽団です。

村田 それは技術的水準が高いということですか。

カラヤン 技術的というより私の要求するものを非常にセンシティヴに感じる力があるということです。指揮者の思っていることをよく感じとってくれるのです。これが管弦楽の力として大切なものですから。

村田 ヨーロッパの管弦楽団の水準からしてN響はどのくらいの地位にあるのでしょうか。

カラヤン 勿論、ヨーロッパやアメリカには素晴らしいオーケストラがあります。いわゆるベスト階級のもの、ボストンやフィラデルフィアやニューヨークなどには勿論かないませんが、その次の段階には入ると思います。つまり最優秀とは言えないけれども、その最優秀のオーケストラを除けばまあ同じ位のスタンダードということができましょう。

村田 ウィーンで名高いトーンキュンストラーと比較してはどうですか。私達はレコードで聞く範囲内でしかわかりませんが。

カラヤン とんでもない。トーンキュンストラーはベストの階級です。あの管弦楽団は技術的からいっても第一流ですから比較はできません。

村田 N響の技術はどうお考えになりますか。

カラヤン 勿論随分上手で、みなさんよく訓練されているし、それから技術的にもとても素晴らしいところもあります。それはオーケストラで一番大事なことは自分の持っているものを全部外へ出すこと、全員が力をすっかり出し切ることの出来る、それが一番大事なことですが、それがかなりよく出来ます。NHK交響楽団はもっと上手になる可能性がありますね。いわば新らしい一つのホームを作ろうとする段階にあるのです。オーケストラを完成するのには多くの年月がかかります。とても忍耐がいるのです。トスカニーニの経験からしてもそうです。又私の経験からしてもそうです。

(中略)

田代 何かレコードの場合には演奏会と違った演奏の工夫をされることがあるのではないか。

カラヤン 特別、レコードのために演奏を変えたり特別組織をとったりはしておりませんが、ただレコーディングするとき、二・三分位ずつやって一番いいのをつぎ合わせてゆくので全体を通して演奏するような統一ある生気がない場合があります。

(中略)

村田(?) あなたが創設なさったイギリスのフィルハーモニア管弦楽団について伺いたいのですが、あれはほかの管弦楽団とかけ持ちの楽員ではなくて全部独立しているんですか。

カラヤン あれはレコーディングのために特に組織したオーケストラです。コロンビアがスポンスして全部独立した楽員から出来ています。数年前に作ったのですがそのわけは、録音するためにあちこち飛んで歩く必要がない、指揮者さえ来ればいつでもよい録音が出来る、そういう目的で作ったオーケストラで、もう二・三年もすると最上のものになるでしょう。非公式には演奏会もしています。

-----------------

。。。村田武雄さん、トーンキュンストラーなら当時のN響と比較できると思っていたのかも。レコードの演奏がいまひとつだった?

あと、やはりカラヤンは当時からレコーディングは所詮レコーディングだから切り貼りでいいんだと割り切っていたんですね。


学生オーケストラの先駆け!? 学習院オルフォエス音楽会

2015-08-01 23:32:28 | 学生オーケストラ

楽界社『音楽界』1908年(明治41年)8月号に「学生オーケストラバンドの先駆」として紹介された学習院オルフォエス音楽会のメンバーです。



(『学習院大学の50年 写真と図録』より)
ちょうど30人写っていますが学生というには年齢が高すぎるように見える方もいらっしゃいますね。

学習院輔仁会(ほじんかい)音楽部のルーツかと思ってホームーページを見てみたらこちらは1922年(大正11年)設立だということでした。
「オルフォエス」とは別系統なんでしょうか?さらに調べます。


NHKラジオ「朝の訪問」~芥川也寸志:エローラ交響曲

2015-08-01 00:10:31 | 日本の音楽家

NHKラジオの月刊誌、「放送文化」1961年12月号の表紙です。

当然ながらクラシック音楽に関する記事も多く、この号には「朝の訪問」という15分間の番組の収録のために岸田今日子さんが芥川也寸志氏の自宅を訪れたときの写真がありました。

話題は「エローラ交響曲」の一本絞りだったらしいです。朝っぱらからエロい音楽をよく放送したもんですね。



この交響曲をCDで聴いてみたところ、かなりハルサイだし、打楽器の扱いが昔の日本映画で使われる音楽のような雰囲気を醸し出しているとはいえ、全体的には元気が出る音楽だと思いました!

岸田さんが持っているジャケットはよく見えませんが、 Toshibaマークがあるのでストリックランド(William Strickland, 1914-1991)指揮インペリアルフィルハーモニー管弦楽団 (←Wikipediaより)のものでしょうね。