ロッキングチェアに揺られて

再発乳がんとともに、心穏やかに潔く、精一杯生きる

2016.5.1 波乱含みの旅の幕開け、おもてなしの宿で癒される

2016-05-01 21:39:32 | 
 今日から昨年9月以来の家族旅行。息子は12月の定期演奏会ホール予約のため、大学に寄ってからの出発とのこと。ちゃんと支度をしているものやら連絡も取れないし・・・と思いつつ、今朝も天気に誘われて洗濯を済ませてから家を出た。
 
 新幹線に乗り込む前に駅弁を購入。息子の分も、ということでLINEで連絡をする。うんでもすんでもないので、時間切れかと思いきや、ほどなくしてとんでもない返事が返ってきた。
 財布を失くした、とのこと。血の気が引く。旅行で高揚していた気分が一気に萎える。失意のうちに、3月に開業1周年を迎えたばかりの新幹線“かがやき”に乗り込む。あちこち見学するという気分にもならず、揺れる車内で銀行、郵便局等カードを止めるために連絡を続けること小一時間。学生証から保険証、生協のマネーチャージ済みカードも定期も、とにかく殆ど全財産が入っているというのだから、もう卒倒しそうだ。

 連休中だというのに、24時間対応の銀行や郵便局がすぐに処理をしてくれて本当に有難い。何よりヒットだったのは夫が手帳に息子の口座番号のメモを持っていてくれたこと。これがなかったらこうスムーズにはいかなかっただろう、と有難く思う。大学最寄駅の交番には届けたというが、早朝学内で落としたらしいということなので、学生がこれを拾って、何とか遺失物に届けてくれていないだろうか、と半ば諦めつつも藁にもすがる祈る思い。とにかく今出来ることは全てやった、あとは明日動くしかないから、とぐったり脱力する。

 しばらくすると、息子から「今、大学に拾得物として届いたことが確認出来た」というLINE。夫と2人、顔を見合わせる。本当に良かった。財布の中身もほぼ無事だったようだ。学外で落としたということなら、まず見つからなかっただろう。本当に良かった。それにしても息子はなぜか土壇場で悪運が強く、首の皮一枚で最悪の事態は免れている・・・。

 そんなわけで天国から地獄、再び浮上。息子といるとどうしていつもこう日々ジェットコースター状態になるのだろう。ああ、やはりまだまだ死ねない、と思いを新たにする。

 私達2人は車内でお弁当を流し込み、残念ながら雲が出ていてクッキリとは望めなかった立山連峰を車窓に眺めながら、あっという間に終点金沢に到着。息子は雷鳥の名前を持つ特急の自由席から降りてホームで待っていた。
 その恰好たるや、昨日の出張コンサートの舞台衣装であるスーツに革靴のまま。終わってそのまま朝8時からの暮れの定演の会場取りに、早朝4時半から並んだため、殆ど朝から何も摂っていないらしい。
 
 夫と息子の2人は4年前にここを訪れているけれど、私は初めて。駅を降りると、予約していたホテルの送迎バスが待っており、乗り込む。
 乗ってしまえばあっという間に到着。今は亡き義母が生前こちらには何度か訪れており、おもてなしが日本一素晴らしいとよく聞かされていた。チェックインまでの30分弱、ロビーラウンジに案内されて、波静かな七尾湾・和倉の浦のたたずまいを眺めながらお茶とお菓子で一服。お琴の生演奏中で、なんとも贅沢な時間が流れている。ほどなくしてお部屋の用意が出来ました、と案内される。

 広い館内はお土産処、お楽しみ処が軒を連ねた街道の賑わい。そぞろ歩きするのに楽しそうだ。シースルーエレベーターで客室まで上がる途中、振り返れば32メートルの長さだという加賀友禅が圧倒的。各階にお花の名前がついており、絨毯から何から全て階ごとのお花で統一されている。今日お世話になるのは朝顔の階。6月生まれの私としては何やらご縁を感じたりする。
 
 部屋に入ると、ご担当の縫子さんによってお抹茶とオリジナルの和菓子が用意され、ホッと一息。夕食で頂く日本酒を父子2人で選びつつ、幸せそうである。こちらは午前中に新幹線の中から電話した銀行や郵便局にひとまず「見つかりました」のご連絡を入れる。本人も交番に連絡。金曜日に大学でお財布を返してもらったら、銀行カードの再開やらもろもろ手続きに出向くことになった。

 息子はキャリーケースにリュック姿だけれど、なんとケースの中はスカスカ。昨日から今日の部活関連で頭が一杯で準備も出来ず、着替えもろくに持ってきていないという体たらく。一体どうするつもりだったのだろう、と思うが、この辺りには洋服屋さんもない。明日街に移動したら買い足さなければ・・・。

 源泉は熱湯というちょっぴり熱めのお風呂を堪能した。さすがに海に面している土地、お湯をなめてみると塩辛い。空中露天風呂、野天風呂など趣向を凝らした日本のいで湯のぬくもりは何よりの贅沢。極楽気分でサウナも制覇してマッサージチェアでまったりした後は、お部屋で夕食。ぐるり海に囲まれた能登半島は魚介類の宝庫。加賀野菜、能登野菜等の伝統野菜がたっぷり。去年の連続テレビ小説「まれ」でも出てきた食材があれやこれや。次から次へと供されるお料理を目と舌で味わい尽くし、お腹一杯。2人は地酒も頂いて真っ赤になっている。旅の初めはどうしたもんじゃろの~と思ったけれど、3人揃って幸せな日曜日の夜である。

 食事を済ませた後は、ゴールデンウィークの特別イベントへ是非どうぞと薦められ、無形文化財である御陣乗太鼓の舞台のフィナーレを鑑賞する。ロビー階は縁日の賑わい。射的や福引を愉しみ、お土産を物色してウロウロ。いつの間にか息子は行方不明、夫と慌てて探したところソファで早くも正体不明、寝落ちしている。疲れと寝不足と地酒が効きすぎたのか。なんとか部屋に戻ってきたと思ったら、歯も磨かずに布団になだれ込んでしまった。

 女性用にはもう一つ内装が素晴らしい小さめのお風呂もあるという。入って来なければ。
 明日は朝食を終えたら再びサンダーバードに乗って、県庁所在地金沢に移動する。
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