夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

続・豚を食す。

2004年08月10日 | 映画(番外編:小ネタいろいろ)
豚が登場する映画といえば、
誰でも知ってるのは宮崎駿監督の『紅の豚』(1992)かも。
『豚が飛ぶとき』(1993)はパブの椅子に憑いた幽霊の話。
この椅子を持ち帰ったのがきっかけで、幽霊が見えるようになる主人公。
『シックス・センス』(1999)と同じような設定でも、こちらは思いっきりファンタジー。
これは作品中に豚が登場するわけじゃなく、
豚が飛ぶぐらい、世の中には不思議なことが起こり得るという諺から。

豚の映画で私が大好きなのは『豚の報い』(1999)。
『月はどっちに出ている』(1993)、『刑務所の中』(2002)、
『クイール』(2004)などの崔洋一監督の作品で、
又吉栄喜の芥川賞受賞作を映画化したもの。

舞台は沖縄。
小澤征悦(小澤征爾の息子)が演じるのは、神の島と呼ばれる真謝島の豚小屋で生まれた正吉。
現在19歳の大学生。
あめくみちこと早坂好恵、上田真弓という、いずれも沖縄に縁の深い女優がホステス役。
正吉は彼女らの経営するスナックでアルバイト。
彼女たちをネーネーと呼ぶ。

ある晩、店内に豚が飛び込んでくる。
暴れる豚をなんとか外へ追い出すが、豚に襲われたショックで、
ホステスのひとり、和歌子のマブイ(魂)が落ちてしまう。

和歌子はすぐに正気を取り戻すが、
正吉は和歌子のマブイ込めのため、神の島へ行くことを提案。
ネーネーたちもおもしろ半分にその話に乗ることに。

実は正吉にはほかの目的があった。
十数年前に海で亡くなった父親は島の慣習に従って風葬されていたが、
風に舞ったはずの父の骨を拾いたいと思っていたのだ。

しかし、そんな思いを知らないネーネーたちは
神の島に着くと、飲んで食べて大騒ぎ。
正吉のことをこきつかい、夜になれば色気で迫る。
騒ぎすぎた末、豚の肝にあたって腹をくだす。
下痢に苦しむ姿はあまりに生々しくて笑ける。
医者役の岸部一徳も◎。

4人それぞれに洗い流したい過去があり、
神の島で失った魂を取り戻したいと願う。
はしゃぎつつもそれをかいま見せるネーネーたちと
無口な正吉が旅をともにしながら、自分の居場所を見つけてゆきます。

スナックの風情も良いし、どこまでも青い空と海は圧巻。
沖縄に酔わせてくれる映画としては、
評判の良かった『ナビィの恋』(1999)より断然好き。
何が好きなのかわからんけど、なんかすごくイイ、そんな感じなのでした。
夏になるとまた観たくなります。

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