夜な夜なシネマ

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『サン・ジャックへの道』

2007年10月12日 | 映画(さ行)
『サン・ジャックへの道』(原題: Saint Jacques...La Mecque)
監督:コリーヌ・セロー
出演:ミュリエル・ロバン,アルチュス・ドゥ・パンゲルン,
   ジャン=ピエール・ダルッサン,マリー・ビュネル他

大好きな女流監督が、こんなロードムービーでも魅せてくれました。
旅に出なあかん理由からしてサイコー。

中年の兄姉弟、ピエール、クララ、クロード。
長男のピエールは自己チューな会社経営者。
長女のクララは無神論者で高校教師。
次男のクロードは無職の酔っぱらい。
会えば罵り合いになるほど仲が悪い。

ある日、彼らのもとへ母親の訃報が届く。
弁護士から遺言を聞けば、遺産は100万ユーロと70万ユーロ相当の別荘。
母親はそれらをすべて、慈善団体に寄付するつもりだと言う。
ただし、もしもある条件を満たすなら、
子どもたち3人に相続させることにすると。

その条件とは、3人一緒に聖地巡礼の旅に出るというもの。
フランス山間部の町ル・ピュイを出発し、スペインの西の果て、
キリスト教の聖地サンティアゴ(フランス語でサン・ジャック)へ。
実に1,500km、2ヵ月におよぶ巡礼の旅を3人そろって徒歩で成し遂げた場合にのみ、
遺産を相続することができるのだ。

そんなアホな。だけどお金はほしい。
そう考えた3人は、嫌々ながらも旅に出る決意をする。

「道まかせツアー」と名づけられた、
聖地巡礼の旅に参加するのはほかにも数名。
ベテランガイドのあとに続き、歩き始める。

聖地巡礼の旅と言っても、問題の3名はもとより、
信仰心に駆られて参加している者はほとんどいません。
親からこの旅を贈られた女子高生2名。
そのうちの1名のことが好きで参加した男子学生。
唯一、純粋な信仰心の持ち主と思われるのは、
その男子学生に誘われて参加したアラブ人の少年。
しかし、イスラム教の聖地メッカに行くと思い込んでいます。
ほかに長年病気を患っていたと思われる、ワケありげな女性。

どの人物も個性的、でもどこかに実在しそう。
そして、それぞれ、悩みを抱えています。
妻がアル中だったり、浮気していたり、失読症だったり。
最初のうちは大自然のなかで携帯を手放せず、
休憩中にほぼ全員が携帯片手にわめいている姿には吹き出します。

いつのまにか観ている自分まで参加者に。
必ず元気になれる、愛すべき作品です。

同監督の『女はみんな生きている』(2001)は
メリル・ストリープ主演でリメイクされる予定。
めちゃくちゃ楽しみです。

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