夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『ヨーヨー・マと旅するシルクロード』

2017年03月30日 | 映画(や行)
『ヨーヨー・マと旅するシルクロード』(原題:The Music of Strangers)
監督:モーガン・ネヴィル
出演:ヨーヨー・マ,キナン・アズメ,ケイハン・カルホール,クリスティーナ・パト,ウー・マン,
   梅崎康二郎,ボビー・マクファーリン,オスバルド・ゴリホフ,タン・ドゥン他

前述の『わたしは、ダニエル・ブレイク』に続き、
シネ・リーブル神戸で3本ハシゴの2本目。

ヨーヨー・マは好きですし、梅田で観ようと思えば観られる機会が何度かあったのですが、
なんとなく音楽の心地よさに眠ってしまいそうでパスしてきました。
この日は3本ハシゴするにはほかに選択肢がなく。
だけど想像していたドキュメンタリーとはちょっとちがって、とてもアグレッシブ。
睡魔に襲われるひまなんてありませんでした。
私と同年代以上のお客さんで満席。人気を侮っていました。ごめんね、ヨーヨー。

さて、世界的チェリスト、ヨーヨー・マが「音の文化遺産」を世界に発信しようと
1998年に立ち上げた“シルクロード・プロジェクト”。
伝統的な音楽と現代の音楽との関わりを追求すべく、2000年にワークショップを開催。
そこに集った演奏家を中心とするメンバーが、
“シルクロード・アンサンブル”として何十カ国もで演奏会をおこなっています。
そこに至る過程、参加者の想い、演奏の様子を収めたドキュメンタリーで、
監督は『バックコーラスの歌姫(ディーバ)たち』(2013)のモーガン・ネヴィルです。

シルクロードに今も息づく民族音楽。
中国琵琶や笙、ケマンチェ、ガイタ(バグパイプ)など、伝統的な楽器の演奏家が、
伝統的な奏法のみにとらわれることなく、創意を加えて。
絶えず紛争が繰り広げられている国に生まれついた演奏家も多く、
親がそこから逃れさせるために音楽を始めさせたというケースも。
自らの国に想いを馳せ、平和を願って奏でられる音楽たち。

しかし、政治に絡められた音楽は続かないという言葉にハッとしました。
ベートーベンの時代の王が誰だったかなんて、世間は気にしないし覚えちゃいないと。

音楽で銃弾は止められない。音楽が空腹を満たすこともできない。
それでも心を豊かにすることはできるかもしれないし、
子どもたちをちょっぴり笑顔にすることはできるかもしれません。

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