夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『汚れたミルク/あるセールスマンの告発』

2017年03月24日 | 映画(や行)
『汚れたミルク/あるセールスマンの告発』(原題:Tigers)
監督:ダニス・タノヴィッチ
出演:イムラン・ハシュミ,ギータンジャリ,ダニー・ヒューストン,
   ハリド・アブダラ,アディル・フセイン他

十三で『人生フルーツ』、梅田で『3月のライオン 前編』をその間20分で行き来して、
次はTOHOシネマズ梅田からテアトル梅田へ移動。
この移動については私にしては珍しく50分間もあったので、
MARUZEN&ジュンク堂書店梅田店へ寄り道。
毎年3月号だけは必ず買っているのに今年は買い忘れしまった『映画秘宝』
棚に1冊だけ残っているのを発見。
Amazonで買わなあかんと思っていたので超ウレシイ。

ユーゴスラビア(現ボスニア)出身のダニス・タノヴィッチ監督による、
インド/フランス/イギリス作品。
パキスタンで実際にあった事件がモチーフになっているのに、
製作がなぜこれらの国になるのかわかりませんが、
主演はボリウッドの人気俳優イムラン・ハシュミ。

1994年のパキスタン。
国内の製薬会社の営業社員アヤンは、薬が売れなくて困っている。
というのも最近、大手の多国籍企業が病院に出入りし、医師らはそちらの薬を採用。
国内の薬のほうがずっと安いのに、自国製の薬は患者が望まないというのだ。
値段よりも会社の名前に皆が惹かれ、信用するという事実。

大家はもう家賃の滞納を許してくれそうにもない。
どうすればいいのかと悩んでいたところ、
新婚の妻ザイナブから多国籍企業の面接を受けるよう勧められる。
多国籍企業の採用基準は大卒以上。
ダメもとで受けに行くと、強気な態度を買われて合格する。

医師や看護師にばらまくカネまで用意してもらえる多国籍企業。
アヤンは次々に顧客を獲得し、トップセールスマンに。
ザイナブとの間に待望の子どもも生まれ、公私ともに幸せな日々が訪れる。

ところが、善意の医師フェイズから衝撃的な話を聞かされる。
アヤンは精力的に粉ミルクを売り込んできたが、
水道事情が悪いパキスタンでは、不衛生な水で溶かした粉ミルクにより、
乳幼児が死亡する事件が多発。
会社はそれを承知しながら粉ミルクの販売を続けているのだ。

自分が売った粉ミルクで子どもたちが死んでいる。
父親として、人間として誤っていると、アヤンは辞職。
世界的巨大企業の横暴を阻止しようと立ち上がるのだが……。

ご存じの方も多いかと思いますが、この多国籍企業とはネスレのこと。
本作中に一度だけではありますが、ネスレという実名も出てきます。
アヤンの告発をドキュメンタリー映画に収めようとする設定で。

ものすごく重い話なのに、なんだか軽い。
というのも、アヤンがわりと軽そうに見えてしまうのです。
残念ながら、それほど賢そうにも見えません。
会社を簡単に辞めすぎるし、考えがなさすぎる。

それを差し引いても、問題提起には十分な作品です。
発展途上国で売るだけ売っておいて、
水が不衛生なのはその国の問題だから知らんと平気で言う。
企業としての姿勢が問われます。

3本観終わって、枚方市のT-SITEへ初めて出陣、5人で飲み会。
ものすごく飲んで食べ、ちゃんと帰れたのが不思議なほど。
べろべろだったけど、良い締めくくりの楽しい一日でした。

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『3月のライオン 前編』

2017年03月23日 | 映画(さ行)
『3月のライオン 前編』
監督:大友啓史
出演:神木隆之介,有村架純,倉科カナ,染谷将太,清原果耶,佐々木蔵之介,
   加瀬亮,前田吟,甲本雅裕,板谷由夏,伊藤英明,豊川悦司他

十三から梅田へ移動。その間20分のハシゴは可能か。

前述の『人生フルーツ』を観終わったのが11:40。すぐに阪急十三駅へ。
ここで失敗したのが、思いのほか早く十三駅へ着いたということ。
十三から梅田へは、京都線、宝塚線、神戸線のいずれでも行ける。
11:48か11:50には乗れるだろうと、どの線かをメモして出かけていましたが、
もっと早く駅に着いてしもた。
京都線のホームへ上がったら、神戸線に電車が停車中なのが見え、
続いて宝塚線にも電車が入ってくるではないですか。なんか悔しい。
各駅停車でも中津駅に停まらんのは京都線だけやからと自分をなぐさめ、
結局メモしていたとおりの11:48で梅田へ。
もっと早く着けたのになぁ、TOHOシネマズ梅田へ。
とはいうものの、本作開始の12:00までは5分以上あり。余裕です、このハシゴ。

羽海野チカ原作の将棋漫画を大友啓史監督が実写映画化。
このごろ流行なのか、前後編に分けた作品。
前編がしょうもなくても渋々観に行ってしまうやん後編と思うけれど、
本作はとても面白い。渋々じゃなく喜んで、後編も観に行きます。

桐山零(神木隆之介)は、幼いころに家族を失い、
父親の友人だった将棋のプロ棋士・幸田柾近(豊川悦司)に引き取られる。
自分の居場所を得たい一心で将棋の勉強を重ねた結果、
史上5人目の中学生プロ棋士としてデビューを果たす。

しかし、やはりプロ棋士を目指していた幸田の娘・香子(有村架純)は、
プロになるのはあきらめろと父・幸田から言われ、零を激しく憎む。
家を出て行くと香子が言いはじめたことから、
責任を感じた零は自ら家を出てアパートを借り、
17歳の高校生でありながら一人で暮らすように。

ある日、先輩棋士の松本一砂(尾上寛之)や三角龍雪(中村倫也)に
スナックに連れて行かれた零は、酒を飲んで酔っぱらう。
ぶっ倒れているところを通りかかったのが川本あかり(倉科カナ)。
彼女は零を放置しておけずに自分の家へ連れ帰る。
翌朝、目覚めた零の前に、あかりとその妹で中学生のひなた(清原果耶)、
保育園児のモモ(新津ちせ)の温かく明るい笑顔が。

こうしてはじまった零と川本家の交流。
母親を亡くした川本家をあかりが切り盛り。
昼間は祖父の相米二(前田吟)が営む和菓子店を姉妹で手伝い、
夜は伯母の美咲(板谷由夏)が経営するスナックに
あかりはホステスとして勤務しているらしい。
将棋好きの相米二は、天才棋士の零と会えて大喜び。
零も川本家と過ごす時間にやすらぎを感じる。
ところがアパートに帰ると香子が待っていて……。

痛々しい神木くんと、珍しく性格の悪い女子を演じる架純ちゃん。
デブメイクで最初は誰かわからなかった、友人棋士役の染谷くん
この染谷くんには終盤泣かされました。
意地の悪い先輩棋士かと思いきや、ワラかしてくれる尾上くん。
この辺りの若者もいいけれど、それ以上にオッサン連中がいいですねぇ。
アラフィフのトヨエツ、佐々木蔵之介はもちろんのこと、
四十路に突入した加瀬亮伊藤英明も十分にオッサン。
将棋連盟会長役の岩松了斉木しげるら還暦を過ぎている爺ちゃんたちも良し。
そんななか、若手でいちばん惹かれたのは、
零の担任教師役の高橋一生かもしれません。
彼が長澤まさみと共演中のdTVのCMが映画館でもよくかかるのですが、
いつも見入ってしまいます。あの普通っぽさに惹かれる。

『聖の青春』(2016)を観たときも思ったけれど、
将棋って堂々のスポーツなんですね。
原作ファンがどう思うのかはわかりませんが、
原作未読の将棋知らずでも楽しめます。

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『人生フルーツ』

2017年03月22日 | 映画(さ行)
『人生フルーツ』
監督:伏原健之
ナレーション:樹木希林

三連休のまんなかだった日曜日、なかなかハードなハシゴを敢行。
まずはちょっとごぶさたしていた十三・第七藝術劇場へ。
この映画館はやっぱり好きです。まわりの環境も含めて(笑)、心が躍る。

東海テレビ製作ドキュメンタリーの劇場版第10弾となる本作。
これまでに『死刑弁護人』(2012)、『ヤクザと憲法』(2015)など、
話題性の高い作品を手がけています。
今回はそれらと比べるとおとなしめ。だけど穏やかで心洗われます。

愛知県春日井市の高蔵寺ニュータウンの一角に暮らす、
90歳の建築家・津端修一さんと87歳の妻・英子さんの老後をカメラに収めた作品。

修一さんは東京大学の建築学科を卒業。
日本でも数々の建築物を手がけるアントニン・レーモンドの事務所に所属し、
1955(昭和30)年の日本住宅公団発足と同時に入社。都市計画にたずさわります。
高蔵寺ニュータウンも修一さんがかかわった計画のひとつ。

しかし、完成したニュータウンは、修一さんの思い描いていたものどおりとは言えませんでした。
木々は伐採され、水辺は埋め立てられ、風の通り道はどこへやら。
経済が優先された結果、無機質な大規模団地となってしまったのです。

そんなニュータウン内の土地を300坪、修一さんと英子さんは購入。
恩師レーモンドの邸宅を再現した平屋を建てると、
そのまわりに雑木林をつくり、70種類の野菜と50種類の果実を栽培。
少しずつ少しずつ、こつこつと育てつづけて50年。
雑木林はみごとに里山の風景をよみがえらせました。

このご夫婦が本当に素敵です。
『あなた、その川を渡らないで』(2014)を観たときもそう思いましたが、
同じ日本人の話だから、本作のほうがよりいっそう。
お互いを尊重して思いやる。ひたすらいいところを見る。
修一さんが英子さんのことを「僕の最高のガールフレンドです」と紹介するときの、
英子さんのはにかんだような笑顔。
90歳になってもこんなふうに少年と少女でいられるのですね。

人への感謝の気持ちを忘れない。それをきちっと綴る。
できることからこつこつと。そうすれば見えてくるものがある。
毎日の暮らしを考えさせられるドキュメンタリーです。

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『モアナと伝説の海』

2017年03月20日 | 映画(ま行)
『モアナと伝説の海』(原題:Moana)
監督:ジョン・マスカー,ロン・クレメンツ
声の出演:アウリイ・クラヴァーリョ,ドウェイン・ジョンソン,レイチェル・ハウス,
     ジェマイン・クレメント,テムエラ・モリソン,アラン・テュディック他

前述の『xXx(トリプルX) 再起動』とハシゴ。
これもTOHOシネマズ梅田にて。

吹替版のみしか上映していない劇場も多く、
字幕版を上映しているとしても吹替版より回数が少ない。
ちょうどタイミングよく字幕版を観ることができました。

南の海に浮かぶモトゥヌイ島。
村長の娘として産まれたモアナは、いずれ村を司る役目を担うことを約束された身。
島には決して珊瑚礁を超えて外洋に出てはならないという掟があり、
現村長である父親はそれを頑なに守っているが、
モアナはそれがなぜだかわからず、外の海を見たくてたまらない。

そんなモアナに、祖母が話して聞かせてくれたのは、
かつては島民たちは海に出ていたのだという事実。
ところが、半神半人のマウイが命の女神テ・フィティの“心”を盗み、
そのせいで世界は暗黒の闇に包まれつつある。
やがて果実も魚も死に絶えてしまうだろう。
そうなる前にマウイを探し出し、テ・フィティに心を返さねばならないと。

幼い頃、海と強い結びつきを感じる体験をしたモアナ。
その様子を見ていた祖母は、モアナこそが海に選ばれし者だと信じている。
祖母に背中を押され、両親の目をかいくぐってモアナは旅立つのだが……。

やっと見つけたマウイは、モアナの話に耳を貸そうとしません。
なんとかマウイをその気にさせて、ふたりの航海が始まります。

ミュージカルアニメーション、楽しいですねぇ。
ストーリーは王道中の王道、安心して子どもさんと観られます。
絵自体はあまり好みだとは言えないのですが、海と空がとにかく綺麗。

モアナの声に抜擢されたアウリイ・クラヴァーリョはまだ14歳なのだとか。
素晴らしい歌声を聴かせてくれます。
マウイ役のドウェイン・ジョンソン、ピッタリです。
笑ったのは、どうしようもないニワトリの声がアラン・テュディックだということ。
『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(2016)ではK-2SOの声を担当、
こんな言葉にならない声ばっかり、どうして(笑)。

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『xXx(トリプルX) 再起動』

2017年03月18日 | 映画(た行)
『xXx(トリプルX) 再起動』(原題:xXx: Return of Xander Cage)
監督:D・J・カルーソー
出演:ヴィン・ディーゼル,ドニー・イェン,ディーピカー・パードゥコーン,クリス・ウー,
   ルビー・ローズ,トニー・ジャー,トニ・コレット,サミュエル・L・ジャクソン他

3月も終わりに近づいてきたので、来年度に繰り越せない有休を消化。
晩9時から北新地で食事する約束をした日、午後数時間の休みを取り、
食事の前にTOHOシネマズ梅田で2本ハシゴ。

“トリプルX”シリーズの第3弾とのことなのですが、
第1弾っていったい何年前のことだっけと思ったら、15年前なんですね。
主演をアイス・キューブとした2005年の第2弾は、日本では未公開。
第1弾以降、姿を隠していたヴィン・ディーゼル演じる主人公が探し出され、
やむを得ず任務に復帰するという設定。
時間的にこれを観るしかなくて選んだ1本でしたが、かなり楽しい。

エクストリームスポーツ界のカリスマ、ザンダー・ケイジは、
NSA(アメリカ国家安全保障局)のギボンズからその腕前を見込まれてエージェントに。
任務が終了したのち、身を隠してのんびりと過ごしてきた。

ところがある日、NSAのマルケがザンダーの前に現れ、
ギボンズがテロリストによる爆破事件に巻き込まれて死亡したという。
世界中の軍事衛星をコントロールできる危険な装置“パンドラの箱”が
謎の集団によって奪われてしまったらしく、
おそらくギボンズの死亡もそれに関係している。
隠遁するつもりだったザンダーも、ギボンズの訃報を聞かされては黙っていられない。

昔のつてを駆使して謎の集団のメンバーを突き止めたザンダーは、
パンドラの箱を奪回すべくフィリピンに乗り込むことに。
共に働く者としてマルケが用意した軍人たちを追い出し、ザンダーは仲間を呼ぶ。
ザンダーのもとに結集したのは、イカレたスタントマンのテニソン、
驚異の女スナイパーのアデル、客を興奮の渦に巻き込むDJのニック。

しかし謎の集団と相対してみれば、向こうもザンダーと同じく元エージェントたち。
いずれもギボンズが見出した凄腕、ジャン、セレーナ、タロン、ホーク。
パンドラの箱を巡って死闘が繰り広げられるが、
やがてテロリストはほかにいることがわかり……。

何が楽しいって、各国各界のアクションスターが集結している点。
『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(2016)のチアルート役も記憶に新しい、
香港のドニー・イェンがジャン役。
『マッハ!!!!!!!!』(2003)がめっちゃ楽しかったタイのトニー・ジャーがタロン役。
このふたりは本作の目玉でしょう。特にドニーのアクションは楽しすぎ。
ホーク役のマイケル・ビスピンもイギリスの格闘家です。

その他、アクションスターではないけれど、国際色豊かで、
セレーナ役のディーピカー・パードゥコーンはボリウッド女優。
ニックス役のクリス・ウーは中国のアイドルグループの旧メンバー。
それぞれに固定のファンがいそうなキャストです。
日本では劇場未公開だった第2弾の主役アイス・キューブも美味しい役回り。
ネイマールまで出演させちゃうんだから凄いです(笑)。

Xスポーツをする人ってアタマおかしいんちゃうかと思うけれど、
観ている分にはやっぱり楽しい。
再起動して続編もありそうな気配です。

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