電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

百年以上続く山形県の酒造店

2017年01月12日 06時02分15秒 | 料理住居衣服
この1月6日付けの山形新聞に、「100年以上続くわが町の老舗企業」というリストが掲載されました。要するに、正月らしい企画広告なのですが、そういえば山形県は老舗企業が多いことでも有名ですので、創業して百年以上続いている企業名がリストアップされているのはたいへん興味深いものです。

その中から、とくに意味はありませんが、いわゆる「地酒」を作っている酒造会社をひろってみました。あまり飲兵衛とはいえない当方のピックアップですので、もしかしたら誤解や間違いもあるかもしれませんが、まずは時代・年代順に社名(所在地)、創業年、時代、(私がわかる現在の代表銘柄)、の順に列記してみましょう。

羽根田酒造(鶴岡市) 1592 安土桃山時代 (羽前白梅)
高木酒造(村山市) 1615 江戸前期 (十四代)
渡會本店(鶴岡市) 1615 〃 (出羽ノ雪)
樽平酒造(川西町) 1695 〃 (樽平)
米鶴酒造(高畠町) 1704 江戸中期 (米鶴)
野沢酒造店(小国町) 1706 〃 (羽前桜川)
鯉川酒造(庄内町) 1725 〃 (鯉川)
佐藤酒造店(最上町) 1736 〃 (このきみ)
寿虎屋酒造(山形市) 1736 〃 (霞城寿)
嵐山酒造(川西町) 1736 〃 
加茂川酒造(白鷹町) 1741 〃
冨士酒造(鶴岡市) 1778 〃 (栄光富士)
後藤康太郎酒造店(高畠町) 1782 〃 (錦爛)
男山酒造(山形市) 1789 〃 (男山)
和田酒造(河北町) 1797 〃 (あら玉)
朝日川酒造(河北町) 1822 江戸後期 (朝日川)
後藤酒造店(高畠町) 1823 〃
松山酒造(酒田市) 1829 〃
楯の川酒造(酒田市) 1832 〃 (楯の川)
古澤酒造(寒河江市) 1836 〃 (澤正宗)
鈴木酒造(朝日町) 1841 〃 (豊龍)
竹の露(鶴岡市) 1858 〃 (竹の露)
新藤酒造店(米沢市) 1870 明治元〜9年
加藤富八郎酒造(鶴岡市) 1872 〃 (大山)
安部酒造店(南陽市) 1877 明治10〜19年
秀鳳酒造場(山形市) 1890 明治20〜29年 (秀鳳)
酒井ワイナリー(南陽市) 1892 〃 ※元酒造店
出羽桜酒造(天童市) 1892 〃 (出羽桜)
麓井酒造(酒田市) 1894 〃
設楽酒造店(西川町) 1896 〃 (銀嶺月山)
東の麓酒造(南陽市) 1896 〃
水戸部酒造(天童市) 1898 明治30〜39年 (山形正宗)
若乃井酒造(飯豊町) 1900 〃 (若乃井)
寺嶋酒造本舗(長井市) 1901 〃
高橋酒造店(遊佐町) 1902 〃

こうしてみると、山形県内の酒造店の多さに驚きます。また、同時期に複数の酒造店が誕生している、ある種のブームのような時期と、ほとんど酒造店が誕生しない時期とあるようだ、ということに気づきます。例えば1736年とか、1890年代などがそうです。理系の歴史オンチにはピンときませんが、もしかしたら天候が安定しお米が豊作だったり、世情が安定してお酒がよく飲まれた時代だったのかもしれません。

歴史上、工程管理に失敗して酸っぱいお酒になってしまい、破産する酒造家の話も少なくないようです。古くからの老舗は、細心の注意をはらい続けて現代に至っているとい点で、賞賛と尊敬に値すると言ってよいのでしょう。また、いくつかの老舗酒造店が合併して新会社を作っており、前身をたどればこのリストに載るべきだ、というところもあるでしょう。たしか、東根市の六歌仙(*1)なども、前身の酒造店のルーツはけっこう古いのではなかったか。

こうした歴史的な薀蓄を楽しみながら傾ける地酒は、なかなかいいものです。では、乾杯!

(*1):技のデパート「六歌仙」の魅力に迫る~人気の蔵見学

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