ふろむ播州山麓

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検証北朝鮮・延坪島ヨンピョンド事件 №11 <2010年12月4日~12月9日>

2011-01-09 | Weblog
12月4日
<北朝鮮>政府関係者は砲撃事件の被害として「4人が死亡した南朝鮮の何倍もの規模だった」として、はじめて死傷者が出たことに言及した。民間人も含まれるかどうかは不明。
 崔泰福労働党書記は、5日間の訪中を終えて帰国。中国では、呉邦国全国人民大会委員長と会談。また吉林省などを視察。胡国家主席との会談はなかった。

<韓国>金寛鎮国防相は延坪島を訪問し、将兵を激励した。


12月5日
<イラン>原子力庁のサレヒ長官は、ウラン濃縮活動に必要なイエローケーキ(ウラン精鉱)を国内で生産し、中部イスファハンのウラン転換施設に向けて初出荷したと発表。「ウラン抽出から核燃料生産までの一貫した核燃料サイクルが独力で可能になった」と述べた。

<北朝鮮>韓国軍が6日より海上射撃訓練を開始するのを前に、北朝鮮は延坪島砲撃など、挑発行為の正当化や韓国批判を繰り返している。
 朝鮮中央放送は、韓国の「挑発的狂乱により、朝鮮半島情勢は統制不能の極限状況へと突き進んでいる。南朝鮮は何としても第2の延坪島事件を作り、それに言いがかりを付けて戦争の火を放とうとしている」
 金永日労働党国際部長は、カンボジアでの国際会議の演説で、島砲撃を「南軍の領海射撃に対応した、やむを得ない自衛的措置」と主張。
朝鮮通信によると「延坪島周辺水域を南朝鮮の領海とは永遠に認めない」

<韓国>金寛鎮国防相は韓国北西部の最前線部隊を訪ね、将兵を激励した。

<米国>オバマ大統領は、中国の胡錦濤国家主席と電話会談。北朝鮮の延坪島砲撃やウラン濃縮活動を非難した。またオバマは、挑発行動は許されないとの「明確なメッセージ」を北朝鮮に伝えるため、日米韓などと足並みをそろえるよう胡首席に要請。北朝鮮抑止に向け、影響力を行使するよう中国に促した。一方の胡は、6カ国協議首席代表による緊急会合開催を提案したが、オバマは挑発的な行動を北朝鮮がやめるのが先決と、非常に強い姿勢で迫った。また胡は朝鮮半島情勢について「適切に対処しなければ、制御できなくなる可能性がある」、日米韓の軍事演習にも強い懸念を表明した。
 オバマ大統領が望んだ胡国家主席との電話協議は、砲撃事件から2週間近くも経って、やっと実現した。この時間差は米中関係冷却の象徴<米紙「ニューヨークタイムズ>。米中の対話がないまま日米韓外相会談を迎えれば、「日米韓対中朝」の構図を世界に印象付けかねない。中米が対決色を薄めるため、取りあえず対話の場をつくったという見方もある。
 ホワイトハウス高官が、中国に電話協議を申し入れていることを明らかにしたのは、砲撃事件の2日後の11月25日だった。関係国に冷静な対応を求めることで米中が早期に一致するだけでも、北朝鮮への十分な心理的圧力になると、米側は判断していた。
 しかし中国は「南北のどちらが先に砲撃したか分からない」と異議を唱え、電話協議は棚上げになってしまった。2011年1月のワシントンへの胡主席の公式訪問が迫り、米中双方にいら立ちが増し、やっと実現した電話協議であるが、何が話し合われたのか? 両国の発表は異なる。正確な内容は不明である。

◎その後、毎日新聞12月22日付(1面トップ)が、オバマ・胡の電話協議の内容を詳報した。オバマは「中国が北朝鮮を放任してきたから、こういう事態が起きたのだ」「中国が北朝鮮にしっかり対応しなければ、われわれにも考えがある」と、胡に異例の強い表現で詰め寄った。
 外交筋は「脅しに近い表現だ。翌1月(18日~21日にその後に決定)に予定されている胡主席の米国公式訪問に悪影響が及ぶ、という意味ではないか?」と推測。中国側は胡訪米を、新しい時代の中米関係に意義深い影響を与える極めて重要な訪問であると位置づけている。首脳会談を実現し、「成功させねばならない」


12月6日
<韓国>6日から韓国軍は単独で全国29カ所で海上射撃訓練を開始。延坪島には強力な多連砲ロケットを新たに配備し、自走砲も12門に倍増。北朝鮮が砲撃の理由にあげた、北方限界線NLL近くの大青島沖での射撃訓練も実施する。12日までの予定。
 韓国軍合同参謀本部は、年内に追加の米韓合同海上軍事訓練を実施することを米国側と協議中と発表した。
 延坪島砲撃で犠牲になった民間人2人の葬儀が、韓国北西部の仁川市で行われた。宋永吉市長や海兵隊幹部など100人余りが参列した。
 李大統領直属の諮問機関「国防先進化推進委員会」は、韓国軍が段階的に進める計画だった男子国民の兵役期間短縮を取りやめ、陸軍で従来の24か月に戻すべきだとの報告書をまとめた。2014年までに段階的に18カ月まで短縮する計画を進めていた。しかし少子化の中、就業人口減の問題がある。また短縮中止による国民の反対は、選挙投票にも影響する。韓国の軍備拡張の動きのなか、決断が難しい課題のようだ。

<スイス>イランと英独仏米中ロ6カ国のイラン核問題を巡る協議が、ジュネーブで1年2カ月ぶりに再開。双方の不信感は根深く、協議で何を話し合うかでも隔たりがあり、「今回の話しあいは入り口論に終始しそう」。7日までの日程。

<日本>ロシア哨戒機IL38が2機、日米共同統合演習の空域に進入し、数時間にわたり周辺を飛行した。日米の訓練は一時中断された。また領空侵犯の恐れがあるとして、航空自衛隊のF15戦闘機などが緊急発進スクランブルした。
 日米共同統合演習(実動演習)に参加している日米の3隻が、燃料補給などを目的に、舞鶴海上自衛隊北吸岸壁に入港した。日米のイージス艦「みょうこう」と「シャイロー」。海自の護衛艦「くらま」。

<米国>ワシントンを日米韓3カ国外相会談で訪れた前原誠司外相は会談後の記者会見で、「3カ国対3カ国の構図にならないように、5カ国が一致して北朝鮮に働き掛ける構図をつくることが重要だ」と語った。また前原は、斎木昭隆外務省アジア大洋州局長の名前をあげて、モスクワに派遣することを宣言した。
○ロシアはソ連時代から北朝鮮の伝統的友好国である。しかし延坪島砲撃では、名指しで北朝鮮を非難した。「中朝と溝があり、ロシアを日米韓側に引き込める」という判断があった。米国がスタインバーグ国務副長官らを北京に派遣する一方、韓国ではなく日本が別働隊として、対ロシア交渉に当たるのが適任との判断が日米韓にあった。斎木はこれから、東アジア問題のみでなく、日米韓の代表としてロシアとの交渉に当たることになったようだ。斎木は外務省アジア太平洋州局長職を降りる。彼は6カ国担当、環太平洋特使のような立場になるのであろうか。「中ロ朝vs米韓日」この構図は、<「朝」中vs「ロ」米韓日」>そして<中vs「北」ロ、米韓日>に変化していくのだろう。しかし近い未来には、<中「朝・韓」米ロ日>のような構図が誕生するかもしれない。

○森本敏・拓殖大学大学院教授は「東アジア情勢が緊迫する中、普天間基地問題で日米関係が停滞した。米国は、韓国との同盟の方がいざとなったらはるかに信頼に足ると思いはじめた」。米国はそのように日本を牽制しているのだろう。
○日本外務省幹部は「アメリカにとって優先度が高いのはイランとアフガンだ」。米国は西アジアと東アジア、両面作戦を展開するだけの余裕に乏しい。東アジアは日韓ロが中国を巻き込み、朝鮮半島問題を解消すべき。私見だが米国の本音はこのあたりにあると思う。米軍が東アジアで動員できるのは、在日在韓の米軍だけである。

<米国>軍トップのマレン統合参謀本部議長が、韓国に向かった。在韓米軍、韓国軍首脳と話し合う。


12月7日
<米国>日米韓3カ国外相会談をワシントンで開催(現地時間6日午後)。北朝鮮を非難する共同声明を発表。北朝鮮による韓国砲撃は1953年の朝鮮戦争休戦協定違反であることを確認。ウラン濃縮は国連安保理決議違反と指摘。核計画の放棄を約束した2005年の6カ国協議共同声明を守ることを求めた。安全保障分野を含めた3カ国の連携強化を確認し、砲撃とウラン濃縮施設建設を非難する共同声明を発表した。会談は約2時間半。日米韓3カ国外相会談は2006年以来の開催である。
 中国が提案した6カ国協議首席代表による緊急会合については、日米韓3カ国外相とも、北朝鮮に譲歩しない姿勢を示すため「非核化」に向けた具体的な措置と、韓国との関係改善を前提条件に挙げる原則的な対処方針を崩さなかった。北朝鮮がさらなる挑発的行為をとらないよう中国の努力に期待感を表明。米国はスタインバーグ国務副長官を、日本は斎木昭隆アジア大洋州局長を特使として、北京に派遣する。斎木はモスクワも訪問する。
 北朝鮮によるウラン濃縮や軽水炉建設をめぐり、国際原子力機関IAEAの査察官受け入れ、ウラン濃縮問題を議題とすることなどが、6カ国協議再開の条件とされたもよう。
 共同声明の要旨は、
 ①北朝鮮による韓国・延坪島砲撃を強く非難。北朝鮮の挑発的、好戦的な態度に、結束して対応する。
 ②北朝鮮によるウラン濃縮施設の建設は、国連安保理決議と、核放棄確約を盛った2005年9月の6カ国協議共同声明に違反すると非難した。
 ③6カ国協議再開には、完全で検証可能かつ不可逆的な非核化に向けた具体的措置が必要である。
 ④北朝鮮への対応で、中国、ロシアとの協力を強化。北朝鮮が6カ国協議共同声明を順守するため中国の努力に期待する。
 ⑤必要に応じて国内措置による制裁強化を含め、国連安保理決議のもとでの制裁を完全実施する。

 米政府高官は「われわれは中国が北朝鮮に『機能付与』をしてきたと考える」。「機能付与」とは、「息子が麻薬を買いに行くことを知っているのに、父親が車を貸して小遣いもやるような行動だ」と、専門家は中国を非難した。<ワシントン・ポスト7日付>
○米国が目指すのは、北朝鮮に対する「国際社会の一致した非難」。ロシアの賛成を得て中国に圧力をかけ、国連安保理で何らかの声明を出したい。しかし中国の反対姿勢は強く、「1カ国だけでも反対を続ける」見込みである。しかし年明けの1月18日~21日には胡主席が訪米し、米中首脳会談がワシントンで開かれる。中国側は北朝鮮問題を理由に、胡主席が批判されることは避けたい。
 クリントン・前原はワシントンで35分間会見した。国務長官は、2011年度以降の在日米軍駐留経費の日本側負担、いわゆる思いやり予算を早期にまとめることを希望した。また米軍普天間基地移設について引き続き協議の考えを表明した。前原は「色々な機会に協議していきたい」と語った。

<北朝鮮>「流血の衝突を避けて、南北統一問題を平和的に解決する方法は、対話と協商だ」<労働党機関紙「労働新聞」論説>

<中国>外務省の姜瑜副報道局長は、中国政府が朝鮮半島の安定に「積極的で建設的な役割を果たしていることは誰の目にも明らかだ」と、外交努力を強調した。

<日本>前原外相はワシントンで、翌1月10日~13日にも米国再訪の意向を表明した。米軍普天間基地の移設問題、春に予定されている菅首相が訪米しての安全保障の共同声明、それらについての意見交換・事前協議を行う予定。日米間で2005年に合意した「共通戦略目標」の修正も焦点。1997年に策定した日米防衛協力新指針「ガイドライン」の改定も課題。

<ミャンマー>米ヤン国務副次官補(東アジア・太平洋担当)が、4日間の日程でミャンマーを訪れた。滞在最終日の10日にはアウンサンスーチーと会談。


12月8日
<ロシア>電子偵察機IL20が1機、能登半島沖の訓練水域に侵入。11時ごろ、北海道の西方から日本海を南下。日米合同訓練空域を横切り、15時に姿を消した。ロシア太平洋艦隊のマルトフ報道官は「艦隊の日常業務として、既定の任務を遂行した。空域に関する国際法に違反していない」
 全ロシア世論調査センターは南クリール諸島(和名:北方領土)に関する世論調査の結果を発表した。11月1日のメドベージェフ大統領による国後島訪問について、82%が「正しい行動」と回答した。日本との関係悪化などを理由に「訪問すべきではなかった」という回答は5%。島の帰属について、日本と協議を続けるべきかの問いに、「続けるべき」と答えたのは22%(02年調査15%)。「協議の余地はない」は63%(同74%)。

<北朝鮮>午前9時ころ、南北境界水域にある白翎島ペンニョンド付近の自国海域に向けて、砲弾数発を発射。
 中国の戴秉国国務委員が、8日9日の日程で平壌を訪れた。金総書記は、6カ国会合開催に積極的な態度を示したという。また金は延坪島砲撃で、韓国民間人2人が死亡したことに遺憾の意を表明し、砲撃は韓国軍の軍事演習に対する「自衛的な対応措置だった」との従来からの主張を繰り返した。

<韓国>米軍のマレン統合参謀本部議長はソウルで、韓国軍の韓民求合同参謀本部議長と共同記者会見を開いた。韓国軍が自衛権行使として戦闘機やミサイルで、挑発に使用された北朝鮮の軍基地などを、即時に精密攻撃する方針について原則一致した。またマレンは日本が今後、米韓合同軍事演習に参加するなど、域内の安定に大きな役割を果たすよう求めた。米軍制服組トップが公式の会見で、米韓演習への日本の参加問題に言及するのは異例。韓国軍内では反発の声があり、日本では集団的自衛権行使を禁ずる現行憲法解釈の問題などがある。マレンは2国間訓練へのオブザーバー参加を足がかりに、本格的な3カ国協力を進めたい意向を表明。翌日の日本訪問で、自衛隊首脳とこうした防衛協力問題を話し合うと語った。

<米国>国務省高官は、ウラン濃縮施設を米国の核専門家に公開した北朝鮮が、実験レベルの濃縮施設などのほかにも関連施設をひそかに保有している可能性があり、米政府として懸念を抱いているとした。また「北朝鮮がシリアに重水炉を輸出していた」と言明。金総書記が新たにウラン濃縮技術を第三国に拡散させることへの警戒感を表明した。一連の発言は、プルトニウムに続き、ウラン濃縮という第2の核開発ルートを確保した北朝鮮への危機感が、オバマ政権内で高まっていることを示唆している。
 米民主党重鎮のリチャードソン・ニューメキシコ州知事は、16日から20日まで北朝鮮を訪問する。同州政府が現地8日に発表した。クローリー米国務次官補は、政府のメッセージなどを託さないことを明らかにした。

<ノルウェー>在米中国人学者で民主活動家の楊建利はオスロで共同通信とインタビュー。10日のノーベル平和賞授賞式には、中国国外で暮らす多数の活動家が出席するが、楊は彼らの取りまとめ役をつとめている。彼は「30年来の中国の民主化運動を国際社会が認知するという歴史的意義がある」。また「強大な国家が劉氏ひとりを、なぜそこまで恐れるのか。中国という国家は脆弱であることの証左だ」。中国内では「短期的に反発は起きるだろうが、長期的には、政府内の官僚にも、人権改善や民主化が必要との意識の変化をもたらすだろう」と述べた。


12月9日
<北朝鮮>中国の戴秉国国務委員が平壌を訪れ、金総書記と対談し「重大な共通認識」に達した。砲撃後、総書記が外国要人と会談したのははじめて。中国のメンツは保たれた形になった。中国の武大偉(朝鮮半島問題特別代表・6カ国協議議長)も同行。戴は姜鍚柱副首相とも会談し、米国や韓国との対話を促した。
 中国側が12月22日に発表したこの日の、金総書記との会見内容は、「金が米国との対話実現や関係改善のための仲介努力を、中国に要請」したというものである。また中国側も、「米朝対話が朝鮮半島の緊張を打開する鍵になる」との認識を示した。この「重大な共通認識」、北朝鮮の米国との対話希求から、東アジアの非常事態は好転していく。

◎この日の中朝会談、金総書記が依頼した「中国が共和国と米国との橋渡しをすることを望む」という驚くべき発言を機に、不安定だった半島情勢は、一気に緩む。16日から金と親しい数少ない米国人であるリチャードソンが訪朝し、金総書記の真意を確認した。そして20日の米朝の基本的合意。韓国の軍事演習の20日をもっての中止。国連安保理会合の20日をもっての閉会。すべて12月9日の「重大な共通認識」から始まった。
 それ以前の12月5日、オバマ大統領が胡国家主席と行った電話協議が大きく影響している。オバマの糾弾ともとれる対中国「胡錦濤」非難が、この日に中国の強力な対北朝鮮姿勢になり、金総書記の「中国の仲介を得て、米国との対話を行う」という決定的発言になったと思える。この日、戴は「相当に強く北朝鮮側に圧力をかけた」とされる。
いずれにしろ、12月5日のオバマの胡に対する糾弾的な電話協議。9日の平壌での中国の戴と武の金との会談。そして12月11日の北朝鮮での内乱の兆候を思わせる列車転覆事故も大ショックである。金正恩の1月8日の誕生日の祝い品を満載した列車が、何者かによって転覆させられたのである。密告と盗聴でがんじがらめの同国で、反権力のテロ行為など、ほとんど100%といっていいほど不可能なはずだ。金総書記らが受けた危機感は相当のものであろう。私見だが、米CIAが現地エージェントに指示したのであろうか?
そして12月16日に米リチャードソン知事が訪朝する。知事訪朝は私的な行動とされるが、米国の実質的な特使として平壌に入ったことは違いない。ついに、米朝両者は基本的合意に到る。その後、12月20日の韓国軍の砲撃訓練の短縮終了。同20日の国連安保理会合の突然の解散。12月20日をもって、ウラン濃縮そして延坪島を巡る混乱は、一応のピリオドを打つ。ただ予断は許されないが。

◎ペリー元米国防長官は、日経新聞のインタビューに対し、北朝鮮はすでに10発近い核爆弾を保有している可能性がある。そのため、北朝鮮は従来以上に強気の姿勢を示すのは確実である。米朝交渉が始まった場合でも、相当の曲折は避けられない。
 米朝間のハイレベル協議の前提条件として、
 ①経済制裁などの実施と一定の冷却期間。
 ②日米韓3カ国による政策すり合わせ。
 ③米国の特使選定。
 訪朝したリチャードソンに対し、北朝鮮は寧辺のウラン濃縮施設への国際原子力機関IAEA監視団受け入れを表明している。しかしギブス米大統領報道官は21日の記者会見でも、今回の訪朝は「私的な訪朝」、リチャードソンとオバマの面会の予定もない、としている。公式な特使の選定が待たれるが、ペリーは「候補としては、オルブライト元国務長官、ナン元上院議員がいる」

<北朝鮮>対韓国窓口機関の祖国平和統一委員会は「南北の武力紛争と先鋭化した情勢を打開する唯一の活路は(2つの)南北宣言の履行しかない」。韓国との協力と交流などをうたった南北宣言を挙げて、緊張緩和に言及した。

<中国>ノーベル平和賞に対抗してあらたに設立した「孔子平和賞」。台湾の元副総統の連戦を初の受賞者に選んだ。しかし受賞者は北京で行われた授賞式には来ず、代わりに選考委が「平和の天使」と呼ぶ正体不明の天使に、賞金10万元(約130万円)とトロフィーが渡された。連はスポークスマンを通じて「受賞の話しは聞いておらず、受け取る予定もない」と、コメントした。

<日本>米国のマレン統合参謀本部長は防衛省で、北沢俊美防衛相と会談。マレンは次いで自衛隊制服組トップの折木良一統合幕僚長と会談し、日米韓3カ国連携の協力関係を、戦略的レベルに引き上げるべきだとの認識を表明。また日本と韓国が「過去を乗り越え」、日米韓3カ国の合同軍事演習実現に向け努力するよう、重ねて促した。
 自衛隊と米軍は、沖縄県沖での統合演習の模様を記者団に公開した。ジョージ・ワシントンには海自から20人、近くの海自護衛艦「ひゅうが」には米軍から5人が、戦闘指揮センターで席を並べた。艦橋に立つ自衛官は「昨日はロシアの情報収集船が3000㍍の距離まで接近してきた。合同演習に興味津々なのでしょう」

<ロシア>外務省の斎木局長はモスクワを訪問し、北朝鮮への圧力などを要請した。

<インドネシア>バリ島で開かれた「バリ民主主義フォーラム」の共同議長をユドヨノ大統領と務めるため、韓国の李大統領がインドネシアを訪れた。

<マレーシア>韓国の李大統領は、「南北統一が近いと感じるし、統一に備える必要がある」。また、一日も早く平和統一を実現し「北の住民に最低限の権利を保障する責任が韓国にはある」。韓国政府関係者は「北の変化を待っているだけでは不十分である。どうしたら北朝鮮の内部に変化をもたらせるか、能動的に考える必要がある」と話した。

<韓国>「朝鮮日報」は、韓国政府が南北関係に関する方針を、韓国による北朝鮮の「吸収統一に備えることへ転換」と報じた。また2011年を「統一準備元年」と統一省は捉え、計画している。「統一税」の具体化も急速化するであろう。「吸収統一」という語には「北の反発が大きいので、明文化はしない」<12月27日付>

<2011年1月9日記。 この連載もやっと峠を過ぎました。12月21日付まで続け、取りあえずお休みしようと思っています。「東アジアを考える本雑誌」の紹介は、散発的に掲載予定です。朝鮮半島にやっと新春の陽光が差し込めたことに安堵していますが、まだまだ油断はできません。幸多かれと祈ります>
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