けさから読みだした本は『幸福の研究』。著者はデレック・ボック、元ハーバード大学長だった方です。原著刊は昨年ですが、日本語訳はつい先日、東洋経済新報社から出版されました。
この本はやはりブータンのGNHに影響され、研究執筆されています。序章はつぎのようにはじまります。「ヒマラヤ山脈の奥深く、インドと中国にはさまれた地にブータンという小さな仏教国がある」。「1960年代までブータンは外国にはほとんど知られることがなかった。貧困率、非識字率、乳児死亡率は世界各国のなかで最悪であった。しかし、1972年にこの遠い異国の地で一風変わった出来事が起こり、ブータンは世界中から注目を集めることになった。新たに即位した国王ジグミ・シンゲ・ワンチュクが、国民総生産(GNP)ではなく「国民総幸福(GNH)」を、国家の発展を測る主要な尺度とすると宣言したのである。」
この本を知ったのは、山内康一氏のブログを偶然読んだのがきっかけです。全文を引用します。タイトル<職業満足度の高い仕事は?>(2011年12月01日 12:46 山内康一)
いま読んでいる「幸福の研究」という政治学の本には、つい人に言いたくなるデータがいろいろ出てきます。原題は「The Politics of Happiness」というタイトルで、最新の幸福研究の成果を行政にいかすための本です。
そこにアメリカで職業満足度の高い仕事が出てきます。満足度順に並べると次のようになるそうです。
1)牧師
2)理学療法士
3)消防士
4)学校事務職員
5)画家・彫刻家
6)教員
7)作家
8)心理学者
9)特殊教育教員
10)電力技術者
キリスト教国で「牧師」というのは、わかる気がします。「画家・彫刻家」や「作家」等の創造的な仕事も理解できます。
興味深く思ったのは、「理学療法士」や「消防士」です。人を助ける仕事というのは、やりがいがあるのでしょう。
9番目の「特殊教育教員」は、障がい児教育の教員ですが、職業満足度が高いのは、すばらしいことだと思います。日本でもそうだとうれしいのですが。
意外ですが、医師や弁護士は10位以内に入っていません。「高収入の仕事」イコール「幸せな仕事」ではなさそうです。「投資銀行」や「コンサルティング会社」も入ってません。
なぜか「電力技術者」も入っていますが、これは謎です。詳しく理由を知りたい気がします。
こういう調査をぜひ日本でもやってみてほしいものです。将来の職業を考えている中高生や就職活動前の大学生に紹介し、やりがいのある仕事を考えるヒントにしてほしいと思います。
わたしも山内氏の意見に賛同します。そして今朝、「日経ビジネスオンライン」12月6日付で「ハーバード発、ポジティブ心理学最前線」を読みました。副題は「ハーバード大学で最も学生に人気のある授業とは?」
ベン・シャハー教授の幸福心理学講義に学生が殺到しているそうです。その助手のひとり、エイカー氏の新刊に『幸福優位 7つの法則』があります。
従来の「努力すれば、成功して、幸せになれる」という図式は、ポジティブ心理学の研究データから「幸せだからこそ、努力して、成功できる」。即ち、幸せが前提条件であることが証明されているなど、今までの常識を問い直すようなものの見方・考え方を、複数の実例を織り交ぜながら紹介している。
『幸福優位 7つの法則』、アマゾンの解説を引用します。徳間書店から本年8月に刊行されています。
「自分は幸せだ」と思える人ほど、よい結果を生んでいる。ハーバード大学で人気第1位の講師直伝! 最先端のポジティブ心理学が解き明かす「成功」と「幸福」の驚くべき関係。
世界中から秀才が集うハーバード大学で学生から絶大なる人気を集める「幸福学」講座で講師を務めた著者は、厳しい競争環境でも前向きな精神状態を作り上げて抜きんでる人と、プレッシャーに負けて行き詰る人の違いはどこにあるのかを追求。
本書では、ハーバード大生や著名企業のプロフェッショナルへの実証実験を踏まえ、成功をめざしてやみくもに努力するのではなく、幸福感や楽観主義をもつことが学業、仕事での成果に、組織の生産性向上、チームワークの強化に結びつくという事実を浮かび上がらせ、その要因を幸福優位性(ハピネス・アドバンテージ)と名付け、7つの法則にまとめた。
自己啓発から組織マネジメント、教育と幅広く応用可能で示唆に富んだ一冊。
『幸福の研究』を読み終えれば、つぎは『幸福優位 7つの法則』を読むことになりそうです。それにしても、わたしは忙し過ぎる。もっとおおらかに晴耕雨読を実践したいのですが…。
いずれにしろ、ブータンから始まった幸福革命が、ハーバードのボック学長に影響し、その潮流が同大学のシャハリーに、そしてエイカーへと続き、ハーバードの学生たちを魅了している。そしてついに日本に上陸してわたしまでが、翻訳本に捲きこまれている。仏教のいう「因縁」は世界を巡っています。だが「果」は、どこにあるのかしら?
<2011年12月6日>
この本はやはりブータンのGNHに影響され、研究執筆されています。序章はつぎのようにはじまります。「ヒマラヤ山脈の奥深く、インドと中国にはさまれた地にブータンという小さな仏教国がある」。「1960年代までブータンは外国にはほとんど知られることがなかった。貧困率、非識字率、乳児死亡率は世界各国のなかで最悪であった。しかし、1972年にこの遠い異国の地で一風変わった出来事が起こり、ブータンは世界中から注目を集めることになった。新たに即位した国王ジグミ・シンゲ・ワンチュクが、国民総生産(GNP)ではなく「国民総幸福(GNH)」を、国家の発展を測る主要な尺度とすると宣言したのである。」
この本を知ったのは、山内康一氏のブログを偶然読んだのがきっかけです。全文を引用します。タイトル<職業満足度の高い仕事は?>(2011年12月01日 12:46 山内康一)
いま読んでいる「幸福の研究」という政治学の本には、つい人に言いたくなるデータがいろいろ出てきます。原題は「The Politics of Happiness」というタイトルで、最新の幸福研究の成果を行政にいかすための本です。
そこにアメリカで職業満足度の高い仕事が出てきます。満足度順に並べると次のようになるそうです。
1)牧師
2)理学療法士
3)消防士
4)学校事務職員
5)画家・彫刻家
6)教員
7)作家
8)心理学者
9)特殊教育教員
10)電力技術者
キリスト教国で「牧師」というのは、わかる気がします。「画家・彫刻家」や「作家」等の創造的な仕事も理解できます。
興味深く思ったのは、「理学療法士」や「消防士」です。人を助ける仕事というのは、やりがいがあるのでしょう。
9番目の「特殊教育教員」は、障がい児教育の教員ですが、職業満足度が高いのは、すばらしいことだと思います。日本でもそうだとうれしいのですが。
意外ですが、医師や弁護士は10位以内に入っていません。「高収入の仕事」イコール「幸せな仕事」ではなさそうです。「投資銀行」や「コンサルティング会社」も入ってません。
なぜか「電力技術者」も入っていますが、これは謎です。詳しく理由を知りたい気がします。
こういう調査をぜひ日本でもやってみてほしいものです。将来の職業を考えている中高生や就職活動前の大学生に紹介し、やりがいのある仕事を考えるヒントにしてほしいと思います。
わたしも山内氏の意見に賛同します。そして今朝、「日経ビジネスオンライン」12月6日付で「ハーバード発、ポジティブ心理学最前線」を読みました。副題は「ハーバード大学で最も学生に人気のある授業とは?」
ベン・シャハー教授の幸福心理学講義に学生が殺到しているそうです。その助手のひとり、エイカー氏の新刊に『幸福優位 7つの法則』があります。
従来の「努力すれば、成功して、幸せになれる」という図式は、ポジティブ心理学の研究データから「幸せだからこそ、努力して、成功できる」。即ち、幸せが前提条件であることが証明されているなど、今までの常識を問い直すようなものの見方・考え方を、複数の実例を織り交ぜながら紹介している。
『幸福優位 7つの法則』、アマゾンの解説を引用します。徳間書店から本年8月に刊行されています。
「自分は幸せだ」と思える人ほど、よい結果を生んでいる。ハーバード大学で人気第1位の講師直伝! 最先端のポジティブ心理学が解き明かす「成功」と「幸福」の驚くべき関係。
世界中から秀才が集うハーバード大学で学生から絶大なる人気を集める「幸福学」講座で講師を務めた著者は、厳しい競争環境でも前向きな精神状態を作り上げて抜きんでる人と、プレッシャーに負けて行き詰る人の違いはどこにあるのかを追求。
本書では、ハーバード大生や著名企業のプロフェッショナルへの実証実験を踏まえ、成功をめざしてやみくもに努力するのではなく、幸福感や楽観主義をもつことが学業、仕事での成果に、組織の生産性向上、チームワークの強化に結びつくという事実を浮かび上がらせ、その要因を幸福優位性(ハピネス・アドバンテージ)と名付け、7つの法則にまとめた。
自己啓発から組織マネジメント、教育と幅広く応用可能で示唆に富んだ一冊。
『幸福の研究』を読み終えれば、つぎは『幸福優位 7つの法則』を読むことになりそうです。それにしても、わたしは忙し過ぎる。もっとおおらかに晴耕雨読を実践したいのですが…。
いずれにしろ、ブータンから始まった幸福革命が、ハーバードのボック学長に影響し、その潮流が同大学のシャハリーに、そしてエイカーへと続き、ハーバードの学生たちを魅了している。そしてついに日本に上陸してわたしまでが、翻訳本に捲きこまれている。仏教のいう「因縁」は世界を巡っています。だが「果」は、どこにあるのかしら?
<2011年12月6日>