南海トラフ大地震と津波。遠くない内に必ず起きるであろうとされる大災害です。内閣府は今年3月末の推計値発表に続き、8月29日に広域の想定波高を発表しました。死者は最大32万人以上。驚くべき数です。その内、津波被害者は7割の20余万人になるとしています。
最大津波高想定は34メートル。とてつもない高さです。わたしの自宅は5階建ての最上階ですが、高さを計ってみました。階段の1段がほぼ20センチです。全階段数に掛け算したら、5階の我が家の床高は地表からほぼ12メートルでした。ひとつの階が約3メートル。34メートルはそのほぼ3倍、13階建てほどです。
最高想定高34メートルとされたのは、高知県の黒潮町と土佐清水市です。30メートル以上はほかに、東京都新島村31、静岡県下田市33。
20メートル超は静岡県南伊豆町26。愛知県田原市22。三重県鳥羽市27、志摩市26、南伊勢町22。和歌山県すさみ町20。
内閣府が8月29日に発表した2メートル以上が想定される市町村別リストは、同ホームページでみることができます。長大なリストです。
記録が確認できる過去300年間の津波高記録をみると、もっと高い津波が襲来しています。1771年の八重山津波では、沖縄県石垣島宮良村で85.4メートルの記録があります。明治三陸津波(1896年)では岩手県綾里白浜で38.2メートル。昨年3月11日の津波では岩手県両石湾オイデ崎で55.6メートル。遡上高ですが、驚くべき高さです。
今回の内閣府の発表では、早く高所に退避し、また事前に適切な防災対策をとれば、人的被害を8割減らせるともいいます。今日は津波避難について考えてみます。
まず高い所に逃げることです。しかし短時間で40メートルも階段を駆けて登るのは、なかなかたいへんなことです。高齢者や足の不自由なひとには困難です。津波テンデンコでは助け無用といいます。岡や裏山の山道は、車椅子では進めません。
階段の避難タワーなどそのようなひとには無用の長物ですし、現状ではまず低すぎるようです。高い塔に登ったからといって、安全の保障もありません。
わたしなりに考えて、遠くの高いとこまで逃げずに、近くの安全な地表に留まるべきではないかと思ったりします。
ひとつはカプセルです。外洋に出る大型船は積み込んでいるそうですが、神話伝説でいうヒョウタンの発想です。数十人が乗り込める完全密封の避難ボール、現代のノアの方舟のようなカプセルです。製造費はかさむでしょうが、病院や老人施設、保育所などに常設するのも一法ではないでしょうか。ただこの非難カプセルは波に抵抗せず、ボールのようにクルクル回転します。病人が耐えられるかどうかは心配です。
もうひとつは小型シェルターです。頑丈な完全密封の防空壕かトーチカのイメージです。低地の住宅地や職場、学校の近くに設置する。遠くても数百米ほど行けば、いたるところの公園や空き地、学校敷地内などにこの施設があるようにする。
地震で停電しても自家発電で換気ができ、通信機能やトイレを備え、最低限の飲み水や食料も備蓄しておく。カプセルのように漂流せず、揺れることもありません。ただ入口の問題があります。常時開放し出入り自由であるべきですが、やはり通常は閉めておき、津波が危惧されるときは至急に解錠を無線で遠隔操作する。通常時は高い旗棹を立て、場所を示しておく。
しかし波が目前に迫ったとき、必死の体で駆けこもうとするひとのためにドアを開けるかどうか。問題は山積みでしょうが。
問題といえば、コストも大きい。国や自治体だけに頼っていては、いつまでたっても整備されないでしょう。国民の寄付を仰いでみてはどうでしょう。税金と善意の両立てです。
たとえば十万人ほどが高所に非難するとして、あと十万人くらいを収容するカプセルとシェルターを備える。1台30人収容として、三千数百台が必要です。
寄付先は住民の地元自治体を指定したり、あるいは内陸地の方なら無指定で被害が予想される市町村への配分を一任する。決して安価な装置ではないでしょうが、大津波に抗せず生き残る、ひとつの策ではないでしょうか。
<2012年9月2日>
最大津波高想定は34メートル。とてつもない高さです。わたしの自宅は5階建ての最上階ですが、高さを計ってみました。階段の1段がほぼ20センチです。全階段数に掛け算したら、5階の我が家の床高は地表からほぼ12メートルでした。ひとつの階が約3メートル。34メートルはそのほぼ3倍、13階建てほどです。
最高想定高34メートルとされたのは、高知県の黒潮町と土佐清水市です。30メートル以上はほかに、東京都新島村31、静岡県下田市33。
20メートル超は静岡県南伊豆町26。愛知県田原市22。三重県鳥羽市27、志摩市26、南伊勢町22。和歌山県すさみ町20。
内閣府が8月29日に発表した2メートル以上が想定される市町村別リストは、同ホームページでみることができます。長大なリストです。
記録が確認できる過去300年間の津波高記録をみると、もっと高い津波が襲来しています。1771年の八重山津波では、沖縄県石垣島宮良村で85.4メートルの記録があります。明治三陸津波(1896年)では岩手県綾里白浜で38.2メートル。昨年3月11日の津波では岩手県両石湾オイデ崎で55.6メートル。遡上高ですが、驚くべき高さです。
今回の内閣府の発表では、早く高所に退避し、また事前に適切な防災対策をとれば、人的被害を8割減らせるともいいます。今日は津波避難について考えてみます。
まず高い所に逃げることです。しかし短時間で40メートルも階段を駆けて登るのは、なかなかたいへんなことです。高齢者や足の不自由なひとには困難です。津波テンデンコでは助け無用といいます。岡や裏山の山道は、車椅子では進めません。
階段の避難タワーなどそのようなひとには無用の長物ですし、現状ではまず低すぎるようです。高い塔に登ったからといって、安全の保障もありません。
わたしなりに考えて、遠くの高いとこまで逃げずに、近くの安全な地表に留まるべきではないかと思ったりします。
ひとつはカプセルです。外洋に出る大型船は積み込んでいるそうですが、神話伝説でいうヒョウタンの発想です。数十人が乗り込める完全密封の避難ボール、現代のノアの方舟のようなカプセルです。製造費はかさむでしょうが、病院や老人施設、保育所などに常設するのも一法ではないでしょうか。ただこの非難カプセルは波に抵抗せず、ボールのようにクルクル回転します。病人が耐えられるかどうかは心配です。
もうひとつは小型シェルターです。頑丈な完全密封の防空壕かトーチカのイメージです。低地の住宅地や職場、学校の近くに設置する。遠くても数百米ほど行けば、いたるところの公園や空き地、学校敷地内などにこの施設があるようにする。
地震で停電しても自家発電で換気ができ、通信機能やトイレを備え、最低限の飲み水や食料も備蓄しておく。カプセルのように漂流せず、揺れることもありません。ただ入口の問題があります。常時開放し出入り自由であるべきですが、やはり通常は閉めておき、津波が危惧されるときは至急に解錠を無線で遠隔操作する。通常時は高い旗棹を立て、場所を示しておく。
しかし波が目前に迫ったとき、必死の体で駆けこもうとするひとのためにドアを開けるかどうか。問題は山積みでしょうが。
問題といえば、コストも大きい。国や自治体だけに頼っていては、いつまでたっても整備されないでしょう。国民の寄付を仰いでみてはどうでしょう。税金と善意の両立てです。
たとえば十万人ほどが高所に非難するとして、あと十万人くらいを収容するカプセルとシェルターを備える。1台30人収容として、三千数百台が必要です。
寄付先は住民の地元自治体を指定したり、あるいは内陸地の方なら無指定で被害が予想される市町村への配分を一任する。決して安価な装置ではないでしょうが、大津波に抗せず生き残る、ひとつの策ではないでしょうか。
<2012年9月2日>