ふろむ播州山麓

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ノーベル平和賞のサトヤルティ氏

2014-10-13 | Weblog
 英紙ガーディアン(電子版)は「パキスタンのティーンエージャーとインドの人権活動家が、スノーデンや法王などを負かした」と報じた。今年のノーベル平和賞の候補が例年に比べ多く、米中央情報局(CIA)元職員のエドワード・スノーデン氏やローマ法王フランシスコ、一部では有力と伝わっていた日本国憲法9条などの候補を抑えて決まったことを紹介した。インドのヒンドゥスタン・タイムズ(電子版)は「多くの人々はサトヤルティさんの名を初めて聞くだろう」と、インド人にも意外性があったことを示した。
 マララさんはあまりにも有名ですが、もう一人のサトヤルティさんはどのようなひとか? 日経新聞が対談を報じました。先進国のわたしたちが、信じられないような安価ですぐれた輸入製品を購入できるのは、発展途上国での搾取された労働生産に支えられているからではないか? 児童労働を活用するグローバルなブラック企業のおかげではないか?

<ノーベル平和賞のサトヤルティ氏 「児童労働、企業に責任」コスト優先の「強欲」批判2014/10/13付 日本経済新聞 朝刊>
 【ニューデリー=岩城聡】ノーベル平和賞受賞が決まったインドの人権活動家、カイラシュ・サトヤルティ氏(60)が、ニューデリーの事務所で日本経済新聞の取材に応じた。児童労働の撲滅に取り組んできた同氏は「児童労働は親の無関心が原因ではなく『経営者の強欲』が生み出すものだ」と述べ、解決には途上国などで事業を展開するグローバル企業の対応が重要との認識を示した。
 白い民俗衣装に身を包んだサトヤルティ氏は「私はいたって普通の人間。そんな私にこんな賞が与えられた。この賞は全てのインド人、そして全ての子どもたちにささげられたものだ」と、喜びを表現した。
 「静かな海に小さな石を投げてできたさざ波がやがて波状効果を起こす。私のやってきた活動はそんなものだ。目立たないが、何かが起こっているのだろう」と述べた。1990年代から活動を開始し、工事現場やカーペット工場などの苛烈な作業現場から救い出した子どもの人数はすでに8万人に迫る。
 「雇用主は安くて従順な労働者を求める。そして子どもは一番安価で、最も従順な被雇用者だ」と語気を強めた。インドで学校に通わず労働を強いられている子どもの数は政府統計で約435万人。実際はこの10倍以上ともいわれる。児童労働を生む最大の要因は、子どもを雇うことでコスト削減を図ろうとする企業の発想だと断言した。
 インド政府は2012年、14歳以下の子どもの労働を全面的に禁止した。しかし、製造業の発展とともに違法な児童労働は増加する懸念も向けられる。「作物であれコンピュータであれ、子どもや教育の犠牲の上に生み出されているとしたら、それは恥ずべきことだ」と、途上国の子どもが犠牲になっている現状への憂慮を口にした。
 パキスタンのマララ・ユスフザイさん(17)と共同受賞となることについて「(対立してきた印パの)国家間の友愛を進めることにつながる。我々は平和に向けて共に活動しなければならない」と述べ、今後マララさんと協力していく考えを示した。
 サトヤルティ氏は、12月10日にノルウェーのオスロで開かれる授賞式にインドのモディ首相を招待してほしいとマララさんから要請を受けたという。サトヤルティ氏は11日夜、首相に面会したが「私は政治家でもないし、(招待は)私の能力の範囲外にある」と語り、首相を直接招くことはしなかったと述べた。
<2014年10月13日>
コメント (2)
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