水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

楽しいユーモア短編集 (28)段取(だんど)り

2019年10月24日 00時00分00秒 | #小説

 段取(だんど)り・・とは、何もスポーツや棋界の昇段を目指す段のことではない。物事がスムーズに進むように事前にアレコレと手筈(てはず)を整えることで、算段(さんだん)するとも言われる。段取りが上手(うま)く出来ているとどうなるか? だが、知れたことで、物事は順調に進み成功する。成功すれば、当然、楽しい気分になる・・と、まあこうだ。段取りが悪ければ、これも当然、物事は順調にいかず、楽しい気分どころかイライラした気分になるから注意が必要だ。^^
 とある小学校の放課後の運動場である。明日、運動会の予行演習が行われる予定になっている。そのためのグラウンド整備に整備委員が残り、ライン引きで白い石灰パウダーの線をグラウンドに引いている。
「この、ひと手間(てま)が大事なんだよなっ!」
「そうそう! 僕達は影の立役者(たてやくしゃ)なんだっ!」
「立役者? 立役者って?」
「立役者っていうのは、立って仕事をする偉(えら)人のことさっ!」
「段取りをつけるから偉いのかな?」
「たぶん…。父ちゃんがこの前、歌舞伎を観に行った帰りに、そう言ってたっ!」
「ふ~~ん、そうなんだ…」
 作業を見守っていた教師は、『ははは…そりゃ、違うぞっ!』とは思ったが言わず、楽しい気分で心に留めた。
 段取りは意味が分からなくても、上手くやってしまえば楽しいから、それでいいのだ。^^

                                


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