晴れていれば、なぜか心はウキウキと楽しく、物事が捗(はかど)る。もちろん、雪の日だってウキウキとされる方もあるだろうが、大方(おおかた)は雪合戦の子供時代やスキーの青年時代で、中年以降は雪掻きのひと苦労を思い、ついつい心が萎(しぼ)むのである。雨の日に心がウキウキと楽しくなる人は、まあ少ないか、いないだろう。^^ 要は、屋外での行動が容易かそうでないか・・という点に根ざしているようだ。照る照る坊主は、それを物語る最も分かりやすい例で、雨の日の運動会や遠足が嫌われる訳だ。
明日は楽しい遠足である。準備万端、整った夜、小学二年の竹坊は、ウキウキと床(とこ)についた。もちろん、リュックや水筒は枕の前に置かれ、目覚ましもいつもより30分早くセットされている。だが、どういう訳か心が躍(おど)って、なかなか寝つけなかった。それでも、『晴れるといいな…』と思いながら、いつしか深い眠りへと落ちていった。
次の朝がきた。快晴だった。竹坊は心勇んで飛び起きると、楽しい気分で身支度(みじたく)、朝食を済ませ、20分早く家を出た。
「竹坊、どうしたの?」
お隣(となり)の同級生が怪訝(けげん)に思ったのか、声をかけた。
「なにがっ?」
「遠足は明日だよっ!」
「ええっ~~!!」
竹坊は急いで家へとUターンした。
楽しい日にならない晴れの日もある・・という、なんともお粗末なお話である。^^
完