自分が話しているときは、そうは思わないが、他人が話していることを耳にすると嫌になる・・というのが愚痴(ぐち)である。「また愚痴、零(こぼ)してるわっ!」などと楽しい気分を害されたように影で囁(ささや)かれる訳だ。^^ まあ、聞けば気分がよくないのは確かだ。
とある会社の社員食堂である。昼時だということもあり、大そう込んでいる。
「チェッ! 今日はアジフライ定食、ないのかっ!」
一人の社員が食券売り機に灯(とも)ったオレンジランプを見てボソッと愚痴った。
「別にサンマフライ定食でもいいじゃないかっ!」
「いや! サンマフライは、いかんっ! サンマは焼いておろし大根かレモンで美味(おい)しく食べるもんだっ!」
「そうなんだ…」
返された同僚社員は、『そんなの、誰が決めたんだよっ!』とは思ったが、口にはせず思うに留(とど)めた。すると、そこへ食堂のおばちゃんが現れた。
「あらっ! また、点いてるわっ! 故障かしら? すみませんねぇ~、アジフライ定食できますっ!」
それを聞いた途端、愚痴った社員の顔にオレンジランプが灯り、笑顔になった。
愚痴は愚痴る内容が消えると楽しい笑顔になる・・という当たり前の馬鹿馬鹿しいお話である。^^
完