水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

明暗ユーモア短編集 (26)道路工事

2022年01月01日 00時00分00秒 | #小説

 道路工事が明るい昼間、堂々と行われている。片側通行の渋滞が仕事を急ぐ人の妨(さまた)げとなり、日本経済は益々(ますます)、疲弊していくのであった。…などと書けば、少し誇張した物言いとなるだろうが、道路工事というものは、車の通行量が少ない暗い夜間、楚々とやってもらいたいものである。誰もがクソ忙(いそが)しい歳末にやるんかいっ!! と、苦言を(てい)したくもなるだろう。少しは慎(つつし)みというものをもって世の生業(なりわい)に携(たずさ)わって欲しいものだ。まっ! 誰もが感じる愚痴を、私が代弁させて戴いただけのことなのだが…。^^
 とある市役所の都市整備部道路課計画係である。外食から戻った二人の職員[主査]が昼食休憩をしながら話をしている。
「おいっ! 隣りの苦情係に苦情が、また殺到してるらしいぜっ!」
「そら、そうだろっ! この歳末のクソ忙しい明るい昼にっ! と、俺だって電話したくなるっ!」
「だなっ! 車の通行量が少ない、暗い夜間は無理なのかっ!?」
「お偉方が決めたことだっ! 俺に言われてもな…。しかし、昔はそんなこともあったようだが…」
「当時は労働者も仕事に使命感があったからなぁ~。最近は生活最優先っ!」
「生活水準が上がってんだから、まあ、仕方がないと言っちゃ~仕方ないがなっ!」
「ああ…。だが、渋滞で明るいうちから気分が暗くなるっていうのもなぁ~」
「苦情の電話なんか、誰もかけたくないよなっ!」
「ああ…。するだけで気分が暗くなるっ!」
 始業チャイムが響き、二人はふたたびデスクの仕事をやり始めた。
 道路工事はゲートルに地下足袋姿+鶴嘴(つるはし)→夜間→現在とエスカレートしてきたのですが、世のを明るくするため、使命感に燃え、暗い夜間にお願い致します。^^

                   完


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