水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

明暗ユーモア短編集 (34)始めと終わり

2022年01月09日 00時00分00秒 | #小説

 始めがいいと気分は明るいが、終わりが悪いと気分が暗くなる。それは当然だが、では、始めが悪くて終わりがいいとどうなのか? という話だ。全体として考えれば、孰(いず)れにしても悪い気分は味わうのだから完全に明るくはない訳だ。始めと終わりさえよければ…という話だが、その中ほど、所謂(いわゆる)、その過程[プロセス]の良し悪しも大きいことを忘れてはならないだろう。たとえ、始めと終わりが悪くとも、その過程が良ければそれでいいじゃないかっ! とも考えられる。━ 終わり良ければ全(すべ)てよし ━ という格言もあるが、まあ、どう思うかは人それぞれだろう。^^
 例によって、とある会社である。^^ 昼食を終えた二人の社員が屋上で語り合っている。
「大丈夫なのかいっ!?」
「なにがっ!?」
「俺達の会社だよっ!」
「ああ…。たぶん、ダメだろうな。始めから売り上げが悪かったからなっ!」
「そうだな…。始めから悪けりゃ、救いようがないよなっ!」
「言える…」
 それから数ヵ月後である。会社の商品は馬鹿売れして、莫大な当期純利益が計上されたのだった。社長が戦略として秘密裏に指示した商品開発が功を奏したのである。
 始めと終わりが悪くとも、人の世はその過程に意味がある・・という結論が導き出される。私の場合、どういう訳か悪くなるから、どうしようもない。^^

                   完


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