本ブログの11/2の投稿で、大阪維新の会の三橋弘幸大阪府議と上野あつし堺市議に「大阪・関西万博における生物多様性配慮」を政治課題として取り上げて欲しいと説明に上がった事について記載しました。
三橋弘幸府議からは、「大阪維新の会・大阪府・議員団の中で相談をしてみる」との言葉を頂き、これを受けて、11/22に大阪府庁で、大阪維新の会・政務調査会のメンバーを中心に7人の大阪府議の方々に同様な説明する機会を設けて頂きました。
一定の理解を頂いたと思いますが、大阪維新の会は、大阪・関西万博と、これに続くIR(統合型リゾート)に推進の立場である事から、この立場の上での配慮の検討となるとの事でした。
私の方からは、引き続いて、大阪維新の会の大阪市議の方々へも、同様な説明をさせて頂く事について要望させて頂き、了解を得たと思っています。
更に、経緯を注意を払って確認して行きたいと思っています。
以下については、私が大阪・関西万博の環境影響評価(アセス)準備書に対して、大阪市と博覧会協会に提出した意見書の内容を示しておきます。
大阪維新の会・大阪府議の方々に説明させて頂いた内容とも関連しています。
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大阪・関西万博・アセス準備書への意見について
夢洲は南港野鳥園とともに、生物多様性ホットスポットに指定されている場所です。
南港野鳥園も、過去には埋め立てが進む中、野鳥保護のために市民運動の盛り上りによって保護された場所です。夢洲でも、同じように埋め立て中に、形成された環境に生きものが再生し、また利用される場所になっているため、生物多様性ホットスポットとして指定されたものです。
この夢洲は、廃棄物の埋立て地ですが、本来はもっとゆっくりと廃棄物が埋め立てられる予定で、緑地重点地区にも指定されていました。しかし、万博やIRが決まって、廃棄物の埋立てではなく、土地造成の埋立てに変わり、この豊かな自然環境が壊され様としています。(既に壊された場所もあります。)
大阪自然環境保全協会は、この様な背景のもとに、2019年から夢洲の生きもの調査を行い、これらの結果を様々に発信されています。
これらによると、夢洲には、淡水池、塩水湿地をはじめ、様々な環境が形成され、カモ類やシギ・チドリ類が全国でも有数規模で飛来し、繁殖地にもなっています。猛禽類もたくさん見られます。
また、これを支える植生(ヨシ原、干潟、海岸植物等)が豊かに再生されており、希少種も含まれています。こうした環境は、全国でも希少な場所と言えます。
こうした夢洲において計画されている万博について、博覧会協会の環境影響評価・準備書ですが、これが、妥当な調査、予測、評価が行われていると良いのですが、次の様に多くの問題あります。
・事業計画が具体的でなく、影響を受ける生きものの生息や生育の可能性が示されていません。
・調査方法では、現地調査方法が妥当ではなく、資料調査でも抜けている生き物があります。
・影響評価すべき重要種の選定でも、追加が必要です。確認場所や採餌、休息、繁殖場所の記述もありません。
・保全や創造のための措置では、海岸性植物、草地、裸地、湿地の保護が示されてなく、これらを利用する動物に配慮されているとは言えません。
・万博の後に続くIR事業との複合的影響が示されていません。コアジサシ(2021年には夢洲で繁殖がみられています)の継続した繁殖可能な場所の確保が必要です。
・事後調査(評価書がまとまって以降の調査)は、工事着手前、工事期間中、開催期間中となっていますが、会場計画が固まっていない部分があるので、計画と連動した見直しが必要です。
等々。
こうした事から、私は、大阪自然環境保全協会がホームページに掲載されている意見書(後記にURLを表示しています)を全面的に支持します。
大阪・関西万博の誘致に際しては、夢洲の生きものの現状について、大して配慮されたとは考えられません。
また、万博アセスは、会場設営と運営だけが対象であり、現状で進められている埋め立ては、過去の廃棄物埋め立てのアセスで完了しているとされて、生物多様性ホットスポットの埋め立てが進められている現状があります。こうした点についても、対策を立てて欲しいと考えます。
むしろ、万博が決まってから、廃棄物の埋立てから、土地造成の埋め立てに目的が変わっている事が明らかなことから、現行の埋立ても含めて万博アセスの対象とすべきと考えます。
更に付け加えて、大阪府知事・市長・2025年日本国際博覧会協会・大阪港湾局に対して、現行のアセス制度を超えて、万博のあり方全体について、SDGsや生物多様性保全の観点から、もっと踏み込んだ見直しをお願いしたいと考えます。
例えば、夢洲の現状や潜在的ポテンシャルから見て、ラムサール条約湿地登録を目指すというのは、夢洲に関わる様々なステークホルダーが目指せるとても良い目標となるのではないでしょうか。
ラムサール条約が掲げる「賢明な利用」という理念は、博覧会として後世にどのようなレガシーを残すかという今博覧会協会が考えるべき論点と、とても符合すると考えます。
また仮に万博跡地がIRリゾート開発されるとしても、最近超富裕層の間でグリーンツーリズムが流行っているということを考えると、この夢洲の湿地を保全して残すことは、IRリゾート事業の収益性とも反しない、もっと魅力的な開発にもつながるのではないか、と言った面でも検討をお願いしたいと考えます。
瀬戸内海や大阪湾全体を考えた上で、夢洲の湿地の保全の価値や、次の時代でのよりよい湿地の利用のシンボルとなれる場所としての価値を、考えて頂きたいと希望します。
以上
大阪自然環境保全協会がホームページに掲載されている意見書(本文中に後記にURLを表示していますとした文書)
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「2025 年日本国際博覧会環境影響評価準備書に対する環境の保全の見地からの意見書」
URL http://www.nature.or.jp/assets/files/ACTION/yumeshima/20211105expo2025_iken.pdf