(「コロンブスの卵」が教えてくれること)
「心のなかで、まず『思い』をつくる力」は非常に大事なものであり、昔であれば、これは「魔法」に当たる部分なのかもしれません。
「コロンブスの卵」の話と同じで、何であれ、最初に思いつくことは本当に難しいものなのです。
コロンブスは、インドに向って西回りで航海し、陸地に出合ったわけですが、それを祝う席で、ある人から、「こんなことは誰にでもできる」と言われました。そこで彼は、「では、このテーブルの上にある卵を、誰か立ててみてください」と言い、誰も立てることができないのを見届けると、「こうやって立てるのです」と言って、卵の下のほうを潰(つぶ)して立てたのです。
「卵の一部を潰して立てる」ということを思いつく人は、なかなかいないものです。コロコロと転がる卵をそのまま立てようとしても立ちませんが、一部を破壊することを考えつけば、立てることができたのです。
一度、それを実行してみせれば、そのあとは誰でもできるようになるのですが、最初に思いつくことは難しいのです。これが「コロンブスの卵」の話です。
(身近な食品にも「新しいビジネスチャンス」が眠っている)
このような話は、ほかにもいくらでもあります。
今、街に行けば、薄く切られた食パンが売られています。しかし、あのようなものがもともとあったわけではなく、パンは焼きあがった状態のまま、塊(かたまり)で売られていました。
しかし、「パンを薄く切って、食べやすくしたらどうだろうか」と思いついた人がいて、そのようにしたら大いに売れたのです。
砂糖でも同じような話があります。
砂糖というものは、放っておくと空気中の水分を吸って固まってしまう性質を持っていますが、それは砂糖の欠点であり、問題点だとされていました。コーヒーにも紅茶にも、サラサラの砂糖のほうが使い出がよいと考えられていたからです。
ところが、「砂糖を最初から固めてしまえばよいのではないか」と考えた人がいたのです。それが角砂糖の始まりです。角砂糖という四角い砂糖を発明した人は、たったそれだけのアイデアで大きな富を築いたのです。
砂糖は水分を吸ったら、当然、固まりますが、その人は、「最初から固まっていたらどうだろうか」という「逆転の発想」をしたわけです。確かに、角砂糖にしたら、パックにして売るのにも持ち運ぶのにも便利です。また、角砂糖をコーヒーや紅茶のなかに入れることには、それなりに風情があって悪くありません。
しかし、「砂糖はサラサラの状態がよく、固まっていると熔けにくいので困る」と思われていたため、それまで誰も角砂糖を思いつかなかったのです。それを思いついた人は、とても儲かりました。簡単なことですが、そういうことがあるわけです。
そのように、世の中においては、ものの考え方次第で新しいものを創り出すことができます。そこには、「新しい商売のチャンス、ビジネスチャンス」や「新しい起業の芽」があるのです。
(創造性を高める「思考訓練」のヒント)
いろいろな新しい発想が求められる、特に創造性が高い職業としては、例えば、作家や芸術家などがあります。また、会社の経営者でも、新しくビジネスをつくっていく経営者などは、非常に創造性の高い仕事をしていると思います。それから、まだ世の中にないものを発明する発明家もそうでしょう。
こういう人たちは、みな非常に創造性が高いと思いますが、それだけではなく、「基本として、なすべき努力」を当然、行ってきているのです。その上で、さらに、「違う角度から物事を考えてみる」ということが大事です。
「引っ繰り返してみる。大きくしてみる。小さくしてみる。逆にしてみる。そのように、いろいろな努力をしてみると、どうなるか」ということを考え、それを行うと、思わぬ効果が現れてくることもあるのです。
そういうことを、「思考訓練」として頭のなかで考えることができる人には、いろいろと新しいチャレンジが可能になってくるわけです。
---owari---
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