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グローバルスタンダードが生み出す貧富の差

2020年11月09日 | 外国
アメリカによる「グローバルスタンダードの押し売り」のもう一つの大きな問題は、ものすごい勢いで「貧富の差」を生んだという点にあります。

なぜ、貧富の差が生まれるのか?
それは、今アメリカが言っているグローバルスタンダードは、あくまで経済的に豊かで、資金や人的資源、あるいはインフラに恵まれた国の理屈だからです。

たとえば、市場が拡大すれば、インターネットと外国語を使いこなせる優秀な人間をより多く集めなければなりませんが、そのためには高い給料を払わなければなりません。そうなると、開発途上国は先進国にとても太刀打ちできません。

それどこらか、開発途上国でせっかくすばらしい能力を持っている人が育っても、より金を稼げる先進国に行ってしまうでしょう。

あるいは、いい製品をつくろうと思ってもインフラが整備されていないとつくれません。結局、貧乏な国は金持ちの国がつくった製品を高い金を払って買わなければならなくなります。

また、世界が一体になるにつれ、モノの値段、特に農作物など一次産品は安くなる傾向があります。インターネットで一瞬にして情報が駆け巡るのですから、より安いほうから売れていくわけです。

たとえば今、原油価格が下がって産油国は苦しんでいますが、他国より高くするともう買ってもらえません。世界的な不況が続いて需要が減っている現在はなおさらです。

その結果、先進国はより豊かに、開発途上国はより貧乏になっています。
この現象は国対国の関係だけに限りません。同じ国内でも、金持ちはますます金持ちになり、貧乏人はますます貧乏になっていきます。

それは、グローバルスタンダード発祥の地であるアメリカも、決して例外ではありません。アメリカでも中間層とされていた人々の所得が急激に減少し、貧困層へと転がり落ちる人が急増しています。

そうした白人貧困層の憤懣(ふんまん)をうまくたきつけたのが、一躍旋風を巻き起こしたトランプ大統領です。トランプ氏はたとえば、「日本から数百万台の自動車が来るのに、アメリカはほとんど売っていない。コマツのトラクターにキャタピラーが痛めつけられているのも為替操作のせいだ」と日本をやり玉に挙げて反撃します。

それはまさに日米間で貿易摩擦が大きな問題となった1980年代を彷彿(ほうふつ)させる一方的な発言にすぎないのですが、そうした過激な発言が、貧しくなり、強い不公平感を抱えた人々の心をつかんでいるのです。

そもそもグローバルスタンダードを声高に叫んでいる国際金融資本や多国籍企業にとって、国境はまったく関係ありません。自分たちが儲かるためなら、どこ国の国民がどうなろうと関係ないし、知ったことではないのです。

しかし、彼らは近い将来、痛い思いをすることになるでしょう。
日本はいち早く、そうした国際金融資本の腹黒さに気づいて対処してきていますし、世界の国々からも、そうしたアメリカ発の国際金融資本・多国籍企業への反発が起きています。

かつては「アメリカの金融は進んでいる。アメリカの金融商品はすばらしい」と思い、「これからはとにかくグローバルスタンダードだ」と口にしていた人たちも、「アメリカの金融商品って、どうせ悪徳商品だろう」「多国籍企業ってあやしいぞ」と考えるようになっています。早く言えば、「信用」の消滅です。

金融とはもともと信用のことですが、一般の人にはよくわかりません。そこにつけ込んで、インチキな信用創造やインチキな信用の売買が行われて、ある日一挙にバレたのがリーマン・ショックでした。

そして世界中がアメリカ発の国際金融資本や多国籍企業の暗躍に気づくと、それと同時にアメリカによる支配体制が崩れようとしています。

その先に見えているのはアメリカ経済の激しい凋落です。
今のアメリカはもはやモノをつくっていません。たとえば、アップルのコンピューターやスマートフォンが人件費の安いメキシコや中国、東南アジアでつくられていることはよく知られています。もはや、アメリカの経済において工業が占める割合はわずかなものになっています。

そのアメリカの経済を支えているのが金融業とサービス業ですが、サービス業は外国に持っていけないから割合が大きくなっているだけで、新たな富を生み出しているわけではありません。

つまり、金融がダメになると、残るのは農業とシェールガスなどの資源のみとなり、アメリカ経済自体が崩壊する恐れがあるのです。

アメリカ経済と、プーチンのロシア経済が似てきました。

---owari---
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