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増税支持派読者さんの主張について

2024年10月24日 | 政治・経済
今日も国際関係アナリスト・北野 幸伯さんのメルマガからお伝えします。

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全世界のRPE読者の皆さま、こんにちは! 北野です。

皆さんご存知のように、私は「裏金問題」より【 大増税問題 】の方が深刻だと考えています。
毎回載せていますが、岸田さんには驚愕の【 長い増税リスト 】がありました。

@@@絶対必読 「長い増税リスト」↓

そこで、今回の自民党総裁選で私は、「反増税派」の3人を支持していました。
「消費減税」を掲げる青山さん、「増税ゼロ宣言」をした茂木さん、「積極財政派」の高市さんです。

しかし、「反増税派」は敗北しました。
そして、【 大増税派 】の石破さんが総理になったのです。
石破さんは、岸田さんから引き継いだ「長い増税リスト」を粛々と実行するでしょう。
さらに、ご自身は、「法人税」と「金融所得税」の増税を掲げています。

それだけでなく、石破さんは、9人の総裁候補の中で、唯一「消費税率のさらなる引き上げ」を否定しなかった。
要するに、石破さんが長期政権になれば、消費税率を(たとえば)15%に引き上げる可能性もでてきます。

結果、日本【 暗黒の40年 】は確定でしょう。

そこで私は、今回の衆議院選挙について二つの提案をしました。
1、【 大増税派 】石破自民党と、【 総理時代消費税率を5%から10%に引き上げることを決めた】野田立憲民主党以外の政党に入れる。
2、できれば「減税を掲げている政党」に入れる。
(@減税を掲げている政党は、国民民主、維新、参政党、共産党、れいわ、日本保守党です。)

さらに補足として、
3、総裁選決選投票で反増税派高市さんに入れた自民党議員には入れる。
森永卓郎教授によると、国民負担率は1980年の30.5%だったのが、今では47.5%まで増えている。
石破政権が長期になれば、これが50%、60%と増えていく可能性が高まります。

ですから私は、石破さんになるべく早く辞めていただいて、「反増税」の総理大臣(たとえば高市さん)が誕生するのを願っているのです。

しかし、読者さんの中には、「増税賛成」の方もいるようです。
Tさまからのメールをご紹介させていただきます。

〈北野様
北野さんのメルマガ、いつも概ね同感して拝見させていただいています。
しかし、最近の増税に関するご主張には違和感を覚えます。
石破首相の政策の法人税増税と金融所得の所得税増税について、国民を搾取する増税と常づね主張されていますが、これらの税金は支払い能力のある階層から徴収するものです。

1970-80年代の高度成長時代では、法人税実効税率は50%、所得税の最高税率は75%でした。
消費税はなく、贅沢品にかかる物品税がありました。
それが今や、法人税は25%、所得税の最高税率は50%を切っています。
しかも金融所得に対する税率は20%。

このような税制が貧富の差をもたらしているのが明らかではありませんか!
大企業の要請に従って法人税を減税し、増えた税引き後利益を配当の増額(これは資産家を利するもの)にまわし、それでも残った利益は利益剰余金、即ち内部留保として蓄積して、その総額は今や600兆円にもなっています。

国家予算の5年分ですよ!
石破さんが法人税税率を50%にして、金融所得税率を累進課税にしてくれるなら、北野さん!おおいに賛成すべきではないですか!

もちろん、増えた税金は防衛費に回すのではなく、経済再生に国家予算を投入するのです。
大企業べったりの自民党に富裕層増税を期待すること難しいとは思いますが、せっかくそれに近いことを石破さんが言っているなら、是非乗るべきではないでしょうか。ついでに所得税の最高税率も上げてほしいものです。〉
――

Tさま、ご意見ありがとうございます。
どんなご意見でも、文面が丁寧であれば、落ち着いてお答えすることができます。

Tさまの主張の重要部分をまとめてみましょう。
・1970-80年代の高度成長時代、法人税実効税率は50%、所得税の最高税率は75%だった。
・それが今や、法人税は25%、所得税の最高税率は50%を切っている。金融所得に対する税率は20%。

・このような税制が貧富の差をもたらしている。
・だから法人税率を50%にし、金融所得税を累進課税にし、所得税の最高税率を上げるべきである。

Tさまのご意見は、どれも論理的で、理解できるものです。
私は、二つの理由で、増税に反対したいと思います。

一つ目の理由は、1970年代~80年代と現在とでは、「時代が変わった」ということです。
つまり、「いい悪い」はともかく、「グローバル化」が進んでしまった。

すると、どうなるでしょうか?
たとえば、日本の法人税が50%として、他国の法人税が15%だとしましょう。
日本企業、特に力のある企業は、法人税の安い他国に引っ越すでしょう。

このことは、富裕層にもいえることです。
日本の所得税率は、最高45%です。
しかし、市民税もあるので、実質55%です。

私の知り合いの「メルマガ長者」「YouTube長者」「個人投資家長者」は、シンガポールなどに引っ越すことがとても多いのです。

なぜでしょうか?
シンガポールの所得税最高税率は24%なのです。
たとえば税引き前所得1億円の人がいるとしましょう。
この人が日本に住んでいたら、5500万円を税金で取られ、手元には4500万円しか残りません。

この人がシンガポールに住んでいれば、税率は(24%ではなく)23%。
2300万円税金を納め、手元には7700万円のこります。
日本とシンガポールで手元に残る金額は、なんと3200万円も違います。
これは、地方で家を建てることができる金額です。

富裕層が日本を捨てて、シンガポールに逃げる理由がわかるでしょう。
私がいいたいのは、「金持ちからどんどんとればいい!」というのは、グローバル時代には通用しないということです。
金持ちは、個人でも企業でも、もっと税金の安い国に逃げることができるのです。

そして、金持ちが逃げ出す国に未来はありません。
たとえば、私が28年住んでいたロシアをみてください。
ロシアからは、金持ちが大挙して逃げ出した時が何度もありました。

1917年のロシア革命後。
1991年のソ連崩壊後。
2022年のウクライナ侵略開始後。
いつでも逃げ出すのは、「逃げ出せる金や能力、知識がある人たち」です。
2022年のウクライナ侵略開始後も、逃げたのは、逃げても暮らせる富裕層や、外国でも職を見つけられるITの専門家などが多かったのです。

私は、何がいいたいのか?
いい悪いはともかく、グローバル化が進んでいます。
グローバル化の時代には、金持ち企業、金持ち個人を、国が「いくらでも金をひき出せる都合のいいATM」のように考えることはできない。

逃げてしまうからです。
グローバル化時代の国家は、国民が逃げたくなる国ではなく、とどまりたい国を作る必要があります。

日本はすでに、国民がとどまりたい国です。
28年間外国に住んでいた私にはわかります。
小学1年生が一人で登校して、誰も気にしない。
そんな安全な国は、おそらく日本しかありません。

ちなみに、モスクワでは、普通12歳ぐらいまで毎日子供を学校まで送迎しています。
危ないから。

ただ、日本は「重税国家」なのです。
年収1500万円の商社の友人には、二人の子供がいます。
「3人目は?」と聞くと、「ムリ!税金が高すぎて、余裕が全然ない」と答えました。

この国では、年収が1500万円の人も、「3人目はムリ!」と考えてしまう。
そんな中、岸田さんは、「異次元の少子化対策を進めるために、国民の皆さんにご負担いただきたい」などというのです。

そうではなく、税金を安くしてくれれば、友人も「3人目いこう!」となるでしょう。
岸田さんも石破さんも、「どこまで増税したら止まるのか」さっぱり見えません。

2019年には消費税が上がった。
2020年、2021年は新型コロナパンデミック大不況だった。
2022年、2023年は、ウクライナ戦争大インフレだった。
お店は閉まり、会社は倒産し、〇〇さんが「過労死した」「自殺した」という話を、しばしば聞きました。

こんな中で、岸田さんは、「増税します!」という。
ネット民の誰かが憤り、「増税クソメガネ!」と名づけ、それが拡散された。

理解できます。
▼衰退する国家観、繁栄する国家観
増税に反対するもう一つの理由。
もっと根本的な国家観レベルの話をしたいと思います。

フランス革命のスローガンは、「自由、平等、友愛」でした。
友愛に文句をいう人はありません。
しかし、自由と平等は、同時に実現できるのでしょうか?

小学校で自由にかけっこさせたら、足の速い子と遅い子で、ものすごく差がつきます。
これが自由に走らせた結果です。
結果は、平等ではありません。

では、平等にするためには、どうすればいいのでしょうか?
みんなで手をつないで走らせる。
そうすると、みんな同時にゴールできます。
これは、平等です。

しかし、足の一番遅い子以外の子供は「全力で走る自由」を奪われています。
そう、平等にするためには、「自由を奪わなければならない」のです。
結局、「自由にすれば不平等になり、平等にすれば自由は制限される」という結論になります。

そこで、「自由を主に、平等を従」にした国がアメリカです。
一方、「平等を主に、自由を従」にした国が「万民平等」を掲げたソ連でした。
米ソ冷戦というのは、見方によっては、「自由と平等の戦い」だったのです。

では、どっちが勝ったのでしょうか?
そう、「自由が主で、平等が従」のアメリカが勝ったのです。
私がモスクワに留学したのは、ソ連最末期の1990年です。

私はこの目で、「平等陣営の超大国ソ連」を目撃しました。
そこで見たのは、想像もできないほど貧しい国でした。
平等を目指す共産主義がダメであることは、たとえば韓国と北朝鮮の例を見ればわかります。

同じ民族の人々が二つの国家を創った。
韓国の一人当たりGDPは2023年、約33000度ルで、世界32位です。
北朝鮮の一人当たりGDPは1316ドル程度だそうです。

出所↓

自由、民主主義、資本主義体制が、平等、一党独裁、社会主義・共産主義体制よりも優れていることは、西ドイツと東ドイツの例でも証明されています。

なぜ、「平等絶対主義」は滅びるのでしょうか?
簡単にわかります。
かけっこの例で。

みんな平等にするために、手をつないで走らせました。
その時、みんなは誰のスピードに合わせて走っていますか?
そう、一番足の遅い子に合わせて走るのです。
だから、完全平等な社会をつくろうとすれば、「もっとも足の遅い子にみんなが合わせて」走らざるを得ません。

結果、「足の速い子はどこまでも走っていいよ」という自由な国と比べて、圧倒的に競争力のない国になってしまうのです。

▼自由と平等の調和が大事
とはいえ、「完全自由にさせていたら貧富の差がどんどん広がる」というのも事実です。
実はロシア、2000年から2021年まで、所得税率一律13%という、メチャクチャ税金の安い国でした。

結果、とんでもなく貧富の差が開いた社会になってしまいました。
モスクワに住んでいた私は、「やはりフラット税は無理だ」と思いました。
ちなみにロシア、来年の所得税率は、13%、15%、18%、20%、22%になるそうです。

結局、累進課税を導入したのです。
わかったのは、「自由全ふり」でも「平等全ふり」でもダメだということです。
自由と平等の最適なバランスを探していく必要があるのでしょう。

まとめると、
・世界には、「自由を重視する国」と「平等を重視する国」がある。
・「平等を重視した国」具体的に言うと共産主義陣営は、ほとんど滅びた。(中国は、金儲けの自由を導入し、生き残った。)
・冷戦の結果から、繁栄する国は、「自由が主、平等が従」であることがわかる。

・一方、衰退する国は、「平等が主、自由が従」であることがわかる。
・とはいえ、完全自由にすると貧富の差がどこまでも広がるので、累進課税も必要である。
というのが私の考えです。

そして、日本国民や日本企業の負担率はすでに十分高いため、これ以上の増税はすべきでないと考えます。
高市さんの、「経済成長を実現することで税収を上げていく」という考えを支持します。

以上、長くなりましたが、Tさんのメールに関する私の意見でした。

皆さんは、どう思われますか?

---owari---
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