今日も国際関係アナリスト・北野 幸伯さんのメルマガからお伝えします。
今日のテーマ「自民党総裁選」はすでに石破新総裁で決着がついていますが、岸田政権の問題点を浮き彫りにしている記事なので、皆さまにお知らせします。
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全世界のRPE読者の皆さま、こんにちは! 北野です。
自民党総裁選、盛り上がっていますね。
「裏金問題」で国民の信頼を失った自民党の作戦は、以下のようなものと推測されます。
1、不人気な岸田さんに辞めていただく。
2、「クリーンなイメージ」の人に、新総裁=新総理になってもらう。
3、国民は、裏金問題をすっかり忘れる。
4、新総理の支持率が高いうちに、なるはやで解散、総選挙を実施。
5、自民圧勝!
こういう「シナリオ」にぴったりなのが、小泉進次郎さんです。
若くて、イケメンで、英語を話せて、奥さん美人で。
まさに、「クリーンなイメージ」ですね。
「進次郎さんなら、国民も裏金問題を忘れてくれるだろう」と。
しかし、私たちは総裁選について、「別の見方」をしています。
【 岸田大増税路線 】を「止めてくれる人」を選ぶ必要があると。
「・・・・・岸田大増税路線とか大げさだな~。防衛増税だけでしょ?」
いえいえいえいえ。
岸田さんのは、ただの増税路線ではありません。
まさに【 『大』 増税路線 】です。
「大」をつけなければ、正確な表現ではないのです。
『税理士法人プライムタックス』のHPから。
(@防衛増税は、まだ実施されていませんが、時期が決まっていないだけです。
〈・たばこ増税
本体は健康の観点からたばこの消費を抑制するためのものだが、防衛費の財源として24年より増税予定。
・所得増税
防衛費を確保するため24年から増税は決定しているが、定額減税が所得税から行われるため矛盾するとして時期検討中。
・復興特別所得税の延長
3.11復興目的に37年までの予定だが、防衛費増のために14~20年延長が議論中。
・給与所得控除の廃止
現行は30%控除されているが3%に減率することでサラリーマンには大打撃の可能性。
・配偶者控除の廃止
扶養控除のない15歳以下との公平性確保と女性の「年収の壁」問題解消のために廃止を検討。
・生命保険料控除の廃止
生命保険は元本よりも大きなお金がもらえる可能性がある点が個人投資と変わらないとされ、見直しを検討中。
・退職金の非課税枠を廃止
「勤続年数×40万円」の控除が認められていたが、雇用の流動性を妨げているとして廃止が検討されている。
・扶養控除の縮小
扶養控除の縮小が見直される見込み。
一方、児童手当を高校生まで支給対象に広げ控除縮小とのバランスが問われている。
・法人増税
防衛費確保のため付加税方式で4%~4.5%を予定。
中小企業などへの配慮として、上乗せ分を計算する際、法人税額から「所得が2400万円の相当の税額」を控除予定。
・法人税の控除縮小
賃上げによる税優遇措置で3%以上賃上げした大企業の控除縮小案が中小企業への優遇と同時に検討されている。
大企業には実質的に増税になる可能性がある。
・後期高齢者医療保険の負担増
出産育児一時金の一部を75歳以上も負担するようになる。
段階的に負担対象者を増やす方針で、
24年4月からは年収211万円超の人を対象に月平均430円を徴収。
25年4月からは年収153万円超の人を対象に月平均430円を徴収。
・生前贈与の持ち戻し期間延長
生前贈与制度に関するもので死亡の3年前から7年前に課税対象期間を延長する。
・結婚・子育て資金の贈与特例廃止
1千万円以下は非課税だった結婚・子育て資金の一括贈与特例を廃止。
・教育資金一括贈与廃止
教育資金の一括贈与が26年3月末で廃止予定。
・介護保険料負担増
1割負担から2割負担に移行する対象者を大幅に拡大する見込み。
・国民年金納付期間延長
少子化による財源不足の補填策として保険料の納付期間を5年延長して65歳までとする。
・公的医療保険の上乗せ
「異次元の少子化対策」として財源を探し回った結果、歳出改革後の足りない分を「支援金制度」という名目で
国民一人約500円程度の増額が検討されている。
・森林環境税の創設
23年度に終了予定の特別復興住民税に替わり、森林環境贈与税とは同額の森林環境税が新設される。
・厚生年金支給減額
現行で平均14万6000円支給されている厚生年金額を見直す。
保険料負担は重くなる一方、受給額が減額される。
・走行距離課税の新設
車の走行距離に合わせて課税しようというもの。
しかし従来の車とハイブリッド、電気自動車等の問題やカーシェアリングなど課題は残る。
・ケアプランの有料化
介護保険サービスを受ける際のケアプラン(介護計画)費用の有料化を検討中。〉
出所はこちら↓
どうですか?
ただの「増税路線」ではないですよね?
まさに【 大 増税路線 】です。
9人の候補者の中で、大増税路線を止めてくれそうなのは、二人しかいません。
一人は、【 増税ゼロ宣言 】をした茂木さんです。
もう一人は、「積極財政路線」の高市さんです。
ちなみに高市さんは、『報道ステーション』9月12日の中で、防衛増税について、
・私は、閣議決定前に「今は防衛増税のタイミングではない」といってもめ事を起こしていた。
・今は、景気、経済をよくすることが大前提。
・GDPを大きくする、税収を増やす、そのための策を練らなくてはいけない。
・外為特会だけみても、30兆円ほど使えるお金がある。
・安倍総理は、「次の世代に祖国を残すために」「防衛国債も必要だ」と語っていた。
・今、海上自衛隊は建設国債を使えるようになったが、これを陸上自衛隊も航空自衛隊も使えるようにするべき。
・増税については、景気を腰折れさせては何にもならない。
・経済成長をしっかりみてタイミングを考える。今は反対。
とのことでした。
高市さんは、「経済成長最優先」で、防衛費の増加分は、外為特会や建設国債でまかなうという考えです。
他7人の候補は、軒並み「防衛増税賛成!」です。
茂木さんと高市さん、現状「勝てる確率」が高いのは、高市さんです。
というのも、世論調査を見ると、1位石破さん、2位小泉さん、3位高市さんという順番だからです。
ですが、自民党の党員・党友でなければ、総裁選に投票できません。
約110万人といわれる自民党の党員・党友は、誰を支持しているのでしょうか?
日本テレビの「告示前」の調査によると、
1位 石破 28%
2位 小泉 18%
3位 高市 17%
(以下、上川7%、小林5%、林4%、河野3%、茂木2%、加藤2%)
ところが、「告示後」の調査では、
1位 石破 25%(マイナス3%)
2位 高市 22%(プラス5%)
3位 小泉 19%(プラス1%)
(以下、上川9%、小林5%、林5%、河野3%、茂木3%、加藤1%)
出所はこちら。↓
「告示後」は、高市さんが2位に浮上しています。
まだまだわかりませんが、石破さんと高市さんの決選投票になる可能性がでてきました。
あるいは、小泉さんと高市さんの決選投票。
既述のように、「国民に裏金問題を忘れさせるために、若くて、イケメンで、クリーンなイメージの人物を総理にしよう」という自民党の作戦からいうと小泉さんが最有力候補です。
しかし、一方で小泉さんには、【 二つの弱点 】があります。
▼小泉進次郎、二つの弱点とは?
一つ目の弱点は、小泉さんが掲げている政策が【 魅力的でない 】ということです。
小泉さんは、「三つの改革を1年でやる!」と断言しています。
「三つの改革」とは?
1、政治改革
2、人生の選択肢
3、聖域なき規制改革
1、政治改革 = 旧文通費の使途公開と残金の国庫返納の義務付け
これ、国民としては是非やっていただきたい。
ところが、議員さんは当然やりたくないですよね。
党員・党友はともかく、議員さんたちは「小泉さんになったら旧文通費の使途を公開しなければならなくなる。自由に使えなくなるぞ!」と考えるでしょう。
「国民に内緒で〇さをつづけられなくなるぞ」と。
これ、議員さんたちは困りますから、「小泉さんに投票しないでおこう」となるかもしれません。
2、人生の選択肢 = 選択的夫婦別姓の導入
これ、党員・党友、議員さんの「リベラル派」はウェルカムでしょう。
しかし、保守派はこれで「小泉さんに入れるのはやめよう」となるでしょう。
3、聖域なき規制改革 = 労働市場の流動化に向けて雇用規制の見直し
小泉さんが掲げる政策で、最大の問題はこれですね。
「雇用規制の見直し」ですが、国民からは、「小泉さんは【 リストラしやすくする 】つもりだ」と受け取られています。
小泉さんは、「そうではない!」と言っていますが、「そうでない説明」がうまくできないのです。
というわけで、小泉さん1番目の弱点は、掲げている政策が【 魅力的でない 】ことでした。
二つ目の弱点は、小泉さんが若くて、経験が少ないことと関係しています。
小泉さんは43歳。
イケメンで、英語が堪能で、奥さん美人。
とても「クリーンなイメージ」で、国民に裏金問題を忘れさせるには最適な人物でしょう。
しかし、若さは、武器にもなるし、同時に弱点にもなります。
そう、あまり経験がない。
たとえば、9人の候補のうち、上川さんは現職の外相。
林さん、茂木さん、河野さんは「前あるいは元外相」です。
また、林さん、河野さん、石破さんは元防衛大臣です。
「そうそうたるメンバー」の中で、小泉さんの閣僚経験は、「環境大臣」だけ。
それで、あまりいろいろな分野に精通していないのでしょう。
その結果、テレビで9人並んで話すと、どうしても、若くて経験不足で「あまり知らない感」が際立ってしまいます。
というわけで、小泉さんには、二つの弱点があるという話でした。
いずれの弱点も、「致命的になり得る」ものだと思います。
高市さんが総理になる可能性が高まっているようです。
---owari---
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