(「家を建てなければ嫁が来ない」という名古屋の“常識”を知る)
前回に、車の量が増える日のことを「五十日」と言うと述べましたが、さらに、部長からは、「こんなこと、大学までに習ったことは一度もないんだろう?だから、『君、五十日を知らないんじゃないか』と言っているんだ。それで、ほかにも幾(いく)つか気になるところがある」ということで、それ以外にも気になるところを指摘(してき)されたのですが、あれもこれもと、けっこう出てきました。
例えば、「名古屋のあたりで結婚する場合には、男は家一軒(けん)建てなければいけない」と言われたのですが、そんなことは知っているわけがありません。「え? マンションでは駄目なんですか。アパートでは駄目なんですか」と訊(き)き返すと、こう教えてくれました。
「いや、家一軒建てなければいけない。ただ、女性のほうにも義務はあって、男性が家を建ててくれる替(か)わりに、トラック三台分の荷物を運び込まなければいけないんだ。
まあ、『そんなの知るか』と言いたいところだろうけれども、地元ではそういう流儀(りゅうぎ)があるわけで、伝統や名前のある地元の人たちは、そういうことは常識として頭のなかに入った上で話をするもんだ。
なぜかというと、商売を始めるのでも、『アパートやマンションに住んでいる』というのは、それは夜逃げができるということだ。要するに、『夜逃げができるから、信用がない』ということを意味するわけだ。
夫はちゃんと自分で建てた家を持っていて、奥さんもトラック三台分で運び込むぐらいの家財道具を持っているというのは、『すぐに夜逃げができる態勢ではない』ということだから、商売の相手にも、逃げられる前に差し押さえができるということは分かる。『すぐに逃げられない』ということで、家を持っていないと信用されないということがあるんだよ」
こうした話を初めて聞くと、「ほう、そんなものなのか」とは思うものの、やはり、「知らないものは知らない」ということはあるでしょう。
ときどき、このようなギャップが出ることもあって、普通の人であれば知っていると思われるようなことのなかに、自分は知らないことが出てきたときに、恥(はじ)をかくこともあるのではないでしょうか。
---owari---
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