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ウクライナの相撲道

2015年12月09日 | 外国

旅行口コミサイトのトリップアドバイザーは、「外国人に人気の日本観光スポット2015」をランキング形式で公開した。3位までは昨年と変わらずだったが、日本の伝統芸能の剣舞や相撲などが新たな人気となっていた。

上位1位から3位は、昨年と同じスポットである『伏見稲荷大社』『広島平和記念資料館』『厳島神社』が根強い定番の観光地として人気を集めた。

その一方で、昨年のランク外から今年は12の観光スポットがランクインした。
その中に相撲観戦ができる『両国国技館』が入っており、「日本の伝統文化に魅了される外国人も年々増えてきていることを示している」と分析されている。

『両国国技館』には、「相撲レスリングは東京での素晴らしい経験のひとつになった。素晴らしい文化的な識見を与えてくれた」「両国国技館に行ったら相撲レスリングに恋に落ちた」といった口コミも寄せられ、他のスポーツにとは異なる相撲の魅力に虜になる外国人も多いようだとコメントされていた。

実際に、国際相撲連盟による世界相撲選手権大会は毎年開催されており、今年は8月に大阪府堺市の大浜公園相撲場で行なわれた。男女の成年・未成年が軽量、中量、重量、無差別の4階級に分かれ、約30カ国から集った力士がしのぎを削った。

この大会で注目されたのが、ウクライナの相撲チームでした。
チームを引っ張るのは、チーム総監督のセルゲイ・ヴィクトロヴィッチさん。

セルゲイさんはロシア発祥の格闘技サンボの元・世界チャンピオンで、ある時「相撲の大会に出てみないか」との依頼を受けた。そして1997年唯一のウクライナ代表として相撲大会に出場した。決勝で敗れたセルゲイさんに、勝った力士が手を差し伸べてきた時にセルゲイさんが「なぜ?」と聞くと「当たり前だろ」と返ってきたとして、敗者に敬意を払う精神に感動したセルゲイさんは、1999年にウクライナ相撲協会を設立したのでした。

ウクライナはレスリング大国としても知られているが、棒高跳び元世界記録保持者の鳥人・セルゲイ・ブブカが有名である。

今回、日本のテレビ局が世界大会の1週間前にセルゲイさんに密着した。
練習場の体育館を訪れると大声で稽古をつけるセルゲイさんの姿があった。稽古は礼から始まり、四股、運び足、などと日本と変わらない様子だったが、まわしを取らない取り組み稽古を行っていた。セルゲイさんはレスリングの練習法を相撲に取り入れており、まわしを取らないスピード勝負の相撲を確立させた。

セルゲイさんはレスリングから優秀な選手をスカウトしてきた。今大会では3人の女子に期待していると話した。その3人のうち、2人が優勝し、もう一人も準優勝した。
ウクライナは女子団体でも金メダルを獲得、計3つの金メダルを獲得したのです。

大会翌日、セルゲイさんは選手団を連れて、奈良県葛城市にある当麻蹴速(たいまのけはや)塚をお参りした。当麻蹴速は相撲の起源とされる天皇の前で行われた力比べで負けてしまった人物。


セルゲイさんは負けた人物なのに石碑に祀られ敬意が払われている日本の相撲道は、自分の鍛錬と相手を思いやる気持ちを大切にしている。私はそんな相撲道をウクライナで伝えていきたいと話した。

日本の柔道や剣道、弓道などは勝つことが最大の目的ではありません。その競技を通じて、どのように自分が成長できるか、その道を極めることができるかが最大の目的なのです。


勝つことのみを目標とする欧米のスポーツと人間の成人、成長を目指す日本の競技はそこが大きく違っているのです。


---owari---

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