(リーダーになったら、人を育てる努力を)
しかし、尖った錐が人を突き刺すように、欠点をえぐったり、失敗を指摘したりして人を傷つけているだけでは、大きな仕事はできません。この「嚢中の錐(のうちゅうきり)」は、やがて、大きな器として成長していかなければならないのです。
頭の良さを、人を傷つける方向にだけ発揮することがあってはなりません。リーダーになったら、どのような人に対しても、「その人の能力に応じて、その人を伸ばしていく」という努力をしてください。
例えば、優れた能力を持っている人に対しては、さらに上を目指すように指導します。天才的な人はあまりいませんが、そういう人がいれば、その人も伸ばします。平均的な人の場合、その人の長所を伸ばし、短所を直していきます。また、平均以下の人に対しては、普通の水準の仕事ができるようになるまで何とか持ち上げていきます。
そういう各人に合わせた教育方法をとりながら、人を育てていくことが大事です。
それから、「チームワークによって人をまとめる」ということが大事です。
「何人かでチームをつくり、一つのプロジェクトとして大きな案件をやり遂げる」という体験は大切なものです。
こういうリーダーとしての力は非常に大きなものであり、学校のテストでは測れない能力なのです。「五人、十人、あるいは、それ以上の人をまとめながら、大きな仕事をやり遂げていく」という力は、学校のテストでは絶対に測れません。これは、実社会においてのみ現れてくる能力です。
そして、このリーダーとしての力は、あなたがたが持っている「心の広さ」と「寛容さ」、そして、「度量」によって出てくるものなのです。
「単に自分一人の才能だけを突出させて伸ばせばよい」というものではありません。人にはそれぞれの特徴があるので、「それぞれの人を、それぞれに伸ばしていく」ということを考えながら、「チーム全体として力を増していく」という方向を目指すことが大事なのです。それが良きリーダーの資格でもあります。
どうか、そういうことを忘れず、心の片隅に持っておいていただきたいと思います。
---owari---
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