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中世を経ない国は暴走する

2020年02月11日 | 日本
近代化の特徴の一つは経済的満足の追求で、そのとき精神的満足の追求は後回しにした国と、すでに完了した国の二種類がある。

後回しにして暴走した国はアメリカで、ヨーロッパからの“棄民(きみん:戦争や災害などで困窮している人々を、国家が見捨てること。また、その人々。)”同然の人々が移住してつくった国だから、幸福とはまず貧困からの脱出で、それ以外の精神は未熟だから経済的価値に突出したともいえる。

それは中世がないからで、彼らはいきなり古代ギリシアに自分たちの文明・文化の根拠を求めた。中世に価値を認めるとヨーロッパを捨てた自分たちを否定することになってしまうからである。

それが無意識にも表れているのはワシントンの街並みを見ればわかる。官庁がすべてギリシア風建築で正面に高い円柱を何本も建てている。地方へ行っても州政府や州議会の建物が同じようなかたちをしている。

ギリシアへの傾斜の結果かどうか、アメリカには長らく奴隷制があった。ギリシア・ローマの文明が奴隷制の上に立っていたのはいうまでもない。ヨーロッパ諸国は「脱ローマ」の過程で奴隷制を廃止して農奴制になり、また自営農民をつくったが、アメリカにはその歴史がない。アメリカは古代の上に突如近代を継ぎ足したような珍しい国で、その点は中国とよく似ている。

近年「日米中の正三角形の関係をつくろう」と唱えている人は、こういうことを知らないか、または日本の豊かな中世の成功や成熟、蓄積を認めたくない人たちである。歴史のある国はだいたいが三階建てか四階建てで、古代・中世・近代・現代と積み上げられている。

ほとんどの国は欠落だらけで連続性がないが、日本は全部そろっている。そういう自己認識に立ってこれからの国際関係や同盟づくりを考える必要がある。

ちなみに中国は古代と中世はあるが、近代がない。そこで、いま近代化にまっしぐらといいたいが、彼らはそれを「現代化」という。なぜなら近代化というと、そのお手本は日本になってしまうからで、それをパスして現代化で勝負したいのである。異常な軍拡はその表れだが、近代を経験していない弱みを彼らは自覚できていない。

韓国も同じだが、彼らに現代化は無理である。中国は二階から四階に上がるのに三階部分は縄梯子だが、韓国は一階から四階に上がるための二階、三階部分には縄梯子すらない。日本がつくった都市や社会資本、社会制度を「日帝三十六年の支配」といって否定したからである。気合で跳躍しようというのは勇壮だが、見かけだけの現代化では国際社会から相手にされない。

---owari---
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