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NHKは受信料徴収の最高裁判決で本当に勝訴したのか?

2018年01月31日 | 政治・経済

結論を先に述べておきたいと思います。NHKが勝訴したのは受信料の支払いを拒否した被告(一般人)に対して、最高裁が受信料支払いの義務を正面から認める判決を下したことです。

 

しかし、NHKが本当に勝ち取りたかったことについては、敗訴したのです。これについて、お話します。

 

メディアでは、最高裁でNHKが勝訴したので、「受信料についてはテレビを設置して以降の分、全額を支払わなければならない」と報じたのです。

 

NHKも記者会見を開き、今回の最高裁判決にNHKは勝訴したと語りましたが、それは真実ではありません。それをあたかも勝訴したかのよう報道する他のメディアも問題だと思うのです。

 

確かに、最高裁はNHKの受信料制度は合憲であるとの判断を初めて下しました。これは間違いありません。しかしながら、NHK1審(東京地裁)でも2審(東京高裁)でも、「受信者に契約締結の受諾を命じ、受信料248640円の支払いを命じる」と判決が出ていながら、なぜ、最高裁まで控訴(上告)したのでしょうか。

 

それは、受信契約について、2審(高裁20131218判決)で“NHKが申し立てた時点で自動的に契約は成立しない”という判決だったため、NHKはどうしても“NHKが申し立てた時点で自動的に契約は成立する”という判決内容が欲しかったからです。このため、2審の判決を不服として、最高裁に上告していたものでした。

 

そして、この受信契約の成立について、最高裁は2審(高裁)の判決内容を支持し、“NHKが申し立てた時点で自動的に契約は成立しない”ということが確定したのです。この結果、この点において実質、NHKは最高裁で敗訴したということなのです。

 

最高裁は、「NHKが申し立てた時点で契約は成立しない」と判決しましたが、その代わり、「契約拒否を承認に変更する裁判は認める」との2審の判決内容も認めました。どういうことかと言えば、NHKが対象者に対して訴訟すれば、裁判をして契約承認を勝ち取ることができるというものです。

 

しかしながら、これではNHK 11件裁判をして契約承認を勝ち取るということになり、全部契約を勝ち取ることは現実的でないということです。現在、未契約世帯は912万件以上にのぼるため、NHKが対象者全員に対して訴訟することは実質不可能なことです。

 

NHKから言うと、最高裁のこの判決は受信料を全員から取れないというとんでもない判決ということになり、訴訟には時間も労力もお金もかかるということです。また、集金人が家庭を回って契約することは実質できないという判決でもあるわけです。

 

このため、NHKはホテルや旅館の大口対象者をターゲットに訴訟を起こしています。

昨年3月、東京地裁がビジネスホテルチェーン大手の「東横イン」に19億円余の支払いを命じています。NHKは東横インに、全客室分の受信料を払え、過去2年間の34000室分の未払い料金を払えと要求していたのですが、裁判所はNHKの主張をほぼ全面的に認めたのです。

 

NHKの新たな受信料獲得作戦は、ホテルや旅館に対して、テレビを備えている客室毎に受信料を徴収するというものです。言論テレビで作家の門田隆将氏が次のように語った。「いま受信料は地上波とBSで合わせて月額3590円です。旅館とホテルを合わせて現在約160万の客室があります。各々テレビがついている。NHKはその全室から月額3590円を取ろうと言うのです。これは年額689億円になります」

 

NHKは強欲だ。今回の裁判の被告側代理人の一人、林いづみ弁護士が警告した。

「今回の最高裁判決はテレビについてですが、今後インターネット端末にもこの理論が適用されれば重大な影響がでます。時代に合う徴収のあり方はもはや立法の問題だと私は考えます。国民がどう考えるかが重要です」

 

最高裁は「表現の自由」と「知る権利」の重要性を指摘した。ならば問わなければならない。NHKは放送者として国民の知る権利を真に満たしているのかと。彼らは放送の公正さを規定した放送法四条をまったく満たしていないと、強調したい。NHKの偏向報道ぶりは加計学園問題の事例からも明らかだ。放送の公正さを求めるには、やはり立法府を動かすしかない。それには私たち国民の意識が何よりも大事だと訴えているのです。

 

現在、どこにいてもインターネットを介して簡易迅速かつ無料で数多くの情報が得られ、かつ、その情報も一方だけに偏らない様々な内容のものがリアルタイムで得られるようになった昨今において、これらの面で劣るNHKをなおも特別扱いし、公共メディアとして支え続け、今後も存続させる必要があるのか、といった点がクローズアップされるのではないだろうか。

 

国民的な議論を要するテーマだが、NHKがこうした点について説得力のある説明をつけられなければ、これからもNHKの来訪に居留守を使ったり、感情論から受信料の支払いを拒絶しようとする世帯が後を絶たないのではないだろうか。

 

インターネットが放送を飲み込もうというこの時代に、テレビ受信機が家にあるからという理由で「受信料」を一方的に徴収するのは制度として無理があるのではないのでしょうか。

 

NHKが受信料制度を今後も維持したいと望むならば、放送法を遵守し、真摯な報道に心掛け、良質な娯楽番組を提供し、日本国民の公共の福祉と繁栄に貢献する必要があると思うのです。

 

---owari---

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