(「天照大神」と「聖徳太子」を架空の人物にする左翼史観)
神や偉人の歴史を消し去ろうとして、さまざまな左翼(さよく)系の学者が引っ繰り返そうと頑張っており、日本の歴史をいろいろと書き換えたり、批判をたくさんしたりしています。
例えば、今の歴史学者は、「天武天皇、持統天皇のころに『古事記』『日本書紀』が編纂(へんさん)されたが、特に『日本書紀』等でかなりつくり変えられた。持統天皇の女帝の人格が反映されて、天照(あまてらす)という人格が創造されたのだ」というようなことを言って、日本の歴史を千三百年程度に縮(ちぢ)めようと“頑張って”はいるわけです。
ただ、そうとは言い切れない面があるように思われます。
というのは、それより百年近く前の聖徳太子の時代(600年前後)に、隋(ずい)の煬帝(ようだい)に宛(あ)てて、聖徳太子が国書を送ったのですが、このときに、「日出(ひい)ずる処(ところ)の天子(てんし)、書を日没(ひぼっ)する処の天子に致(いた)す。恙(つつが)無(な)きや」と書いているわけです。
傲岸無礼(ごうがんぶれい)と言えば傲岸無礼な、自信満々の言葉でしょう。「日が昇るところの天子が、日の没するところの天子に国書を送ります。ご機嫌(きげん)いかがですか」ということですから、本当にスカッとします。今の日本人のように卑屈(ひくつ)ではありません。
中国は、隋の時代にも、けっこう力はありましたし、おそらく当時であれば、世界最強に近い力だと思います。
この「日が昇るところの天子が、日の没するところの天子に国書を送る」という立場には、何とも言えないものがありますが、これは、朝貢(ちょうこう)外交などとは違って、明らかに“挑発(ちょうはつ)外交”です。「攻(せ)めてこれるものなら、来てみろ!」というような感じだと思います。
さらに、「恙無きや」ですから、隋の煬帝は怒って国書を破り、焼き捨てようとしたらしいのですが、「まあ、まあ」と諫(いさ)められたため、いまだに遺(のこ)ってはいるようです。
なお、聖徳太子は、「憲法十七条や冠位(かんい)十二階を制定したり、その他、いろいろと改革を行った」ということになっているわけですが、これも、日本人にしては、あまりにも鮮(あざ)やかにいろいろなことができすぎているので、今の歴史学者は、「そんなことがあってはならないのではないか」と思うようです。そして、ついに、「聖徳太子は架空(かくう)の人だった。想像上の人物で、存在しなかった」というようなことまで言い出しました。
一万円札から、その肖像(しょうぞう)が消されると、すぐにこうしたことが起きるので、気をつけないといけません。一万円札で使っていれば、そんなことを言う人はいないと思いますが、福沢諭吉に替わってしまうと、すぐにそうしたことを言う人が出てくるわけです。
しかし、生きていた証拠があまりにも多く出すぎているので、「聖徳太子が架空の人物だった」というのは、やや無理があるように思います。
架空のこととして、そのような物語を全部書けるはずがありません。「架空の人物が中国に送った国書が、届いて遺っている」などというようなことが、あろうはずもないので、実際にいた人物なのです。
そんな優れた人が過去の日本にいたら、恥(は)ずかしいでしょうか。おかしいでしょうか。私は全然、そうは思いません。
結局、「日本は駄目(だめ)な国で、最低・最悪でなければいけない」という史観(しかん)からいって、「そんな偉(えら)い人が、過去にいてはいけないのだ」という強い信念の下(もと)に書けば、そういう人を全部否定していくことになるのでしょう。
(織田信長の性別やリンカンの業績を「引っ繰り返す」説もある)
確かに、引っ繰り返すと面白がられることはよくあると思います。以前には、「織田信長は女だった」というような小説(『女信長』)まで流行ったりしていました。
「女信長」などというと、面白いことは面白いですし、確認ができていないために、それは分からないことでもありましょう。男性の小姓(こしょう)たちをかわいがっていましたから、そういうことも、あるいは、あるかもしれません。ただ、一般的に見て、男であろうと推定はされるわけです。
こうした引っ繰り返すやり方は、みな得意なのでよくやるのですが、最近は、リンカンあたりまでいろいろと言われています。
アメリカでは、「アメリカの“神”といえばリンカン」という感じでしょうけれども、そのリンカンについて、「奴隷解放宣言をしたが、実は奴隷を解放する気はなかった。奴隷制に対しては推進側だったけれども、南北で戦争になったために、やむなく、そうせざるをえなくなったのだ」という言い方をする人がいるのです。
こういう説は、昔から、小説としてはあったのですが、リンカンの持っている神格性のようなものを否定する効果は持っているでしょう。
---owari---
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