TPPと畜産業の発展について——牛肉編[HRPニュースファイル1280]
http://hrp-newsfile.jp/2015/2035/
文/HS政経塾4期生・鹿児島県本部 副代表 松澤 力
◆TPP交渉 最終局面へ
2月12日、甘利経済再生担当相は衆参両院本会議の経済演説で、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)に関して「交渉の終局が明確になりつつある」とし、TPP交渉が最終局面に入ったとの認識を示しました。
日本の畜産品関税を巡るTPP交渉は、牛肉の関税を10年以上かけて現在の38.5%から9%程度に下げる方向になりつつあります。
また豚肉は、最も安い価格帯にかける1キロ当たり482円の関税を50円程度にする調整が続いています。いずれも、輸入が急増した際には、一定水準まで関税を戻す「緊急輸入制限(セーフガード)」を導入する方針です。(2/4 毎日新聞)
政府は、輸入制限を発動する基準となる輸入量について、米国などの国別ではなく、参加国全体で定める案を検討しています。
牛肉は近年、年間50万トン程度を輸入しており、そのうちオーストラリアからは約30万トン、米国からは約10万トンなど、ほとんどの牛肉の輸入をTPP交渉参加国が占めています。
輸入制限の基準輸入量は、近年の輸入実績を一定程度上回る、全体で50万トン程度が目安となる見込みです。
TPPについて、日本政府は様々な交渉を進めてきました。また今年1月15日には、日本とオーストラリアでEPA(経済連携協定)が発効され、オーストラリア産牛肉を輸入するときの関税が下がるなど、牛肉の貿易自由化の流れが前進している状況です。
◆冷静に考えるべき、国産牛肉へのTPP影響
農林水産省の試算では、関税撤廃により輸入牛肉と国産牛肉の価格競争で、国産牛肉の生産減少額は、肉質3等級以下が約3,700億円、品質の高い肉質4等・5等級が約800億円で、国産牛肉減少額を合計約4,500億円と試算しています。
国産牛肉生産額の約4,600億円のほとんどが、非常に大きな影響を受ける試算です。
ただ、キャノングローバル戦略研究所の山下研究主幹は、異なる試算をしています。
注目しているのは、1991年に輸入牛肉関税を70%から、ほぼ半分の38.5%に削減したときのデータです。実は、輸入牛肉の関税削減後も、和牛生産量は拡大しています。(2003年度 137千トン⇒ 2012年度 171千トン)牛肉を自由化して以降も、日本の牛肉業界の方々は肉質を良くする努力・工夫を続けてこられました。
そのため、品質の高い和牛や交雑種は、輸入牛肉とは競合しないとみられています。品質の低い国産牛肉の一部は影響があるとみられていますが、TPP影響は限定的に考えられています。
山下研究主幹は、TPPによる国産牛肉の減少額を約500億円と試算しています。また、混合飼料関連の関税撤廃が実現すれば、国産牛肉の飼料コストが10%ほど削減される見込みです。
TPPの影響については非常に感情的な議論となるケースもありますが、やはり冷静に考え、過去のデータやTPPのメリットについても、しっかりと目を向ける必要があると考えます。
◆極上和牛の大量生産に成功「農業生産法人のざき」
国産牛肉へのTPP影響額の試算に大小はありますが、牛肉の貿易自由化の流れの中で、やはり畜産業へ高い国際競争力が求められていく方向は避けられない状況です。
そのような状況の中で、極上和牛の大量生産に成功している企業があります。その企業とは、先日のカンブリア宮殿(テレビ東京)でも紹介された「農業生産法人のざき」という会社です。私の地元、鹿児島県薩摩川内市にある企業です。
この企業では、日本で初めて「のざき牛」という個人の名前をブランド名にした牛肉を売り出し、東京・恵比寿の外資系高級ホテル・ウェスティンの最上階にある鉄板焼店で絶大な人気を得るなど、国内外の小売店や飲食店で幅広い支持を得ています。
東京食肉市場 牛肉コンテストでも、最高賞を史上初の3回受賞しています。それだけ品質の高い牛肉を、「のざき」では、わずか15人で一般的な肥育会社の100倍近い4,800頭もの和牛を生産しています。
この企業の非常に優れた取り組みは、大きく3点あります。
1点目は、徹底的に効率化された肥育法です。牛の飼料作りや糞の清掃など、日々の負担の重い作業には、専門業者を積極的に導入して従業員の負担を軽減しています。また、牛舎を工夫し、飼料を牛舎内で運ぶ必要の無いつくりにしています。
2点目は、牛にストレスを与えない肥育法です。従業員は、飼料や清掃などの作業が軽減した分、担当の牛の変化を見逃さない仕事に力を入れています。
体調の悪い牛を早期発見したり、他の牛に攻撃されて餌を十分に食べれていない牛を発見して牛舎を入れ替えるなど、できる限り牛のストレスを軽減して品質の高い牛を育てています。
3点目は人材育成です。社員の平均年齢が25歳と、大変若い社員が多い会社です。それにも関わらず「のざき」では、社員一人当たりに牛400頭(3億円相当)の肥育を任せています。
任せられた社員は、担当の牛を立派に育て上げるため、互いに日々切磋琢磨して育て方の工夫を続けています。その日々の仕事の中で人材育成が着実に進み、品質の高い牛肉生産の体制が維持されています。
このような取り組みにより「のざき」では、高品質の牛肉を安く生産し、海外への輸出も加速させています。香港への輸出量は年間約100トンに上り、和牛の販売量は「のざき牛」が1位となっています。
今後は、輸出のさらなる拡大に向けた世界戦略を検討しています。
◆日本の畜産業 さらなる発展へ
日本の牛肉生産は、後継者不足とも言われていますが、まだまだ可能性は眠っていると思います。御紹介した「農業生産法人のざき」のように、企業・組織の創意工夫で大きな発展が可能な産業です。
これからの日本の畜産業が、国際競争を勝ち抜いていくには、やはり企業参入や経営規模の拡大推進は避けて通れない部分であると考えます。
畜産業に携わっていらっしゃる方の収入の不足分を、補助金で補填する発想だけではなく、政治と民間の方々との知恵を結集し、強い輸出産業として、畜産業に従事される方々の収入を上げていく方向で政策を進化させていくことが強く求められます。
デンマーク銃撃事件は「表現の自由」と「テロ」の戦いか?
http://the-liberty.com/article.php?item_id=9205
デンマークで、フランスの「シャルリー・エブド」襲撃事件に類似した事件が起きた。首都コペンハーゲンのカフェで14日に行われていた「表現の自由」に関する集会で男が発砲。翌15日にはユダヤ教の礼拝堂を銃撃した。合わせて市民2人が死亡し、警官5人が負傷した。容疑者と見られる男は、15日に駅で発砲したところを警察に射殺された。
「表現の自由」に関する集会には、イスラム教の開祖ムハンマドの風刺漫画で有名な漫画家であるスウェーデン人のラーシュ・ビルクス氏と、駐デンマークフランス大使が参加していた。ビルクス氏は、「自分が標的だった。シャルリー・エブド襲撃事件に誘発されたのだろう」と述べている(15日付毎日新聞電子版)。
事件を受けて、デンマークのトーニングシュミット首相は「表現の自由に対するテロ」だと表明。フランスのオランド大統領をはじめ、ドイツのメルケル首相やイギリスのキャメロン首相なども、テロリストによる「表現の自由」への挑戦だと非難している。
しかし、一連の風刺漫画事件が「表現の自由」対「テロ」と言えるのかどうかは疑問だ。なぜなら、他人の信仰を傷つけ、冒涜することは、「表現の自由」ではないからだ。
標的とされた可能性の高い漫画家のビルクス氏は2007年、スウェーデン紙に、ムハンマドに犬の胴体をつけた風刺画を掲載。これがもとで、「イスラム国」の前身である「イラク・イスラム国」から、殺害に10万ドルの懸賞金をかけられたため、常時スウェーデン警察の警護を受けていた。このビルクス氏の風刺画は、過激派だけでなく、穏健なイスラム教徒からも強い反発を受けていた。
また、今回の事件が起きたデンマークでは、ユランズ・ポズテン紙が2005年、ムハンマドが爆弾の形をしたターバンを頭に巻いた漫画を掲載。現地のイスラム系団体が同紙に対して名誉毀損の訴訟を起こしたほか、イスラム諸国ではデンマーク政府公館の焼き討ちや同国製品の不買運動などにつながった。
もちろん、銃撃や殺人などのテロ行為は許されるものではない。だが、「表現の自由」を理由に、イスラム教徒の信仰を傷つけることは極めて大きな問題だ。もともと、表現の自由は、「信教の自由」から生まれたものだからだ。民間人を巻き込むテロを増やさないためにも、欧米は「表現の自由」を訴えるだけでなく、イスラム教に対する理解と尊重する気持ちを持つべきだ。(晴)
【関連書籍】
幸福の科学出版 『ムハンマドよ、パリは燃えているか。—表現の自由VS.イスラム的信仰—』 大川隆法著
http://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1394
幸福の科学出版 『イスラム国"カリフ"バグダディ氏に直撃スピリチュアル・インタビュー』 大川隆法著
http://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1411
【関連記事】
2015年3月号記事 イスラム・テロをなくす道 - スッキリわかる中東問題【後編】
http://the-liberty.com/article.php?item_id=9101
2015年1月16日付本欄 フランス銃撃事件 キリスト教圏から「私はシャルリーではない」の声
http://the-liberty.com/article.php?item_id=9052
習近平氏が9月訪米 戦勝国の「対日包囲網」づくり着々
http://the-liberty.com/article.php?item_id=9201
習近平・中国国家主席がこのほど、オバマ米大統領と電話会談を行い、9月にアメリカを公式訪問し、国連創設70年の記念行事に出席することを承諾した。
電話会談では、経済や軍事などの分野で協力を深め、「米中関係を大きく前進させていく」ことで一致。一方、習氏は「互いの核心的利益に配慮すべきだ」と述べ、台湾やチベット問題などに干渉しないようけん制した。
中国では、9月18日を「満州事変の日」に制定しており、大規模な記念行事を予定。習氏はその直後に訪米するのではないかと見られている。
また、中国は2015年を「抗日戦争勝利・ファシズム戦争勝利70周年」と位置付けている。9月3日の「抗日戦争勝利記念日」に合わせて、ロシアのプーチン大統領などを招き、異例の軍事パレードを行う予定だ。
◎アメリカが日本の味方をしてくれるとは限らない
一方、日米両政府は、5月に予定している安倍晋三首相とオバマ大統領の日米首脳会談の際に、共同文書を発表する方向で話を進めている。文書では、これまでの日米両国の世界の平和と安定への貢献や、さらなる同盟の強化を示すことを検討。今年上半期に見直す日米防衛協力のための指針(ガイドライン)についても触れる見通し。
こうした文書をめぐり、日本政府はアメリカをしっかりとつかまえることで、歴史問題をめぐる中韓の動きをけん制したいところだ。しかし、日本が自虐的な歴史観のままであれば、中国との距離を縮めようとするアメリカの意向に沿うばかりで、かえって手足を縛られる恐れもある。
◎「河野・村山談話」の撤回は、憲法改正の試金石
歴史問題については、本欄でもさまざまに報じてきたが、これまでの習氏の言動からは、戦後70年の節目に改めて第2次大戦の戦勝国で団結を深め、「対日包囲網」をつくり、歴史問題で日本をおとしめようという意図が見え見えだ。9月の訪米目的も、国連の記念行事への出席だが、国連をつくったのは戦勝国である。
このような状況の中で、安倍首相は今夏、新しい「首相談話」を出す予定だ。しかし、安倍首相は、念願の憲法改正を実現するには、歴史問題で諸外国を刺激するのは得策ではないと考えている節がある。だが、歴史問題で正しく主張できない政権が、憲法改正に否定的な国内の有権者やマスコミ、諸外国を説得することは不可能だろう。
やはり、安倍首相は万難を排して、慰安婦の強制連行や日本のアジア侵略などを事実上認めた「河野・村山談話」を撤回し、正しい歴史をベースにした首相談話を出さなければいけない。「河野・村山談話」の撤回は、憲法改正の試金石と見るべきだ。(真)
【関連記事】
2015年2月9日付本欄 戦後70年に向け、中国が新設した3つの「反日記念日」
http://the-liberty.com/article.php?item_id=9180
2015年1月29日付本欄 中国、異例の反日軍事パレードを開催へ 2015年は歴史攻撃がヒートアップする
http://the-liberty.com/article.php?item_id=9139
集団的自衛権行使容認は安倍首相の勇断だ 日本が中国に支配されてもよいのか?
「集団的自衛権はなぜ必要なのか」
安倍内閣はこのほど、集団的自衛権の行使容認を閣議決定した。この決定について、他党や一部マスコミの反対論は依然として根強い。「集団的自衛権行使容認は戦争につながる」として首相官邸前では反対デモが起こり、13日に投開票された滋賀県知事選では、与党が推薦した候補が落選するなど、安倍政権に逆風が吹き始めている。
だが、今の日本を取り巻く安全保障環境を考えたとき、集団的自衛権の行使容認は不可欠だ。幸福実現党・大川隆法総裁は、同知事選投開票日の翌日、「集団的自衛権はなぜ必要なのか」と題する法話と質疑応答を行い、改めて集団的自衛権が必要な理由を説いた。
集団的自衛権とは何か
集団的自衛権とは、「自国が直接攻撃されたわけではないが、ある国への武力攻撃が自国にとって脅威となりうる場合、実力をもって共同で防衛する権利」のことである。
この集団的自衛権は、1945年に署名・発効した国連憲章の第51条で明文化された権利であり、国連に加盟している主権国家であれば当然の権利といえる。
だが、日本政府は長年、「集団的自衛権は持っているが、行使はできない」というスタンスを維持してきた。
1981年、鈴木善幸内閣が出した政府見解は、「我が国が国際法上、集団的自衛権を有していることは、主権国家である以上、当然であるが、憲法9条の下において許容されている自衛権の行使は、我が国を防衛するため必要最小限の範囲にとどまるべきものであると解しており、集団的自衛権を行使することは、その範囲を超えるものであって、憲法上許されないと解している」というものだ。
持っているけれども使えない権利というのは、事実上持っていないのと同じである。憲法9条を金科玉条の如く扱うマスコミや政治勢力の反対を恐れ、国際社会では通用しない解釈で自らの手足を縛ってきた。
今まではそれでも何とかなってきたが、日本を取り巻く状況は次第に緊迫している。集団的自衛権を行使しないということは、「日本は同盟国が攻撃されていても守らないが、日本が攻撃された場合だけは守ってほしい」という自分勝手な態度を意味する。これでは同盟国であるアメリカとの信頼関係は維持できないだろう。
大川総裁は、安倍内閣が集団的自衛権の行使容認を閣議決定したことについて「勇断」だと評価。何か問題が起きてから法律を整備することが多い日本の政治において、戦争が起きる前に備えようとする姿勢は「創造的」であるとした。
中国から日本を守るためには行使が必要
反対派は、集団的自衛権行使によって平和が後退し、戦争に突入する危険性が高まったと、恐怖心をあおっている。
現在、中国は日本の領海・領空侵犯を繰り返し、「核心的利益」という言葉を使って尖閣諸島を狙っている。日本の生命線であるシーレーンが通る南シナ海でも、フィリピンやベトナムと衝突を繰り返して覇権拡大を狙う一方、国民には正しい情報を与えず、自由を奪っている。
さらには、日本の自衛隊機が中国機に30メートルの距離にまで異常接近される事件が相次いでいるが、これはいつ撃墜されてもおかしくない距離だ。まさに一触即発である。
そうした状況の中、防衛力を強化し、中国の侵略に備えることは絶対に必要だ。
それでも今までどおり「一切戦争をしない」という“平和主義"を守りたいとする声もあるが、中国が軍事力を拡張しているのに、日本が防衛強化してはいけないというのはつじつまが合わない。
大川総裁は「せめてそうした平和主義者の方は、中国にも憲法9条を導入してほしいという意見を言ったらどうか」と述べた。
残念ながら、現在の日本一国では、核を持つ中国には立ち向かえないため、集団的自衛権を行使し、核保有国であるアメリカとの同盟を強化しなくてはならない。
もし、集団的自衛権を行使せず、日本だけで国家と国民を守ろうとするなら、日本はアメリカ軍に代わるだけの軍事力を持たねばならないが、それには時間がかかるし、反対論も強まるだろう。そうなれば「他国から日本脅威論を言い立てられるきっかけとしてはもっと大きくなる可能性はある」と指摘した。
アジア諸国は日本の行使容認を歓迎している
今回の行使容認の決定については、日本国内の一部マスコミと左翼勢力は反対しているが、アジア諸国は歓迎している。
フィリピンのアキノ大統領は、6月下旬に行われた安倍首相との会談で、集団的自衛権の行使について支持を表明し、「国連の平和維持活動で同盟国の部隊が攻撃を受けた場合に、日本がその能力で他者を救援することは、必ずメリットのあること」と安倍政権に期待した。
8日に行われた日豪首脳会談においても、オーストラリアのアボット首相が日本の集団的自衛権行使を容認する閣議決定を支持した。
集団的自衛権の行使が前提となる、安倍首相の「積極的平和主義」という方針についても、アジア諸国は期待を寄せている。5月末にシンガポールで開かれたアジア安全保障会議(シャングリラ会合)では、中国を念頭において「力による現状変更は容認できない」と演説した安倍首相は参加国からの喝采を浴びた。
日本に防衛力を拡大してほしいと願っていたアメリカも、今回の行使容認を歓迎している。
一方、中国や韓国は、「南京虐殺」や「従軍慰安婦」などの嘘の歴史をでっち上げて、日本の軍事力拡大をファシズムのように喧伝している。だが、日本が大東亜戦争を戦ったことによって、欧米の植民地支配から解放されたアジア諸国は、再び日本が立ち上がり、中国の横暴から自国を守ってもらいたいと期待している。
将来的には日本は自国のみならず、日本と利害を同じくする国々まで救うことも念頭に置かねばならないだろう。
正義なき平和を求めれば自由を失う
こうした背景があっても、やはり武力は持たない方が戦争にならないという議論もある。だが、それは国民にとって幸福なのか。
全体主義国家・中国が日本を呑み込めばどうなるか。大川総裁は「個人個人の人権や、チャンスの平等が潰され、言論、出版の自由、信教の自由等が押し潰されていくことを意味するわけで、人間性を喪失させ、神仏の尊厳を捨て去ることにもなっていく」と解説した。
日本を直接呑み込まずとも、原発を止めて火力発電に頼っている現状では、石油を運ぶタンカーの通り道であるシーレーンを押さえてしまえば、日本を事実上の支配下に置ける。
戦争になったら、自衛隊員が犠牲になるという声もあるが、消防隊員や警察官も、職務中に負傷したり殉職したりすることはある。東日本大震災の際には、無線で津波からの避難を呼びかけて、亡くなった町職員もいた。
大川総裁は「危険業務に携わる者に関して、人命尊重の論理で仕事そのものを否定することには間違いがある」と喝破した。
命をかけて他の人を救う任務に当たっているからこそ、消防隊員や警察官は尊敬を受けるのであり、この点、国家を守っている自衛隊員は最高の尊敬を受けて当然だ。
命が大事だから一切の戦いは避けたいというならば、古代ユダヤのバビロン捕囚のような運命が待ち受けるだろう。その場合の平和とは、すなわち中国への服従、隷属への道である。
ゆえに「平和」と言っても、そこに正義はあるのか、自由があるのかを考えなくてはならない。大川総裁は、「全体主義に隷属しないで、個人が自由権を守り、思想的に戦うことが大事であり『自由の革命』が要る」と、今後の方針を示した。
中国崩壊論は「希望的観測」 日本は防衛を怠るな
大川総裁は、アメリカが軍事力を減らしていこうとしている今、「本当は集団的自衛権の強化も一時しのぎ」だと指摘。「最終的には憲法改正までするのが正直」であり「占領下でつくられた憲法を洗い直し、自主権を取り戻さないといけない」と、国民の奮起を促した。
日本の海上防衛を考える(5)——中国に支配された南シナ海[HRPニュースファイル1271]
http://hrp-newsfile.jp/2015/2018/
文/幸福実現党・政務調査会 佐々木勝浩
◆中国の海洋戦略
前回、中国が海洋戦略として南シナ海と東シナ海、西太平洋を2020年までに中国の海にする戦略を持っていると指摘しました。今回は、その戦略をもう少し詳細に分析してみましょう。
【前回】日本の海上防衛を考える(4)——中国の海洋戦略
http://hrp-newsfile.jp/2015/1959/
海洋国家である日本が防衛を考える際に、中国の海洋戦略がどのようなものかを知ることは大変重要なことです。何故ならそれが分かっていれば日本の海洋防衛の対策も立てることができるからです。
中国の海洋戦略は、1997年に発表された「海軍発展戦略」に表れています。過去のニュースファイルでも紹介しましたが、これが分かれば、中国が今後どのような手を打ってくるかがすべて分かります。
【第一段階】2000〜10年——「第一列島線」(鹿児島〜沖縄〜尖閣諸島〜台湾〜フィリピン〜ボルネオを結ぶ線)の内部の制海権確保。つまり「南シナ海、東シナ海」を支配する。
【第二段階】2010〜20年——「第二列島線」(伊豆諸島〜小笠原諸島〜グアム・サイパン〜パプアニューギニアを結ぶ線)の内部の制海権確保。つまり「西太平洋」を支配する。
【第三段階】2020〜40年——太平洋、インド洋で米軍と制海権を競う。つまり、南シナ海、東シナ海、そして西太平洋を段階的に「中国の海」にする。
【第一段階】は、計画から少し遅れている感はありますが、【第二段階】は、2006年から西太平洋の沖ノ鳥島近海で海洋軍訓練が行われ前倒しで進行しています。
そして西太平洋での海洋軍事訓練は、毎年回数を増やし、規模も大きくなっています。昨年の小笠原諸島での中国漁船のサンゴ密漁も中国当局の指示によるものです。
◆南シナ海の支配は最終段階へ
話は戻りますが【第一段階】は少し遅れているようですが、南シナ海の支配は最終段階へ入りました。
昨年5月フィリピンは、自国が領有を主張していたスプラトリー諸島(南沙諸島)で7つの岩礁のうち6つの岩礁を中国が埋め立て軍事拠点化していると発表しました。
さらに中国は永暑島に人工島をつくり飛行場や軍艦の受け入れが可能な港も建設中であると米国防当局が分析しています。(11/23世界日報)
今年に入って2月4日には、フィリピン外務省が同国の排他的経済水域スカボロー礁(黄岩島)で、中国当局の船がフィリピンの漁船に意図的に衝突したとして中国に抗議しました。(2/5産経)
◆中国の軍事支配の手口
まず漁船を出して相手を挑発して、今度は軍艦を出して力で抑え込んで島を支配する、岩礁の場合は埋め立てで人工島を造って軍事基地化する、これが中国のいつもの手です。
一方でベトナムが領有を主張する南シナ海のパラセル諸島(西沙諸島)では、昨年5月〜7月に中国が一方的に石油掘削を行いました。
8月には中国の『環球時報』が、パラセル諸島のウッディ—島(永興島)に航空滑走路の拡大工事を完成させたと報じました。「この滑走路は爆撃が飛び立てる」ことができ力による実効支配が進んでいます。(10/9産経)
9月23日には『中国中央テレビ』が、中国の海・空軍、第二砲兵(戦略ミサイル部隊)が合同で、南シナ海で大規模な合同軍事訓練の模様を報じました。
その際に中国軍関係者は「フィリピンやベトナムを威嚇するのが狙い。南シナ海の軍事基地建設に向け、拠点確保は早い者勝ちだ」と述べています。
パラセル諸島やスプラトリー諸島は、「三沙市」として中国当局が移住を推進し、「島民」には、1日40元(800円)の『駐島手当』が支給され、スーパー建設など生活支援なども着々と進めています。(1/7日読売)
フィリピンは、中国への対抗策として仲裁裁判所に提訴し国際社会にアピール、昨年4月には中国に対抗するため米国と新軍事協定を結びました。
フィリピンにとって、軍事力にものを言わせて話し合いが成立しない中国に対する一番の対策は米国との軍事協定だったのです。
こうして中国の【第一段階】南シナ海の支配は最終段階に入っていますが、東シナ海についても、すでにその支配は進んでいます。今後、東シナ海では南シナ海で起こったことと同じことが起こるでしょう。
次回、東シナ海と西太平洋で何が起こっているのか、また今後何が起こるのかを見ていきたいと思います。
(つづく)
ウイグル会議のラビア議長ら中国大使館前で抗議 「中国は世界最大のテロ集団」
http://the-liberty.com/article.php?item_id=9160
世界のウイグル人組織を統括する「世界ウイグル会議」のラビア・カーディル議長らは3日、東京都内の中国大使館前で、中国政府によるウイグル人弾圧に対する抗議活動を行った。
抗議活動に先立ち、ラビア氏は集まった多くの報道陣に対して、「中国はイスラム国と何も変わらない」「第二次世界大戦で敗北したヒトラーの政策をウイグルで実行している」などと訴え、ウイグル人から言葉や仕事、地下資源などを奪った中国を「世界最大のテロ集団」と断じた。また、中国に謝罪を求め、すぐにウイグル人に対するテロ行為をやめるよう、世界に呼びかける決意を語った。
イスラム国による人質殺害事件で揺れる日本に対しては哀悼の意を示しつつ、「外交を通して、ウイグルの難民たちを第三国に引き渡すように働きかけてほしい」と呼びかけた。
デモ隊は正午過ぎに、近くの集合場所から中国大使館前へ移動。周辺の交通事情を理由に一度に抗議できる人数を5人に限られた中で、ラビア氏らは、「Human rights for Uyghur(ウイグル人に人権を)」「China, go out(中国は出て行け)」などと力強くシュプレヒコールを上げた。
中国政府の弾圧が続く新疆ウイグル自治区では、昨年7月末、カシュガル地区ヤルカンド県で「暴動」が発生。中国の治安当局は「テロ事件」として、一般市民を含む約100人が犠牲になったと発表した。しかし、ラビア氏はこの事件で、ウイグル人だけで少なくとも2000人以上が中国の治安部隊に殺害されたと主張しており、治安当局の数字と大きな隔たりが見られる。
また、同自治区では、2014年の犯罪で逮捕された人の数が2万7千人を超え、前年と比べて約2倍になったといい、増加した逮捕者のほとんどがウイグル人だという。
だが、こうした「暴動」「テロ」「逮捕者」という表現は、あくまで中国政府側の発表である。それ以前に、ウイグルの人々は宗教や慣習を否定され、差別され、時には命を奪われてきた長い歴史がある。それに対する抵抗を、「暴動」や「テロ」という言葉で片付けていいはずがない。彼らは、圧政からの自由を求めているのだ。
日本人は、世界のさまざまな場所で起こる、さまざまな事件に対して、無関心でいてはいけない。国際社会に向けて、「世界的な正義とは何か」について、積極的に発信すべき時期が来ている。(冨)
【関連記事】
2014年7月31日付本欄 ウイグル襲撃事件の背景とは? 中国による「信教の自由」弾圧を許すな
http://the-liberty.com/article.php?item_id=8224
2014年6月号記事 ウイグル人弾圧が正当化される中国/東トルキスタンの過去と現在 - ザ・リバティ論壇
http://the-liberty.com/article.php?item_id=7722
2014年3月号記事 中国・新疆ウイグル自治区の実態に迫る - 態勢のカシュガル潜入レポート
http://the-liberty.com/article.php?item_id=7262
2014年2月号記事 釈量子の志士奮迅 [拡大版] - スペシャル対談 世界ウイグル会議 議長 ラビア・カーディル
http://the-liberty.com/article.php?item_id=7098
2012年7月号記事 宗教は、自由を守る最後の砦 - 編集長コラム
http://the-liberty.com/article.php?item_id=4358
2011年3月号記事 国が滅ぶ理由
http://the-liberty.com/article.php?item_id
THE FACT × The Liberty 『「イスラム国」問題の深層〜欧米中心主義の中東政策の限界』
http://youtu.be/ADz7nPRl7dA
2人が殺害されるという最悪の結果となりました。
さらにヨルダンのパイロットが焼き殺される映像がインターネット上にアップされ、アメリカをはじめとする有志連合による怒りの連鎖が起こっています。
過激さと残忍さを増す「イスラム国」ですが、
問題のすべてを「イスラム国」のみを悪だと片付ければ済むことなのでしょうか。
なぜ「イスラム国」は欧米に対して戦いを挑んでいるのでしょうか。
そこに大義はあるのでしょうか。
今回、番組では大手マスメディアでは語られない
「イスラム国」の大義と欧米中心思想の問題点に迫りました。
【出演】
里村英一(幸福の科学広報局専務理事)
綾織次郎(月刊「ザ・リバティ」編集長)
城取良太(幸福実現党山形県本部副代表)
http://the-liberty.com/article.php?item_id=9183 より転載
テロをなくすための考え方
「イスラム国」は悪魔なのか?
イスラム過激派組織「イスラム国」による日本人人質事件は、日本のみならず世界に衝撃を与えた。
1月初旬には、「アルカイダ」によるフランス週刊紙「シャルリー・エブド」襲撃事件も起こった。
イスラム過激派によるテロはなぜ起こり、どうしたらテロはなくなるのか?
幸福の科学グループ・大川隆法総裁は、1月から2月初旬にかけ、ムハンマドの霊言、「イスラム国」指導者・バグダディの霊言、人質となった日本人2人の霊言を相次いで収録し、イスラム・テロの真相と解決への道筋を示した。
人質事件は事態悪化の引き金を引いた
「イスラム国」に拘束された日本人の人質は、公開された映像などから既に殺害されたと見られ、「イスラム国は悪の権化だ」との論調がまき起こっている。日本と「イスラム国」は事実上の交戦状態に入り、海外駐在中の日本人の身に危険が及ぶ可能性が高まっている。さらに、アメリカが主導する有志連合による「イスラム国」への空爆も強化され、民間人を含む多くの人が亡くなっている模様だ。
「人を救いたい」「真実を報道したい」という2人の思いは理解できるが、結果として事態悪化の引き金を引いたといえる。後藤さんは「自己責任でシリアに入る」とのビデオを残していたものの、「自己責任」の範囲を超えてしまった。
「イスラム国」はなぜテロを起こすのか
もちろん、罪のない民間人を拘束して殺害する「イスラム国」の行為は許されない。しかし、憎しみに対して憎しみで返せば、新たな悲劇を生む。ここは冷静に考えてみる必要がある。
そもそも、なぜ「イスラム国」はテロを起こしているのだろう。
(1)追い詰められたスンニ派の復興運動
まず指摘したいのは、「イスラム国」は、アメリカの中東政策の失敗から生まれたという事実だ。「イスラム国」が勢力を拡大しているイラクで、アメリカはスンニ派のフセイン政権を打倒。アメリカ軍占領後に誕生したシーア派政権によって、敵対しているスンニ派の人々は追い出された。だが、混乱を収束することなく、アメリカはイラクから撤退した。イラクの一部のスンニ派はシーア派の弾圧から身を守るため、同じスンニ派の「イスラム国」と手を結び、結果として「イスラム国」の勢力は急速に拡大してしまった。
大川総裁は、人質となった2人の霊言が収録された『スピリチュアル・エキスパートによる徹底検証 「イスラム国」日本人人質事件の真相に迫る』(里村英一/綾織次郎 編著 幸福の科学出版刊)において、「イスラム国」の支配地域が広がっていくことは悪としながらも、「フセイン政権が倒れたことによって、スンニ派が迫害を受けていることは事実なので、彼らが何とか生きていけるような体制をつくること自体は、国連とか、いろいろなところが入って、考えてあげるぐらいの義務はあると思います」と述べている。
(2)欧米中心主義に対抗している
また、彼らが掲げる「イスラム教に基づく国家建設」という理念はある程度理解できる。
イスラム教は平和を愛する教えであり、ほとんどのイスラム教徒はテロには賛同していないが、欧米諸国が中東やアフリカの地で好き勝手に国境を引いたり、混乱の種をまいたりして、多くの人の命や富を奪ったことに潜在的な不満を持っている。イスラム国が勢力を拡大し続けているのが何よりの証拠だろう。
(3)追い詰められ、限られた武器で抵抗している
さらにいえば、ナイフで数人を殺せばテロとされ、ミサイルで民間人を含む数千人もの命を奪うことは残虐ではないのか。これについてバグダディの霊は、「君らは、数人の人質を殺したかどうかみたいなことばかりを一生懸命、針小棒大に言っているけれど、我らは、女子供・民間人を含め、数千、あるいはそれを超える万の単位、殺されている」と不満をあらわにした。このバグダディの霊言は、『イスラム国“カリフ"バグダディ氏に直撃スピリチュアル・インタビュー』(大川隆法著 幸福の科学出版刊)に収録されている。欧米諸国や日本へのやり切れぬ思いなど、マスコミでは決して報じられないバグダディの本音を知ることは、冷静な議論を進める一助となるだろう。
欧米に「悪魔」呼ばわりされた70年前の日本
見方を変えれば、こうした「イスラム国」が置かれている立場は、欧米の植民地支配を打ち破るために戦った70数年前の日本と極めて似ていると言えないか。日本は富国強兵政策で国力をつけ、正当な方法で欧米に立ち向かったが、欧米から悪魔扱いされ、原爆や大空襲などで多くの民間人が虐殺された。
「イスラム国」が絶対悪とされる風潮の中では、現実にどれだけの民間人が空爆で殺されているかは明らかにされないが、欧米のような近代兵器を十分に持たない彼らの抵抗手段は限られている。
大川総裁は、『スピリチュアル・エキスパートによる徹底検証 「イスラム国」日本人人質事件の真相に迫る』において、「日本に原爆を落としたいという気持ちは、このイスラム国に対する憎しみとほとんど同じぐらいのものを持っていたと思うんですよね。民間人を皆殺しにするのだから、よっぽど悪魔の塊でもいると思わなければ落とせるものではない」と、「イスラム国」を悪魔の化身と断定する風潮に一石を投じ、感情的になりすぎることの危険性を指摘。
「イスラム国が一定の大義を掲げていることに対して共鳴している者がいるらしいということについて、テロ指定している人は理解していないので、イスラムそのものが原罪的に悪と思っているところが若干あるのではないかという気がする」と、「イスラム国」を壊滅させようとする動きが、イスラム教徒の排斥運動につながっていきかねないことについて警鐘を鳴らした。
日本は「世界的正義」を示せ
現在の「イスラム国」の問題をはじめ、パレスチナ問題等の中東における紛争の根底には、キリスト教・ユダヤ教とイスラム教との宗教的対立がある。
大川総裁は『スピリチュアル・エキスパートによる徹底検証 「イスラム国」日本人人質事件の真相に迫る』の解説で、「キリスト教国による、イスラム圏の分断作戦は確かにあるかもしれない。イスラエルのために共闘できないようにしているかもしれない」と述べた。
こうした背景を見れば、「欧米が正義」で「『イスラム国』が悪魔」という見方は一方的で、バランスを欠いているといえる。
このまま「イスラム国」を壊滅させたとしても、お互いの不信と憎しみを取り除かない限り、第二、第三の「イスラム国」は出てくるだろう。バグダディの霊も、自らが倒されても次の勢力が出て、新たな争いが起こることを示唆した。
こうした争いの連鎖を止めるために必要なものは、「ワールド・ジャスティス(世界的な正義)」を見抜く智慧である。宗教的、歴史的、民族・人種的な視点から議論しなければ真の正義は分からない。
欧米諸国は、過去の植民地政策や日本への原爆投下をはじめとする「ホロコースト」を反省し、人種差別的な価値観を改めていくべきだ。一方、イスラム教国には、女性に対する扱いや経済発展を止めている戒律や慣習など、多くの面でイノベーションが必要だ。そしてまた、世界宗教はひとつの神の心から流れ出てきたという宗教的真実にも目を向けなくてはならない。
日本が今なすべきは、憎しみを増幅させることではない。キリスト教にもユダヤ教にも、イスラム教にも敵対していない日本こそ、世界のリーダー国家として「ワールド・ジャスティス」を指し示し、悲劇の連鎖を止める使命を果たすべきだ。
【関連書籍】
幸福の科学出版 『スピリチュアル・エキスパートによる徹底検証 「イスラム国」日本人人質事件の真相に迫る』 大川隆法著
http://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1415
幸福の科学出版 『イスラム国 "カリフ"バグダディ氏に直撃スピリチュアル・インタビュー』 大川隆法著
http://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1411
幸福の科学出版 『ムハンマドよ、パリは燃えているか。―表現の自由VS.イスラム的信仰―』 大川隆法著
http://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1394
幸福の科学出版 『中東で何が起こっているのか 公開霊言 ムハンマド/アリー/サラディン』 大川隆法著
http://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=913
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Web限定記事 フランス・テロ事件 「シャルリー・エブド」紙の風刺画にムハンマドの霊が抗議
「イスラム国」の問題を通じて中東に、世界に、そして宗教に目を向けよう[HRPニュースファイル1275]
http://hrp-newsfile.jp/2015/2025/
文:幸福実現党世田谷区代表・HS政経塾第二期卒塾生 曽我周作
◆複雑な中東の歴史
先日のISIS(通称「イスラム国」)によって日本人人質が殺害されたとみられる事件について日本中に衝撃が走りましたが、私たち日本人にとっては中東問題の本質についてはなかなか理解が難しいのが現実ではないでしょうか。
2月3日付の当ニュースファイルでは、幸福実現党山形県本部副代表の城取氏が「今まで大半の日本人からすると、中東は『遠くて縁の薄い地域』」だと指摘しいています。また外交評論家の加瀬英明氏も指摘するように、中東の歴史は複雑を極めるといわれます。
私たち日本人は永く単一民族で海に囲まれた国家として和を尊び生きてきたため理解が難しいものの、まずその多民族と宗教の入り乱れる中東の歴史を学ばなければ、現在起きている中東での問題も結局のところ本質が見えず、理解ができないまま翻弄されることになるのではないでしょうか。
◆キリスト教国によって引かれた中東の国境線
それ以前、オスマン・トルコ帝国が支配していた広大な地域に対して、サイクス・ピコ協定といわれるものをもとにして引かれた、定規で引いたような不自然で直線的な国境線は、そこで暮らしている住民の宗教や民族の実態を無視しています。
それを進めたのはキリスト教国であるのイギリスとフランスというヨーロッパの強国であり、植民地支配を進めていた第一次世界大戦後に行なったものです。
自分たちの住む場所に、実態を無視した国境線を引かれたらどう思うでしょうか。
それも、他の国の植民地支配を受け、植民地支配をする国同士で勝手に決めて押し付けられた国境線です。不満が募るのは当然の結果だと言えます。
この国境線の存在と、そこでの分断された民族の問題という一つをとっても、私たち日本人にとってはなかなか理解するに難しい問題です。
◆宗教を教えない戦後教育
イスラム教という宗教についても日本では十分な宗教教育が行われていないため、いったいどのような宗教であるのかについて、それぞれの個々人が自発的に学ぼうとしない限り、ほとんど理解も進まないのが現実です。
そしてそれはキリスト教やユダヤ教についても同様です。敗戦後「宗教」そのものをタブーにして教育の場から追放してしまった結果、日本人は宗教の問題についてとても疎くなっているのではないでしょうか。
宗教を信じない人が戦後増加し、宗教について学ばないゆえに、世界での宗教対立の歴史や現在ただいまの問題についても適切な理解が進まないのではないでしょうか。
◆宗教教育の大切さ
私も知人と話す中で「宗教というものがあるから対立が起こる。宗教がなければいいのだ」というようなことを言われたこともあります。
しかし、それは人間の内心の自由を侵すものであり、単なる「無神論のススメ」であり、何の解決をもたらすものではありません。内心の自由を否定されたならば人間はその自由と尊厳を完全に失うことになります。
また、神や仏の存在を否定した無神論国家の中国や北朝鮮の行っている激しい人権弾圧やその蛮行をみても、神や仏や信仰を否定するとことが人間の目指すべき道ではないと思います。
今私たち日本人は、なぜキリスト教・ユダヤ教文明国とイスラム教文明国との間で対立が起こるのか、戦争はなぜ起きているのか、テロはなぜ起きているのか、イスラム教国内でも内戦が起きているのはなぜなのかについてもっと関心を持たなければなりません。
そして、「イスラム国」などと名乗る過激な集団はなぜ生まれたのか、彼らの掲げる大義は何なのか、ということについて考える中で、中東の問題、宗教に対して理解を深めるべき時が来たのかもしれません。それは必ず世界への理解を深めるものにもつながるはずです。
◆「和をもって尊し」としてきた日本の使命
今回、ISISによる痛ましい人質殺害によって失われたお二人の尊い命の犠牲を無駄にしないためにも、国民の安全を守るための法整備を進めることは当然です。
さらに日本が世界の中で国や宗教や文明間の紛争や対立の調停役を果たせるような国家へと一歩でも歩みを進めるべきです。
平和を愛する国家として、「和をもって尊し」としてきた国家として、その使命を果たすためにも、私たち日本人は今回の事件を契機とし、中東から世界に目を向け、そして宗教というものに目を向ける必要があるのではないでしょうか。
参考:『加瀬英明のイスラム・ノート はじめての中東入門』
『日本は中東から決して退いてはいけない!』HRPニュースファイル2月3日
http://hrp-newsfile.jp/2015/2009/
道徳の教科化、まだ踏み込みが足りない(後編)
http://the-liberty.com/article.php?item_id=9198
井澤一明
プロフィール
(いざわ・かずあき)1958年、静岡県生まれ。7年間で5000件以上のいじめ相談を受け、いじめ解決の専門家として各地の学校などでの講演やTV出演で活躍中。一般財団法人「いじめから子供を守ろうネットワーク」公式サイト http://mamoro.org
大津のいじめ自殺事件を契機に「道徳」の教科化が進んだ。文部科学省は、2018年度から道徳を教科として位置づけるとして、2月4日、学習指導要領の改正案を公表した。道徳の教科化でいじめを防ぐことができるのだろうか。いじめ解決の専門家である井澤一明氏の寄稿の後編をお送りする。
◆ ◆ ◆
ここ最近、「人を殺してみたかった」という動機で起こった殺人事件が世に衝撃を与えた。昨年、佐世保で起きた女子高校生による殺人事件、今年一月に名古屋で起きた女子大学生による殺人事件である。
これらの事件を見るにつけ、道徳教育で「死生観」についても正面から向き合わなければ、意味が無いと分かる。「生命の大切さ」や「人を殺してはいけない理由」を子供たちに教えるには、道徳を超えた「宗教的情操教育」の視点が不可欠である。
◎「良心に基づく行動」に必要な宗教教育
今、子育て世代に『絵本 地獄—千葉県安房郡三芳村延命寺所蔵』(風涛社)という絵本が大ヒットしている。読者から「子供が変わった」、「しつけに効果絶大」という声が相次いでいるという。「地獄」の様子という宗教的真実を知ることによって、「なぜ悪いことをしてはいけないか」という理由が、実感を伴って分かるようになるということだろう。
2006年に改定された教育基本法の第十五条で、「宗教に関する一般的な教養」の重要性がうたわれており、「道徳科」においても宗教的視点で教えることは推奨されるべきだ。それだけでなく、いじめ問題解決の鍵が「宗教教育」の中にある。
学習指導要領の改定案にあるように、道徳とは、本来「人間としての生き方」を養うためにある。人を傷つけたりいじめたり、泥棒や万引きをすることが「悪」だと教えることから逃げているなら、道徳とは言い難い。「自分のして欲しいことを人にする」「自分がいやなことは人にしない」といった、あらゆる宗教に共通する「黄金律」と呼ばれる基本的ルールを身につけさせなくてはならない。
本来、人が見ていなくても、「良心に基づく行動ができる子」を育てることは、学校教育の目的の一つのはずだ。
しかし、実際のいじめ相談の現場では、「誰が見たのか」「証拠を出せ」「やっていない」と言い張れば、逃げられると考えている加害者が多い。しかも、その親も一緒になって「証拠がないからいじめではない」と言ってはばからない。
良識ある人間を育成してゆかねば、社会は成り立ちがたい。東北の大震災における被災者の節度ある行動は世界中から称賛を受けたが、この精神を未来に引き継ぐのは、私達の責任だ。
文科省には「価値観の押しつけ」や「指導ではなく支援が必要」という声に惑わされず、未来を担う子供たちの「道徳心」を培うため、積極的に道徳教育に邁進してもらいたい。(了)
【関連書籍】
幸福の科学出版 『教育の法』 大川隆法著
http://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=49
幸福の科学出版 『子供たちの夢、母の願い』 大川咲也加著
http://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1347
【関連記事】
2015年2月5日付本欄 「考える道徳」でいじめは減らない 新学習指導要領案を公表
http://the-liberty.com/article.php?item_id=9166
2014年10月17日付本欄 小学校でのいじめの件数が過去最高を更新 教師は責任を持って「善悪の基準」を教えるべき
http://the-liberty.com/article.php?item_id=8574
◆中国の100年計画 毛沢東はいまだに生きている!?
http://the-liberty.com/article.php?item_id=9192
アメリカの主要紙がこのほど、元米軍の中国専門家で、現在ハドソン・インスティチュートというシンクタンクに所属するマイケル・ピルズベリー氏が執筆した『The Hundred Year Marathon』(100年マラソン)という書籍を紹介している。
同書では、中国が毛沢東政権の下で、1955年に始めた覇権国家を目指すための「100年の計」によって、過去40年間、アメリカの政権が延々とだまされ続けてきことを指摘。逆にその間、中国は、発展途上国であることを強調して、アメリカを刺激せずに経済的・技術的支援を引き出すことに専念してきたという。
その目的は、いずれ経済的にも軍事的にもアメリカを超え、戦後アメリカが築き上げてきた国際システムを、中国共産党が支配する政治・経済システムに、そのまま入れ替えることにある。
こうした見方は、すでに2012年末に発刊されている『実践・私の中国分析』(平松茂雄著、幸福の科学出版刊)でも指摘されており、中国の国家戦略に関する分析も重なる。
今回、ピルズベリー氏が発刊した同書では、アメリカ政府内では機密とされてきた大統領指令や、中国側のタカ派の言論などが調査対象になっている。過去40年もの間、アメリカが中国を支援してきた理由として、「途上国である中国を支援することで、覇権主義を目指さず、民主的で平和な中国が台頭するだろう」という考えがあったことを指摘。実際、同氏も、以前は親中派の一人であったという。
同氏がこうした中国の見方について、「希望的観測に過ぎない」と理解したのは、1989年の天安門事件の後だった。事件後、アメリカに制裁を受けたにもかかわらず、アメリカ国内における中国ロビーの影響力で、米中は数年後に自由貿易協定の締結にまでこぎ着けている。そこには、アメリカ側の見解の甘さと、中国側の老獪さがあると指摘する。
また、中国のタカ派が提唱する覇権が実現した世界は、「自由より規律を、法律より倫理を、そして民主主義や人権よりもエリートによる政治」を重視するという。これは、まさにタカ派の急先鋒とも言うべき習近平・中国国家主席がやろうとしていることだ。毛沢東主義を信奉している習氏は、中国が60年前に始めた事業を推し進め、ここ数年で、その集大成を内外に見せつけようと動いているようにも見える。
確かに、ここ数十年の間、アメリカは中国への支援を続け、その台頭に貢献してきた。しかし、それは長年ODAを送り続けてきた日本にも言えることだ。日米は、中国が平和に発展してくれることを願って支援を続けてきた。しかし、現在東アジアが中国によって脅かされている状況の根底には、中国の真意を見抜けなかった洞察力の不足がある。
もし日本やアメリカが、戦後70年の間、つちかってきた繁栄を守ろうと思うのであれば、急速に軍事大国化する中国に対抗する準備を、早急に進める必要がある。(中)
【関連書籍】
幸福の科学出版 『実践・私の中国分析』 平松茂雄著
http://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=877
【関連記事】
2015年3月号記事 国内回帰の企業に減税を - 政財界の「親中路線」の転換期 - The Liberty Opinion 4
http://the-liberty.com/article.php?item_id=9087
2015年1月1日付本欄 戦後70年 歴史の見直しが世界を救う
http://the-liberty.com/article.php?item_id=9000
2014年12月29日本欄 米軍の対中国「エア・シー・バトル」構想はサイバー攻撃で撃沈される?
http://the-liberty.com/article.php?item_id=8993
人間関係を向上させ、幸福になるための5つの考え方
http://the-liberty.com/article.php?item_id=9158
あなたは今、人間関係でストレスを感じていませんか? 家庭、学校、職場……。人生の悩みのほとんどは「人間関係」にあると言えます。
しかし、幸福感もまた、人と人との間に生まれるものです。自分一人ならば、不幸ではないかもしれませんが、決して幸福にもならないでしょう。
今回は、人間関係を向上させ、人生を輝かせる方法について、5つの考え方を紹介します。
人間関係を向上する5つの方法
(1)他の人との価値観や考え方の違いを理解し、寛容さを磨く
物事の見方や感じ方は、本当に人それぞれです。この「価値観や考え方の違い」から、人間関係の問題のすべてが始まっていると言っても過言ではありません。「自分の考え方が絶対正しい」と、相手に押し付けるのではなく、他の人と自分の価値観の違いを受け入れることで、寛容さを磨くことが、人間関係の調和につながります。
(2)相手の立場に立ち、自分からささやかな好意を示す
人間関係に不調和が起きる時は、大抵、自分が「相手から与えられていないこと」ばかりを考えている時です。必要なのは、自分の心の態度を変えること。実は、一円のお金も、汗水垂らして努力する必要もありません。相手から与えられていないことよりも、自分が「相手に与えていないこと」を見つめ、自分からささやかな好意を言葉や行動で示すことです。
(3)適切な距離を保ち、自立した関係を築く
良い人間関係には、「適度な距離感」が必要です。片方が依存する関係は、長続きしません。お互いを独立した人間として認め合いながら、一定の距離を保ちつつ、関係を築いていくことが大事です。特に女性は、相手と完全に密着するか、離れるか、のどちらかにかたよりがちです。嫌な相手でも、完全に離れるのでなく、適度な距離を保つことで、より良い人間関係が築けるでしょう。
(4)徹底的に人生を振り返り、反省してみる
人間関係で悩んでいる人は、一度、徹底的に自分の人生を振り返ってみることも有効です。「自分の生き方、考え方、性格などに何か問題はないか」「人間関係を上手に築いている人と、自分との違いは何か」を、点検します。この時、幼いときから現在まで、年代を区切ると、振り返りやすくなります。例えば、生まれてから3、4歳、5、6歳まで、小学校の低学年・高学年、中学、高校、大学、そして社会に出てからのこと。「自分の性格が、どのようにでき上がったのか」を見つめることで、現在の人間関係で見直すべき点を発見し、改善するヒントが見つかるかもしれません。
(5)人間関係も、諸行無常-そこから何を学びとれるか
人間関係も、川の水のように流れていきます。過去に悩んでいたことも、現在は当時ほど悩んでいないことが多いように、現在の人間関係の悩みも、未来にはやがて消えてなくなります。この世で起きるあらゆる苦しみは、すべて自分の魂を磨くための砥石です。この苦しみや困難を乗り越える経験をするために、私たちはこの世で生活しているのです。この霊的真実を信じることで、あらゆる人間関係の苦しみから解放されるだけでなく、魂修行の機会に感謝することができます。
人間関係の様々な葛藤や問題解決を通して、多様な価値観を学び、人間として成長することができます。それこそが、この世の中に生まれてきた理由でもあるのです。人間関係に悩んで不幸になるのではなく、人間関係を通して幸福を感じる人生を歩んでいきましょう。(真)
【関連書籍】
幸福の科学出版 『心を癒す ストレス・フリーの幸福論』 大川隆法著
http://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=774
幸福の科学出版 『感化力 スキルの先にあるリーダーシップ』 大川隆法著
http://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=129
幸福の科学出版 『「幸福になれない」症候群』 大川隆法著
http://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=149
【関連記事】
2011年12月号記事 職場の嫌いな人と付き合う15のヒント(1)
http://the-liberty.com/article.php?item_id=3154
2011年12月号記事 職場の嫌いな人と付き合う15のヒント(2)
http://the-liberty.com/article.php?item_id=3153
◆STAP細胞が何かを解明すべき 小保方氏に「懲戒解雇相当」と理研発表
http://the-liberty.com/article.php?item_id=9190
STAP問題は、いよいよ本格的に魔女狩りの様相を呈してきた。
理化学研究所の元研究員である小保方晴子氏のSTAP細胞論文の捏造疑惑に関し、理研の懲戒委員会は小保方氏を懲戒解雇に相当すると発表した。小保方氏は既に理研を退職しているため、処分は行われない。ただ、10日の記者会見で理研広報室長の加賀屋悟氏は、小保方氏らへの刑事告訴や、研究費の返還請求も検討していると答えた。
会見ではこの他、共著者の若山照彦山梨大学教授を出勤停止相当とし、客員研究員の委嘱を解除した。若山氏はこれを受けて、現在所属する山梨大学発生工学研究センター長の辞任を表明した。また、理研は論文に関する特許も取り下げる方向で、共同出願者であるハーバード大学側と協議中だ。
ただ、「STAP細胞はES細胞だった」という理研の調査結果についての詳細は、まだ謎のままである。ES細胞を混入されていたとしても、なぜ混入したのか、誰が混入したのか、また、どのように混入したのかなど、分かっていないことだらけだ。
また、実験についても「STAP細胞はなかった」と言い切ることはできない。昨年11月末まで続いた検証実験では、小保方氏は厳重な監視下に置かれ、論文に書いていなければ溶液の調整も許されないという条件で実験を行った。STAP細胞を作るための最適条件がまだ発見されていない中で、そうした限定をかければ細胞の作成に成功するのは極めて難しいと考えられる。様々な条件下の実験を経て、存在が否定された訳ではない。
検証実験を受けて、昨年12月に開かれた記者会見では、理研の相澤慎一顧問が「このような犯罪人扱いしたような形で、科学の行為を検証することは、科学にあってはならないこと」と発言。検証実験としては異例の対応が取られたことが分かる。
やはり、本来力を入れるべきなのは、STAP細胞とされたものが何だったのか解明することだ。まだ分かっていないことばかりなのに小保方氏を断罪しても、科学的成果が生み出されることはない。未知なるものを探究していく科学の世界において、ミスや失敗を断罪したり、断罪のために調査をしたりすることこそ、税金の無駄づかいになるだろう。(晴)
【関連書籍】
幸福の科学出版 『小保方晴子さん守護霊インタビュー それでも「STAP細胞」は存在する』 大川隆法著
http://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1144
幸福の科学出版 『「嫉妬・老害・ノーベル賞の三角関数」守護霊を認めない理研・野依良治理事長の守護霊による、STAP細胞潰し霊言』 大川隆法著
http://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1145
【関連記事】
2015年3月号記事 STAP細胞は否定されていない - 小保方氏の検証実験終了
http://the-liberty.com/article.php?item_id=9086
2015年1月27日付本欄 理研OBが小保方氏を刑事告発 犯罪者扱いは不当である
http://the-liberty.com/article.php?item_id=9132
かわいいのは名前だけ?ピケティの問題は何か[HRPニュースファイル1276]
http://hrp-newsfile.jp/2015/2027/
文/HS政経塾スタッフ 赤塚一範
先月来日したピケティが人気です。まずピケティがこれ程ブームになる理由の一つが資本主義の矛盾を突いたからだと言われています。
クズネッツが1913年〜1948年の資本主義が所得格差を縮めたと実証したのに対し、ピケティはより広い範囲でデータを集め、資本主義が格差を縮めたのは一時のことで、基本的に格差を拡大するのが資本主義だと実証したことにあります。
◆ピケティ理論とは
ピケティの理論の根幹は資本収益率rが経済成長率gよりも常に高くなり格差が拡大するというものです。そして特に、少子高齢化が進展し、低成長にあえぐ先進諸国では格差の影響はより甚大になるというのです。
ピケティは次のように言います。「ほとんど停滞した社会では、過去に蓄積された富が、異様なほどの重要性を持つようになる」「だから成長—特に人口増加—の鈍化こそが、資本が復活をとげた原因だ」(『21世紀の資本』〈ピケティ著〉より)
日本を例に出せば、GDPはこの20年間、変わらずだいたい500兆円です。しかし国民の金融資産は1994年度末にだいたい1200兆円弱であったのが、2014年には1600兆円以上に成長しています。GDPの成長率は0%に対し、資産の成長率は30%です。
GDPは国民に給料や利子、配当などを通して国民や企業に分配されますが、GDPに対して資産の割合が大きくなりすぎている場合、富は資産を持っている人には多く分配され、労働者には少ししか分配されないという状況になります。
そして、資産が蓄積されればされるほど格差は拡大するのです。つまりピザは毎年10枚しか焼かれないのに、年を経るごとに、資産を持たない人の取り分が小さくなっていくイメージです。資産家は6枚、7枚と年を経るごとに多くとれるのに、労働者は4枚、3枚と減っていくといった感じでしょうか。
◆金持ちの財産は侵害しても良いのか
この分析自体はある意味正しい側面もあるでしょう。このようなゼロ成長でのパイの取り合いの世界観において、ピケティの言うように持たざる者はより貧しくなるしかない世界ならば、資産や相続財産に高い累進度の課税をすることは、正統化されてしまいます。
それも一国だけで課税すると、金持ちは海外へ逃避してしまうので、ピケティは国家同士で協調して課税することを提案しています。ピケティ自身はこれを非現実的であるとしているものの、近年、国際的に強調して課税する動きが強まってきていることは事実です。
しかし、平等な分配が実現する世界は幸福なのでしょうか。資産や相続財産に対する課税を強化するということは、国民の私有財産に対して国家が介入する度合いが増すと言うことを意味します。
文明社会では、財産が無ければ何もできないと言う意味で、私有財産は自由の根幹です。確かに、貧しい人たちからすると、豊かな一部の金持ちの私有財産を侵害しても何も問題ないように思うかもしれません。
しかし、近代文明は、国家の権力をいかに制限するかという歴史です。一部の金持ちの権力よりも国家による権力の方がはるかに大きく恐ろしいのです。
国家が自由にお金持ちを迫害できる社会は、誰も国家に逆らうことのできない社会となるでしょう。お金持ちの資産を守ることが貧しきものの自由を守ることに繋がる、このことを忘れてはいけないのです。
◆統計学では未来はわからない
ではどうすれば貧しきものも豊かになれるのでしょうか。問題はピケティがゼロ成長を当然としている点です。
ピケティは次のように語ります。「たとえ成長が維持できるとしても、年率1〜1.5%を上回ることはもうないということだ。ヨーロッパが謳歌した「栄光の30年」(1945年〜75年)のような年4〜5%の高度成長は、もはや望むべくもない。」(トマ・ピケティの新・資本論)
ピケティのこの発言を見て、私は何と夢も希望もない考え方だろうと思います。ピケティの問題は統計学を重視しすぎ、現状の延長で考えることを当然としている点にあります。
ピケティは過去300年間、20か国にわたる資料を集めて分析をしていますが、結論は現在の低成長が将来にわたって続くということです。マルクスの時代には統計学はそれほど発達していませんでしたが彼も同じ間違いをしています。
マルクスが生きた時代は、綿織物などの軽工業、製鉄所などの重工業を中心とした社会で、綿畑で綿を摘んだり、工場で糸を紡いだり、鉱山で穴を掘る労働者を見て、その延長で資本主義の暗い未来を想像しました。
しかし、その後の世界で起こったことは、重化学工業の発展、サービス産業など第三次産業の発展、生産性の劇的な向上です。その過程で単なる作業的労働が価値を生んだ時代から知識や智慧が価値を生む時代への変化し、労働者の待遇は劇的に改善しました。
ピケティはマルクスと同じように現在の産業構造が将来も続くと考えているのでしょう。ピケティにはきっと、鉄腕アトムのような世界、ドラえもんに出てくる22世紀のような世界は想像できないのです。
しかし、私たちが目指すべきはそのような夢のある方向にあるのです。そのような社会に向かって現在ある資産を投資していくことでお金は循環し、経済は成長路線に向かいます。
そして現在、世界が求めているのはそのような未来ビジョンを持ち、実現していく気概のあるリーダーです。幸福実現党は、夢の未来を目指して邁進して参ります
オバマ氏 イスラム国に地上兵 信仰への理解も必要
http://the-liberty.com/article.php?item_id=9193
イスラム教スンニ派の過激組織「イスラム国」の問題について、オバマ米大統領は11日、限定的な地上兵投入を求める決議案を米議会に送った。
オバマ氏は、その理由として「イスラム国を野放しにしておけば、中東全域やアメリカ本土に対して深刻な脅威となり得る」と説明した。
しかし、オバマ氏の提案に慎重論を唱える声も多い。下院のジョン・ベイナー共和党議員は、「大統領が示した戦略が、目的を達するに足るものか分からない」とし、ティム・ケイン民主党議員は、「地上兵の使用を求める提案は漠然としており、不明瞭なので、説明を必要とする」とした。
今回の地上兵投入は、オバマ政権の大局観のなさを露呈しているように見える。イスラム国が生まれた経緯をたどると、アメリカが2003年に始めたイラク戦争で、スンニ派のサダム・フセイン政権を打倒し、イラクに新しくシーア派の政権を誕生させたことに行き着く。
その後、アメリカは、イラクが混乱している最中に米軍を撤退させた上、隣国シリアの内戦で数万単位で死者が出る状況に何も手を打たなかった。スンニ派がつくるイスラム国は、イラクのシーア派による圧迫に対抗するために、シリア国内の混乱に乗じて台頭したのだ。
確かに、イスラム国のような武装集団が中東地域に広がれば、さらに多くの不幸が生まれるだろう。イスラム国の武力闘争を押しとどめることは重要だ。しかし一方で、武力のみでは根本的な解決に至らないという現実も忘れてはならない。
仮に、イスラム国に集った民間人を含む数万人を殺害・殲滅したとしても、イラク国内におけるスンニ派への弾圧状況が改善されない限り、新たな「イスラム国」が誕生するだろう。実際、イスラム国は、元アルカイダ系の過激派集団と、イラクの新政権に排斥されたバアス党(フセイン元大統領が率いていたスンニ派政党)の、二大集団が基礎となっている。
オバマ政権は、イスラム国の武力闘争を押しとどめつつ、スンニ派の人々の声を政治に反映させるように、シーア派のイラク政権に働きかけるべきだろう。
そもそもイラクなどの中東は、さまざまな民族や宗派、言語が異なる人々が混在していた地域で、ヨーロッパ諸国の勝手な都合で国境線を引いて、無理やり「国」としてまとめた歴史がある。
ここまでもつれた糸をほぐすには、武力だけでなく、中東の人々の信仰への理解を前提にした政治的・外交的な努力が不可欠だ。人質などを殺害されている日本や欧米は頭に血が上っている状態だが、これ以上の混乱を避けるためにも、冷静な対応が必要である。(中)
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