家の中心ともいえるリビングは、
家族が集まり、くつろぎ、
そして時には来客時の
お客様をもてなす特別な空間です。
※LDK内観イメージデザイン設計提案の実例
一日の中でも
多くの時間を過ごす場所だけに
「なんとなくモノが溢れがち」
「テーブルの上が散らかってしまう」という
お悩みを抱えている方も
少なくありません。
日常的に暮らしのメインとなる部屋には、
不思議と物が
集まりやすくなるものです。
リビングこそ「スッキリとした空間」でありたいと思うのは、
多くの方が共通して抱く
理想かと思います。
実際に設計のご依頼をいただく際にも
現在のお住まいで
リビングやその他の部屋での
「散らかり」具合について
悩んでいる旨をお聞きする事も
多いです。
家づくりと暮らしの環境づくりに携わる
設計者としての視点から、
リビングにおける収納計画の重要性と、
後悔しないための
ポイントについて
少し書いてみたいと思います。
リビング収納については、
見た目を美しく保つだけでなく、
家事効率のアップや
家族のコミュニケーションを
育むきっかけづくりにも深く関わります。
さらに収納の設計一つで、
子供の片付け習慣が育ったり、
人生のステージごとに
必要な機能が得られたりと、
思わぬほど多くのメリットが
生まれるものです。
住宅の方向性は「仕来り」から
「自分らしい暮らしを叶える」という
方向へ大きくシフトしており、
細部にいたるまで暮らしに関する
よい意味でのこだわりを
反映した暮らしが
人生を良い方向に導くと思います。
家づくりにおいては、
性能やデザインばかりに
目が行きがちかも
知れませんが、
勿論それらも大切にしながら
それぞれの家庭にとっての
暮らしやすさを
快適に保つための収納プランは、
想像以上に重要な役割を担っています。
まずは「なぜリビング収納が大切か」
という理由を紐解きながら
リビング収納をデザインする
メリットや押さえるべきポイントを、
そのうえで後悔しないための
工夫をベースに、
実際の家づくりで
気をつけるべきコツを・・・・・・。
リビング収納への
意識を高めていただき、
暮らしのメインとなる部屋が
スッキリし続ける住まいを
実現するヒントを
見つけていただければ幸いです。
なぜリビングに収納が
必要なのか?
リビングは家族の生活が集約される場所。
リビング(LDK)は多くの場合
家の中で最も家族が集まる空間であり、
テレビやソファ、
子どものおもちゃや読書スペースなど、
さまざまなアクティビティが
同時に行われます。
さらには、
学校や仕事帰りのカバン置き場になったり、
郵便物やチラシ、
スマートフォンや
リモコンなどのアイテムが
一時的に滞留しやすい
場所でもあります。
その結果、
他の部屋よりも圧倒的に
物が増えて整理しにくい状態に
なりがちになります。
生活の質とリビング収納
リビングが散らかっていると、
家族全員がリラックスできる時間や
スペースが減少し、
ストレスを感じやすく
なってしまうかもしれません。
逆に言えば、
リビングの収納を適切に整備しておけば、
いつでもサッと片づけられる環境になり、
急な来客があっても慌てなくて済む、
心地よい暮らしが手に入ります。
家事や育児に忙しい方にとっては、
視界に余計なモノが少ない分、
疲れにくくなる
心理的効果も期待できます。
※子育て中は散らかったものを片付けしやすい工夫を盛り込む
空間演出と収納。
収納と聞くと、
“見せない収納”に意識が向きがちですが、
家具や収納そのものを
インテリアの一部として
美しく“見せる収納”の手法を
取り入れることで、
リビングを一段と
洗練された印象に
仕上げることもできます。
アート作品やお気に入りの雑貨を
ディスプレイできる
オープンシェルフや、
ガラス扉を採用した
飾り棚などがその代表例です。
こうした工夫を
デザイン段階でしっかり組み込んでおくと、
収納が実用性だけでなく、
インテリアの魅力向上にも役立ちます。
家族のコミュニケーションが
生まれる収納計画。
家づくりにおいて、
収納とコミュニケーションが
結びつくイメージは
あまりないかもしれません。
しかし、
リビング周りで日常的に
使うモノの定位置が
決まっているだけで、
「どこにしまうか」
「どこから出すか」といった
家族同士の小さなやりとりが
スムーズになります。
子どもが自分のものを
自発的に片付けるきっかけとなったり、
夫婦間での「これはどこに置いた?」
といったコミュニケーションストレスも
最小限に抑えられたりと、
暮らしの質を
一段階高めるポイントにもなるのです。
リビング収納のメリットを深掘り。
スッキリとした空間を保ちやすい。
リビングに設置した収納スペースは、
散らかりがちなアイテムの
収まる場所として常に機能します。
収納があるだけでなく、
そこに「生活動線に沿った使いやすさ」が
確保されていれば、
家族みんなが
自然と片付けをするようになります。
とくにお子様にとっては、
「しまう場所がわかりやすい」
「手が届きやすい」という条件が揃うと、
おもちゃや絵本を
自分で片付ける習慣に
つながりやすいです。
収納設計の段階から
「誰がどのように使うか」を意識しておくと、
スッキリとした空間を
保つハードルが
一気に下がります。
インテリアのグレードアップ。
家づくりを考えるとき、
多くの方が重視するのは
空間のデザイン性だったりします。
無垢材の温もりを
感じるリビングや、
スタイリッシュな
モダンインテリア、
高級感を漂わせる
シックなテイストなど、
理想的なイメージを
お持ちではないでしょうか。
リビング収納は、
その空間づくりを
ワンランクアップさせる
重要な要素でもあります。
たとえば、
オープンシェルフに
観葉植物やお気に入りの
オブジェを飾り、
アクセントクロスを
背景にすることで
ディスプレイのような
雰囲気を演出すれば、
リビング全体が
洗練されて見えます。
モノの定位置が定まり、
探す手間が減る。
スマホの充電ケーブルが見つからない
TVのリモコンがどこに行ったかわからない
など、
日常的に起こりがちな
小さなストレス。
こうしたトラブルは、
意外なほど家族の時間を奪い、
イライラの原因となります。
場合によっては
口げんかになったりしませんか?
リビングに収納を設け、
細かいアイテムごとに
定位置を決めておくと、
家族全員が「ここにあればいいんだ」と
自然に覚え、
物探しに割く時間が
激減するのです。
時間と心に
ゆとりをもたらしてくれる点は、
リビング収納の大きな利点です。
子どもの成長や
ライフステージに対応しやすい。
リビング収納は、
子育て世代だけでなく、
子どもが独立した後の
夫婦二人の生活や、
将来親との
同居を考えているケースなど、
ライフステージの変化に合わせても
融通が効きやすいのが
特徴です。
可動式の棚板や
引き出しを採用することで、
収納内部を簡単に
レイアウトの変更を
できるようにしておくと、
モノの量や用途が変わっても
柔軟に対応可能です。
こうした設計の自由度は、
注文住宅ならではの
メリットと言えます。
具体的な収納計画のアイデア。
オープン収納と
クローズド収納のバランス。
リビング収納を設計するうえで
悩ましいのが、
「見せる収納(オープン)」にするか、
「隠す収納(クローズド)」にするか、
という問題です。
オープン収納には
開放感やディスプレイの
楽しさがある一方で、
常に整理整頓を求められる
側面があります。
クローズド収納は、
一度扉を閉めてしまえば
中が見えないので、
多少の散らかりは
目立ちませんが、
扉を開けるという
アクションが増える分、
取り出しづらさを
感じる場合も。
そこで、
それぞれの特徴を理解した上で、
オープンとクローズドを
使い分けることが大切です。
たとえば、
リビングの一角に
扉付きの収納をまとめて配置し、
日常的に使う頻度が
高いモノだけをオープン棚に置くなど、
メリハリをつけると良いかと思います。
「人に見せたい部分」
「生活感を隠したい部分」を
はっきりさせることで
機能性とデザイン性を両立できます。
壁面収納で空間を有効活用。
限られた床面積を
有効に使いたい場合や、
余計な家具を
増やしたくない場合は、
壁面収納を検討する事がよいかと思います。
壁一面を収納として造作することで、
圧倒的な収納力を確保すると同時に、
部屋の広さを損なうことなく
スッキリとまとめられます。
可動棚を採用すれば、
収納するアイテムの
高さに合わせて
レイアウトを変更できるため、
暮らしの変化にも
柔軟に対応できます。
TVボード周りにまとめる。
現時点では
リビングの中心的存在といえば
まだテレビが多いかもしれません。
今後はその重要性も
デバイスが変化する事で
関連性も変わってきますが
テレビ周辺は
リモコンやDVDやゲーム機器、
充電コードなど
小物が集まりがちです。
この周辺を
カスタマイズした
造作収納にするのもおすすめです。
テレビの背面や
サイドを利用して
棚を設けたり、
デッドスペースを有効活用して
配線を隠す空間を作るなど、
見た目も美しく
整理がしやすくなります。
また、
家電を収納するスペースに
通気孔や配線用の穴を設置しておけば、
熱こもりや
コードのごちゃつきも
最小限に抑えられるので、
見栄えと機能の両立が可能です。
階段下を活用する。
注文住宅において、
階段下はよいスペースとなります。
多くの場合、
階段下にはある程度の
空間が生じますが、
そのままでは
デッドスペースになりがち。
ここをリビング側から
アクセスできる収納にしておけば、
普段使わない
季節物や大きめの荷物を
すっきり収めることが可能です。
空間を無駄なく使えるだけでなく、
リビングに圧迫感を与えず
収納力を増やせるという
メリットがあります。
キッチン・ダイニングとの
つながりを意識する。
リビングとダイニングや
キッチンがつながる
LDKスタイルが
多くの家庭で採用されています。
LDK空間全体を
俯瞰して収納プランを考えると、
動線がシンプルになり
家事効率がアップします。
たとえば、
キッチン近くには
食器やストック品を収納し、
ダイニング周辺には
こまごました
家事や作業に必要なものを置き、
リビング部分には
くつろぎに必要なものを
集約するといった形です。
スペース全体を
「どのエリアで何をするか」を
明確にゾーニングすることが、
整理整頓の継続につながります。
後悔しないように、
リビング収納設計の工夫。
生活動線を意識すること
まず大事なのは
「誰がどのように使うか」
「どのルートで移動するか」という
生活動線を把握することです。
たとえば、
お子様が幼稚園や学校から
帰宅してリビングに入る動線、
夫や妻が仕事から帰ってきて
くつろぐまでの流れなど、
家族一人ひとりの行動を
具体的にイメージしてみてください。
そのうえで、
頻繁に使うモノは動線上に
近い収納へ、
あまり使わないモノや
季節物は少し離れた場所へと
割り振ると、
ムリなく使いやすい
リビング収納が生まれます。
生活動線が重なる場所に
大きな家具や扉があると、
開閉のたびに人の移動を邪魔したり、
物を取り出す際に
ストレスを感じやすくなることもあるので、
注意が必要です。
設計の初期段階から
動線を意識して
扉の検討も重要です。
ただし、
後悔しないリビング収納を
実現するには、
以下の5つの秘訣が重要になります。
- 【生活動線を意識する】
- 【要望の優先順位を決める】
- 【資金計画をしっかり立てる】
- 【流行に左右されない設計にする】
- 【将来の家族の変化に対応できる設計にする】
これらのポイントを抑え、
オープン収納と
クローズド収納を上手く組み合わせれば、
飽きの来ない快適な
リビングを手に入れることができます。
さらに、
壁面収納や造作家具、
階段下の活用など、
さまざまなアイデアを取り入れることで、
収納力とデザイン性を
両立させることも
夢ではありません。
何よりも大切なのは、
今だけでなくて
未来の暮らしも見据えた
柔軟な視点で
プランニングすることです。
ご家族にとって、
これから先の暮らしがより豊かに、
そして長く愛せる家となるように。
「スッキリとした空間で日常を楽しむ」
リビング収納計画が持つ意味として
収納が整うだけでも、
随分と暮らしの環境が
変化して
家族の笑顔が増えたり、
見た目によるストレスも軽減され、
不要な苛立ちも少なくなり、
一人で過ごす時間
夫婦二人の時間
親子の時間が
より快適になるはずです。
勿論人生には
喜怒哀楽という
様々な気持ちのシーンが
存在します。
毎日が必ず楽しいだけ
ではありませんが
家がそっと人生の喜怒哀楽に
寄り添うように、
そして、
家づくりの過程で生まれる
たくさんのワクワク感を
味わいながら、
ご自分たちだけの
理想の暮らしを
形にしていただければ幸いです。
理想と現実が
程よく溶け込んだ
住まいと収納計画が、
末永く
心地よい暮らしを
育む場所となりますようにと
願っています。
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