今時来客でもない限り会社でお茶入れてくれる人なんかいませんよねー。
昔の4コママンガでよくお茶を入れて配っているOLさん達が出てきましたが、私はそのような時代は知りません。上のようなことをしたいと思っても、実際にしたら会社での立場が危うくなるのでしていません。でもなぜか各部署の秘書さん達による3時のお菓子配りは習慣として続いています。
お菓子はたいてい出張か帰省、行楽のお土産ですが、それらの度にまめに買ってくる人、買ってこない人、さまざまです。以前いた部署で、出張に行ってもいつも何も買ってこない先輩Aさん(でももらうものは拒まない)、ある時、配られたお土産のお菓子を一口食べて言いました。
「誰だ、こんなまずいの買ってきたの!」
確かにお土産のお菓子はおいしくないのが多いのですが--。思っていても私にはとても言えません。
お土産といえば、9月に遅い夏休みをとって天竜川沿いに3泊でサイクリングに行き、帰りに浜松の駅で乗り換えの合間に会社と自宅用にお土産のお菓子を買いました。輪行袋に入れた十数kgの自転車を抱え、乗換えの時間の余裕もなくてゆっくり選んでいる暇もなく、最初に目に付いた、見覚えのある包みの手ごろな大きさのうなぎパイを二箱と、わさび漬けを買い、何とか電車には間に合いました。輪行サイクリングの時はとにかく10gでも荷物を軽くしたいので、ホントはお土産は買いたくないのですが、家族を置き去りにして一人で遊びに行っている後ろめたさもあり(いっしょに行こうと言っても誰も行ってくれませんが)、何もなしという訳には行きません。うなぎパイは会社でもあちら方面に出張に行った人がよく買って来ますが、お土産の中ではかなりおいしい部類だと思います。これならまずいと言われる心配もなく、何より軽いので、ほっとして気持ちよく電車に揺られて帰途に着きました。
久しぶりのツーリングでパンパンになった足と重い荷物を引きずって何とか家にたどり着き、風呂と夕食を済ませ、うなぎパイをひとつデザート代わりに、と思ってビニールの手提げから包みを出すと---、何か「??」とやな予感。包みを見ると、いつものうなぎパイの包みと同じようではありながらなんとなく違うような--。よーく見ると、“うなぎパイ”とはどこにも書いてなく、“ながーい**”とか書いてある。買うときにはうなぎパイのロングバージョンかと思ったものの、書いてあるメーカーの名前(何とか堂)も何か違うような気がする。これってもしかして---、と包みを破って箱を開けてみると、姿形はそっくりなれど、“粉う方なきまがい物”。お味は---、もちろん本物には比べようもなくパサパサで、あの表面のパリパリ感のある甘いコーティングもなく、やっぱり、の味でした。買うときに「うなぎパイってこんなに安かったかなー」との思いが一瞬頭をよぎりはしたのですが---。ここまで似せたら犯罪ではないのか?と思いましたが、商標やロゴを使ってる訳ではないので許されているのでしょうかね。
よりによって会社用と家用と同じものを二つも買って来てしまったので、仕方なく会社にもそれを持っていきました。でも「ケチってまがい物を買ってきやがって---。」と思われるのは今後の私の会社生活上はなはだ望ましくないので、朝秘書さんに渡す時も3時に配られた時も、「いやーあわててたもんでまがいもん掴まされちゃってさー(^-^;)。ごめんねー。」と大きな声で弁解して回りました。「いや、これもなかなかおいしいよ。」と言ってくださった一番年長のBさん、お気遣い心にしみました。「やっぱパサパサっすねー!」と人の心の痛みに塩を塗るような言葉を発していた若いC君。まだまだ人生修行が足りないようで。
その後Bさんは静岡に出張に行った際に本物のうなぎパイをお土産に買ってきてくれました。C君「やっぱ本物はウマイっすねー!」とはさすがに言いませんでしたが、おいしそうに食べていました。
<おまけ>
ちなみに本物の製造元の名前は春華堂でした。偽物の製造元の名前は覚えていませんが。前から「夜のお菓子」ってキャッチフレーズは気になっていましたが、同社ホームページにQ&Aがのっていました。
Q うなぎパイの夜のお菓子ってどういう意味なの?
A 夜のお菓子とは家族団らんのひとときに召し上がってもらいたいという意味です。
----- ただ、実際には違う解釈もして買っていく方も多いようです。
とのことです。“家族団らんのお菓子”の意味とは思いもよりませんでした。
さらにちなみに、「うなぎパイVSOP」なる高級バージョンがだいぶ前から存在することをうかつにも知りませんでした。こちらも有名になっているんでしょうかね。キャッチフレーズは「真夜中のお菓子」。こっちはまさか家族団らん用じゃないですよね。