時に4コマブログ 『この世はパラダイス』

世の中いろいろありますが、ココロはいつも夢幻郷。

めくるめく名画の陶酔(ボストン編)

2016-03-21 15:33:24 | つなぎ






 パリに引き続き、先月中旬に出張に行った際のボストン美術館です。ボストンはこれで4度目ですが、ボストン美術館には6年前の夏に出張で行った時に初めて行きました。6年前のときはあまり時間がなく、もう一度ゆっくり見たいと思っていたので、ようやく願いがかないました。

 2月のボストン出張時と同じく経費節減のため直行便ではありませんでしたが、今回はワシントン経由でした。大統領選たけなわということで、ボストン空港の土産物屋も便乗してました。
 





日本のニュースでも出て来る首振り人形
 

 ホテルは前回と同じWestin Copley Placeで、到着したのは3時過ぎでした。荷物を片付けてから美術館まで歩いて行ったらもう3:45くらいで、閉間時間の4:45までに1時間しか残っていませんでした。
 


美術館に向かう道から振り返ったCopley Place


美術館正面入り口
 

 急いで受付に行って学生バイト風のお姉さんに「チケットください」と言うと、何やらごちゃごちゃ早口でまくしたてて、良く分からなかったので、”Perdon?”と聞くと、”Tickets will be free in about ten minutes.”とのことでした。

 その日は日曜日でしたが、たまたま4時からチケットがタダになる日だったようです。正規では10数ドルするので、ラッキーでした。当然に"I'll wait."と言って入口で10分待ってからタダのチケットをもらい(タダならチケットなど不要にすれば良さそうなものですが、一応むやみに入られないような配慮なのかもしれません)、急いで中に入りました。

 2回目とは言え前回来たのはだいぶ前なのでもうどこに何があるのか忘れてしまい、地図はもらったもののなかなかお目当ての印象派の展示室にたどり着けませんでした。
 


絵画だけでなくエジプトものも充実してます

 さんざん歩き回ってようやく印象派の展示室にたどり着きました。
 


入口手前には私の好きなシスレー作品も何点かあります





おなじみセザンヌも


メインの印象派展示室


ひときわ目を引くモネの「ラ・ジャポネーズ」


モネの代表的モチーフ作品もずらり












 作品数はモネが多いですが、ゴーギャンもゴッホもドガも素晴らしいです。
 












 何度見てもやはり心動かされますねー。残念ながら前回も貸し出し中で見られなかった浮世絵コレクションは今回も貸し出し中だったようで、見られませんでした。またボストンに行く機会があればぜひ再訪したと思います。

 オルセー、オランジュリー、ボストンと、日本ではコレクションの1、2点が来ただけでも展覧会の目玉になるような珠玉の作品の数々を立て続けに鑑賞することができ、大きな幸福感と満足感に浸ることができました。肝心の仕事の方の成果はそうでもなかったので、ちょっと複雑なところですが。
 


帰国日は仕事を象徴するような嵐のような大雨でした


 年度末ということで、31日は一日余っていた年次休をとって高尾山に行ってきました。春休みとは言え平日なのですいているだろうと思いましたが、予想通り人はまばらで、メインの1号路からゆっくりと静かな散策が楽しめました。やっぱり仕事をさぼって平日に行く山は最高ですねー。最近やたらに人が多くて表ルートはずっと避けていたのですが。
 





1号路登山口
(桜はまだちょっと早かったです)


めくるめく名画の陶酔(オランジュリー編)

2016-03-21 12:32:06 | つなぎ






 仕事は午前中の会議出席で、会議の場の関係先からホテルに戻り、出席者で軽くwrap up meetingをして解散となりました。帰国便は夜の8時過ぎ発だったので、スーツを脱いで着替え、今度はオランジュリー美術館目指して、前日と同じルートでコンコルド広場に向かいました。

 オランジュリー美術館は、コンコルド広場のすぐ脇の、セーヌ川の手前側(オルセーの対岸側)にあります。二度目なのでもう全く迷わず美術館に到着、のはずでしたが...。てっきりオルセー同様セーヌ川沿いに入口があると思いこんで川沿いに歩いていったところ、美術館とおぼしき建物は高い壁を挟んですぐ左手に見えているのに、行けども行けども壁の切れ目も入口も見えてきませんでした。結局建物を遥かに通り過ぎたところでようやく壁の切れ目があり、内側に入ってまた延々と歩いてきた方向に戻るはめになってしまいました。

 結局入口は大観覧車のすぐ後ろの、最初に入口目指して歩き出した地点のすぐ脇で、延々と大回りをして一周してきただけでした。何事も良く調べるなり人に聞くなりしてから行動すべきと反省でした。

 オランジュリーはオルセーに比べると、小ぢんまりした美術館ですが、何と言っても有名なのはモネの睡蓮の間ですね。
 


入口

 入口のすぐ向こうに、二部屋に分かれて8枚の長いパネルが展示されています。









 モネの死後に一般公開された遺作とのことですが、モネの芸術の集大成としての執念を感じます。執拗に睡蓮を描いているところをみると、睡蓮の池に何かを見出して、表現しきれていないという思いがあったのか、など考えさせられました。

 その他の画家の作品は、睡蓮の間から地下に降りたところにあります。まずルノワールの佳作がずらっと並んだ細長い廊下のような展示室があり、その奥から反対側に回ってもとの所に戻ってくるような構造になっています。なので迷うこともなく効率的に見ることができました。 


















オルセーにも同じ構図の絵がありましたが、こちらはずっと小さめです。








セザンヌ





ピカソ


マチス





ローランサン





ユトリロ


ルソー





モディリアニ

 マチス、ユトリロ、ローランサンなどはこれまで確かなまで見たことはなかったように思いますが(多分)、やはり皆それぞれ訴えかけるものがありました。これだけの質の作品をまとまって見られるのはやはりすごいですね。

 オルセーとはまた違った作品の数々の余韻に浸り、夢心地で外に出ると、銃を持った兵士が警戒に当たっていました。物騒な世の中になってしまったので仕方ないですね。



 また地下鉄でホテルに戻り、タクシーでシャルルドゴール空港に向かいました。この空港に10数年前初めて着いた時は、鉄腕アトムに出てきそうな、中央吹き抜けの中の入り組んだエスカレーター(階段状ではなく動く歩道状ですが)の光景に驚きました。この日はなぜか故障していて止まったままだったので、荷物を引きずって歩いて登らなければならず、結構きつかったです。






 3月も下旬だというのにまだまだ寒いですが、今日は自転車で八王子城に行ってきました。花々は着実に春を迎えつつあるようですが、いつもよりちょっと遅めな気がします。


頂上(松木曲輪)下の石垣のスミレ


めくるめく名画の陶酔(オルセー編)

2016-03-20 23:29:46 | つなぎ






 先日のボストンに続き、また出張で先々週パリに行き、その後先週またまたボストンに行ってきました。海外出張は1年半近くご無沙汰していたのに、連続するときはするものです。もう少し間隔が開いてくれると良いのですが、業務上の都合なのでこればかりは自分の思い通りにはなりません。

 先日のボストン出張では全く余裕がなく、どこにも行く余裕がありませんでしたが、パリと今回のボストンでは何とか時間を見つけて美術館巡り(オルセー、オランジュリー、ボストン美術館)をしてきました。いずれも充実した名画のコレクションで、ただただ呆然として見とれるばかりでした。いまだに数々の傑作が頭の中をぐるぐる回り続けています。 

 日本と違って、いずれの美術館もフラッシュさえ使わなければ写真撮影はOKなので、撮りまくってきました。ちょと数が多いので、美術館毎に3回に分けてアップします。まずはパリの風景を含めオルセー美術館から。

 パリは10数年前に出張で行って以来2度目です。シャルルドゴール空港に到着し、タクシーに乗り込んで外に出ると、何と大雪の吹雪状態でした。出発前の日本も寒かったですが、 パリはもっと寒かったです。

 

 
 しかしホテルに着くころにはすっかり雪も止み、晴れ間も出てきました。


今回泊まったホテル
(朝食バイキングはおいしかったです)


ホテルの窓から

 荷物を片付けてから、フロントで行き方を聞いて早速オルセー美術館へと向かいました。パリの美術館はどこも行ったことがありませんでしたが、ルーブル、ポンピドゥーセンター(国立近代美術館)、オルセー、オランジュリー、マルモッタン美術館等いろいろあるなかで、やはり何と言ってもまずは印象派のコレクションで日本人に人気の高い、オルセーとオランジュリーに行くことにしました。

 一番近いのは歩いて行けるマルモッタン美術館(先日東京都美術館に見に行ったモネの「印象、日の出」所蔵)でしたが、日本では立ち止り禁止でろくに見られなかった「印象、日の出」はまだ日本巡回中でもあり、結局行きませんでした。。

 ホテルで教えてもらった通り、まずホテルのすぐそばのバスターミナルの脇の駅から メトロ9号線に乗り込み、乗り換え駅のFranklin D. Roosevelt駅に向かいました。なんでパリの地下鉄の駅にアメリカの大統領の名前の駅がついているのかは謎ですが。



バスターミナル


地下鉄入口


地下鉄ホーム


親切に日本語表記も 

 慣れないので乗り換え(1号線)はちょっと迷って、最初は違うホームに行ってしまいましたが、なんとか目的地のコンコルド広場にたどり着きました。



コンコルド広場


オベリスク

 今回は行く余裕はありませんでしたが、広場からはセーヌ川越しにエッフェル塔が見えました。






 

 同じく行く余裕はありませんでしたが、凱旋門も遠くに望めます。



 オルセー美術館はコンコルド広場からセーヌ川を渡ってしばらく川沿いに歩いたところにあります。地図を持ってどの建物かなーとうろうろしていたら、学生風のお兄さんが親切に「ここだよ!」と教えてくれました。美術館と言うと、周辺に庭園があってもう少し広い敷地の真ん中に立っているような印象があったのですが、道沿いに何気なく建っているのでちょっとすぐにはそれと分かりませんでした。



オルセー美術館入り口

 もともとはパリ万博のために作られた鉄道の駅舎だったとのことで、内部は吹き抜けで解放感のある作りです。駅舎の名残りの正面の大時計が立派で印象的でした。



 今朝たまたまテレビでオルセー美術館紹介番組(田中麗奈が案内役)をやっていましたが、この美術館の歴史は比較的浅く、開館はほんの30年前だそうです。ここの印象派の作品は当時全く評価されず、酷評されていたものを、同じく画家のカイユボットが価値を見出して収集し、ゆくゆくはルーブル美術館に入れるよう遺言を残したものだったそうです。当時は下のビーナスのような神話や理想化された世界をきっちり描くのが良い絵とみなされていたようで、印象派のような絵は全く異端だったのでしょうね。






 ともあれ、印象派もそれ以外も、目もくらみそうな素晴らしい名画の数々が、これでもか、というくらいあまりにさりげなく並んでいます。しかも他の見物人にもじゃまされずに見られるなんて夢のようです



(ミレーの部屋:下段の真ん中が晩鐘、右が落ち穂拾い)








 

 ルソー(上)は決して巧い絵ではないでしょうが、不思議な魅力がありますね。またモローの絵(下2点)は、実物は写真や絵では到底分からない、感性に直接強烈に訴えかけるものがありました。これまでモローの本物は見たことがありませんでしたが。






 先日日本に来た、あのマネの少年もいます。やはり周囲とは違う輝きを放っていました。












ちょっとピンぼけ


ロダンの彫刻(確か上野の近代美術館にも同じものがあったような...)


これも上野の近代美術館にもあったような...


スーラの点描


ゴーギャン

 ゴッホのところはさすがにちょっと人が集まっていましたが、見るのに支障があるほどではありませんでした。






なんとも言えない妖気が漂っています





これは人だかりがしてましたが、私も好きな作品です





死の直前に描いたという絵
(内面の苦悩がにじみ出ているような...)


ルノワールも贅沢に一人占めっ!
(日本では到底考えられません)


オランジュリーにもほぼ同様の構図の絵がありました
(私はこっちの方が好きですが)








セザンヌも一目でそれとわかるタッチですね


最もセザンヌらしい絵でしょうか





ドガも強烈な何かを発しています








モネは言わずと知れたおなじみの睡蓮の数々





なぜか干し草の絵も多数ありますね


これはやはり傑作ですね


これも素晴らしいですね


昨年の私の部屋の名画カレンダーにあったピサロ

 翌日仕事の打ち合わせをしたものの、前日の名画の数々に圧倒され、半ば放心状態でした。その晩は会議に先立ち関係先と会食でしたが、エッフェルタワーの見える夜景のきれいなレストランでした。






レストランのテラスから
(時々全体がきらきらきらめくイルミネーションが点灯しますが、撮り損ねました) 


 仕事の成否はともあれ、「生きてて良かった―」と心底思えるほどの素晴らしい名画体験でした。