先日、昨年の鹿島槍のメンバー3人で八海山に行ってきました。八王子からはちょっと距離はあるものの、今は圏央道があるのでかなり楽ですね。昔スキーに良く言っていた頃は関越道に入るまでが大変でしたが。
六日町インターを降りて近くのイオンで弁当と飲み物を買い、ロープウェー乗り場にはあっと言う間に着きました。時間的余裕はあったので、ロープウェーは使わず歩いて登るかどうか迷ったものの、歩いてもあまり楽しそうではない(スキー場斜面の初心者う回路のため)こともあり、結局ロープウェーを使うことにしました。
ロープウェー乗り場はあまり人はおらず、すいてるなと思ったら、出発直前になって地元の人らしき団体さんが押し寄せて、結局中央線並のぎゅうぎゅう詰めの満員になってしまいました。ロープウェーが動き出すと、ガイドさん(といってもおっさんでしたが)が、「登山の方はいますかー?」と言うので、手をあげましたが、私達3人以外はほとんど観光で、ただロープウェーで登って降りて来るだけのようでした。
何かと思ったら、「ここ毎日3時過ぎになると雷雨が来ています。雷が鳴ったら危険なのですぐ引き返してください!」とのことでした。我々は山頂駅から2時間半ほど先の、岩山の連なる八海山のメイン部分の手前の山小屋泊まりの予定なので引き返すわけにはいかなかったのですが、往復ロープウェーで日帰りで来る客も多いようです。
ロープウェーの山頂駅のすぐ先が登山道入り口になっていますが、神様の像が鎮座していました。八海山は高尾山同様修験道の山のためでしょうが。
一日目は最初は 晴れていたものの、だんだん雲が多くなってロープウェーのガイドさんの言うように雨が心配な雲行きになってきました。6合目の女人堂で弁当を食べた頃には今にも降り出しそうな雰囲気でした。
女人堂
なので弁当休みも早めに切り上げ、先を急ぎました。尾根道で基本的に大した登りはないので楽なところでしたが、途中でパラパラと雨が落ちてきました。「そろそろ危ないかな」と思ったものの、まだ2時前だったので、3人で「まだ大丈夫だろう」と雨具も着けずさらに急ぎました。
結局雨は大したことはなく、小屋のすぐ手前の8合目の薬師岳までたどり着きました。ここにも神様が鎮座していました。ここまでくればもう安心、としばらく眺めを楽しんだ後、小屋へ向かいました。
小屋(千本檜小屋)はこじんまりしたところで、部屋の上がりはなには賽銭箱が置いてあり、上からは神社にあるあの大きな鈴がぶら下がっていました。その奥の壁は一面神棚になっており、さすがに信仰の山の山小屋と感心しました。
並んでいる酒瓶はもちろん八海山
宿泊客は基本的には2階に寝るようになってはいたものの、すでに2階は満員で、結局我々は布団を降ろして1階の神棚の前に寝ることに なりました。1階は結局我々の他には二人の登山客しかいませんでしたので、広々と使えましたが。
宿に着いたのは3時前でしたが、ロープウェーで言われた通り、しばらくすると雷が鳴り始め、雨も落ちてきました。雨はだんだん激しくなり、ロープウェーを使っていなかったら大変だったなとホッとしました。2階は布団で一杯なのに人はほとんどおらず変だなと思っていたら、管理人さんと別棟の食堂ですでに酒盛りで盛り上がっていました。私達も誘われましたが、酒の相手は後の二人に任せて、煙草の苦手な私は遠慮して、布団を敷いてパンフレットなどを眺めていました。
雨の音を聞きながらしばらく休んでいると、何やら管理人さん達がざわざわし始め、何事かと聞いてみると、ついさっき山小屋まで来て雨の中を戻り始めた日帰りのカップルが途中で遭難したとの連絡が入ったとのことでした。女性の方が滑落して怪我をして動けず、男性の方が携帯で小屋に連絡してきたようです。天候不良でヘリは飛べないとのことで、結局管理人さんと登山客の一人(いずれも相当酔っぱらっていて周囲は止めたものの)が雨の中を救助の向かいました。二次遭難になりはしないかと皆心配しましたが。
雨は日暮れ前には止み、外へ出てみると正面の山に綺麗な虹がかかっていました。遮るものはなにもなく雄大で感動的でした。
夕食の時間(6時頃)となり、夕飯(カレーの他マーボー春雨、刺身コンニャク、枝豆、ゆでトウモロコシ、茄子味噌いためetc.多彩でおいしかったです)を食べていると、救助に行った二人から電話が入り、二人は見つかって応急処置はしたものの、連れては帰れないので今晩はビバークさせるとのことだったと宿泊客に説明があり、皆とりあえずはホッとしました。
翌朝は良く晴れてご来光もとてもきれいでした。管理人さんは夜明けとともに、二人が心配だからとまた遭難現場に向かいました。
朝食の準備ができるのを待っていると、バラバラとヘリの音が聞こえ、皆一斉に外に飛び出しました。見るとヘリがみるみる近づいてきましたが、すぐには救助せず、しばらくホバリングで微動だにしませんでした。小屋の従業員さんによると、山頂付近は風が巻いているため容易に近づけないのだそうです。
かなり長い時間停止していましたが、風がやんだのか突然向きを変え、山の陰に隠れました。遭難現場は山の陰に隠れて見えませんでしたが、しばらくするとまた陰から出てきて、そのまま麓に向かったので、救助成功だったんだなと皆胸をなでおろしました。
ゆっくり朝食を食べ、7時頃に小屋を出発して八海山の名前の由来である八つの岩山の頂の連なる難所に向かいました。熟練者向けの鎖と梯子の難コースと迂回路の二つのコースに分かれていますが、我々は難コースを歩きに来たので当然そちらを選択しました。
振り返って見る千本檜小屋
麓の町の眺め
しかし難所に来てみると、想像以上のスリルのある危険なところでした。ほとんど足場もないような急な岩場に鎖が垂らしてあるだけのようなところも多く、遭難者が多いというのも頷けました。
よその人の写真ですが
結構苦労しながら最高地点(と言っても1720m)の大日岳に着きましたが、眺めは標高の割にとっても雄大で最高でした。 てっぺんの岩場にはまた神様の像が鎮座していましたので、一緒に記念撮影をしてきました。
大日岳山頂
神像は避雷針にもなっているようです
そこから、北道とは違う下山ルートで麓まで降りましたが、登山口には下のような注意書きがありました。実際に通ってきた後では納得できます。
車を置いてきたロープウェー乗り場はそこからさらに1時間弱かかりましたが、岩場の峰々は雲がかかっていました。やはり山は非が高くなるにつれて不安定になることが多いので、朝方が勝負です。
ロープウェー乗り場のレストランでそばを食べ、麓の六日町の公営温泉に入ってから帰路につきました。渋滞はさほどではなく、7時過ぎには八王子に戻ることができました。中央道は結構渋滞していたようなので、あっち方面だったらもっと遅くなっていたでしょうが。
まずは夏山を満喫でき、スリルもたっぷりで満足のいく山行でした。