![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6b/4c/ff72d980cbac07b938f34a12093f6419.jpg)
先週の土曜日に実家で母が亡くなりました。
当日の朝までいつも通り元気にしていて、朝飯もきちんと食べたようです。その後ちょっと具合が悪いとベッドに横になり、おしゃべりもしていたらしいのですが、しばらくして肩甲骨のあたりが痛いと父に膏薬を貼ってもらっていたときに、突然倒れたとのことです。
7年前前に脳梗塞で倒れ、その時は奇跡的にほとんど後遺症もなく回復し、少し足は弱っていたもののずっと元気にしていたので、本当に突然でした。でも自分の家のベッドで、全く苦しむこともなく父に抱えられて亡くなったのだから、まあ幸せな逝き方だったのではないかと思います。
実家には兄夫婦が同居していたので私は大した手伝いもできませんでしたが、葬儀はほんとの親族のみの家族葬で行いました。誰に気兼ねすることもなく、とても温かな良い式でした。
祭壇の脇には好きだったお菓子がいっぱい乗っていました。甘納豆、サクマドロップ、落花生、等々、どれも実家に行くといつもテーブルに乗っていたのを思い出しました。お菓子の山の一番前の真中にもうひとつ、母が食べているのは見かけたことのない、森永ミルクキャラメルも乗っていました。
母は娘盛りがちょうど戦中戦後の混乱期に当たっていたため、こんなお菓子はぜいたく品でなかなか口にできなかったんではないかと思います。
読経が終わって出棺の時になり、みんなでお棺を花でいっぱいにした後、係の人が父に「お菓子も(お棺に)入れますか?」と聞いたとことろ、父は「全部入れます」と即答しました。お菓子好きのうちの子供らは後でもらえるものだと思っていたかと思いますが(もうそんな歳でもないのですが)。
で、係の人がそばにいためいめいにお菓子の袋を配りましたが、最後に私の手に森永ミルクキャラメルが「はい!」と渡されました。私はキャラメルをしばらく手の中で眺めた後、花で埋もれた母のお腹の真上に乗せてあげました。
周りの親族はキャラメルも他のお菓子と一緒でいつも食べていたんだろうな、くらいに思ったでしょうが、私には父が特別に森永ミルクキャラメルを置いた訳は分かりました(なんとか牧場の生キャラメルなどでなく)。
正月などに実家に帰ってみんなでごちそうを食べているときに、母が機嫌が良くなるとこれまで何度聞かされたことか。「初めてお父さんとデートしたのが上野の動物園だったのー。そこでねー、お父さんがミルクキャラメルを買ってくれたの」
当時ですからもちろん見合いですが、50年以上覚えているんだからよっぽどうれしかったんでしょうねー。私と嫁さんとの初デートはどこだったかなあ...。
上野動物園の森永ミルクキャラメルの思い出ですか、素敵ですね。お二人にとっては忘れられない出来事だったんでしょう。
ご冥福をお祈りいたします。