おとといの金曜に休みをとって、一泊で南アルプスに行ってきました。昨日甲斐駒に登るのが目的だったのですが、結局あの天候で登るのをあきらめてむなしく帰ってきました。
あの天気の中何をわざわざ、と言われるでしょうが、諸事情によりこの週末しかないという状況で、強行した結果です。そもそも10月の第一週に行こうといつもの先輩と約束していたのですが、先輩は9月にスクーターでこけて鎖骨と足の親指を骨折してしまい、その回復を待っていたのです。
先輩の怪我は無事回復しましたが、来週は私の用事があり、それ以上遅くなるともう寒くなるし、ということでこの週末になってしまいました。しばらく前からこの週末は雨模様とはわかってはいましたが、先輩の方針はいつも通り「よほどのことがない限り決行」でした。
前日の仕事中に人目をはばかりながらチェックした天気予報は、「曇り時々雨、しかし雨量は少ない模様」とのことでした。去年の10月の始めに行った赤岳も悪天候でしたが、まああれよりはましだろう、と夕方山小屋に予約の電話を入れました。
電話に出たのは若いお姉さんで、「え、明日あさっては雨ですけど...、来られるんですかあ」とのことでした。私は「はあ、まあ少々の雨なら登ろうかと...」と言ったところ、小屋のご主人に確認するので10分後にかけて欲しいとのこと。
10分後に再びかけると、「すみません、明日は予約が入っていなかったので山を降りる予定で、せっかっくですが...」、とのことでした。私は「これはもう中止かなー」と思ったのですが、先輩の強い要望により結局予定とは別の小屋を予約して、昨日小雨の中出発しました。
甲斐駒の登山口の北沢峠まではマイカー規制のため交通の便が悪く、ずっと手前の駐車場に車を置いて、バスを2本乗り継いでいかなければなりません。八王子を9時過ぎに出て駐車場に着いたのは11時半頃。車は一台も停まっておらず、バスの乗客もわれわれ2人のみでした。
山小屋も案の定客は我々2人のみ。いやーな予感がしましたが、5時前に早い夕食をとった後テレビの天気予報を見ると、前日まではなかった台風が天気図に現れていました。
先輩と2人で「台風が来るなんて言ってたか?」と言ったものの、いまさらどうにもなりません。まあ進路がそれることもあるかも、と覚悟を決めて運命に身を任せ、7時半頃には早々に眠りにつきました。
しかし夜半から強くなった雨脚は一向に衰えず、明け方ついに先輩の中止宣言が出ました。起きだして空しく2人で朝食の弁当を食べ、また布団にもぐりこんでしばらくのんびりとしてから7時過ぎに小屋を出ました。
駐車場行きのバスは中継点を10時半発なのですが、朝は小屋からそこまで行くバスの便はなく、中継点まで約2時間かけて渓谷沿いの雨の林道を歩かなければなりませんでした(写真下:真ん中右の白い線が林道)。
2人とも後悔と空しさに負けまいとバカ話をしつつ、車も全く通らない林道を、「まあ雨の紅葉もオツなもんですね」と慰めあいながら歩きました。
道沿いの山肌にはあちこちに下のような細い滝が流れています。行きのバスの音声案内によれば、一番大きいのは落差100m超とのことでした。
じっさい滝だけでなく紅葉はとってもきれいでした(写真下)。「まあ紅葉見物散歩に来たと思えばいいか」「そうですよね」とお互い無理やり自分に思い込ませるように言い合いました。
ところが中継点に着いてみると、車が置いてある駐車場へ行く林道は、雨量が一定量を越えたため、閉鎖中でバスは出ないとのことでした。
2人とも青くなり、案内所のお兄さんに聞くと、もう一本の林道は閉鎖されていないので、そこの下の駐車場までバスで降りて、さらにバスを乗り継いで身延駅まで出て、そこからぐるっと迂回して林道の反対側から登るしかないですね、とのこと。
行きの車の中で、閉鎖されていない方のルート(奈良田側)とどっちがいいかな、と話して、まあこっち(夜叉人峠側)でいいんじゃない、と安易に決めたのですが、天候にくわえルートも判断ミスでした。
今日中に家につけるのか不安になり、先輩と私はしばらく呆然としてパンフレットのバスとJRの時刻表とにらめっこをしていました。私は閉鎖された林道をさらに歩いて降りようと提案したのですが、この林道はもともと徒歩通行禁止とのことであきらめました。
結局10時半のバスに乗り、別の駐車場に着いたのが11時半。次の身延駅行きのバスは13時55分までなかったので、バス停の裏手の温泉(奈良田の里温泉)にのんびり浸かって待つことにしました。地味ながらまろやかなお湯でいい温泉でした。
湯上りに先輩はビール、私はsenobyを飲みながら縁側に座って山小屋で作ってもらった弁当を食べた後、バスでJR身延線に向かいました。甲府からは駐車場までのバスがあるのですが、これはすでに便がなかったので、途中の鰍沢口からタクシーで行くことにしました。
鰍沢口に着いたのは結局4時半。ますます強くなる雨の中、駅前からタクシーを呼んで、さらに一時間弱かけて、真っ暗な中ようやく駐車場にたどり着いた時は本当にほっとしました。タクシー代9,000円弱に加え、バス代、電車代と大幅な予定外出費でふたりとも財布が空っぽになってしまいました。
9月の北東北サイクリングのときは寸前で台風から逃れましたが、今回は完璧なタイミングでつかまりました。うまくいかないときは全てがちぐはぐになってしまうものですね。 そんな訳で今週は体力気力ともに喪失につき4コマはお休みさせていただきます。すみません。来週までには精神的に立ち直りを図ります。それにしても今日の台風一過の秋晴れは何とも空しい...。 PS:つい先ほど山小屋のおばちゃんから、「えらい雨だったで無事帰れたか心配でえ~」と電話がありました。私は、わざわざお気遣いいただき、と丁重にお礼を言いました。おばちゃんは、「今日はとってもいい天気だけど夕べはあの後雪になってねー」とのことでした。 私は「雪が積もったんじゃあ結局今日も登るのは無理でしたねー」と自分を慰めるように言いました。しかしおばちゃんは、「いや登るのには困らんで、昨日泊まったお客さん達は大喜びで出かけてったがねー」とのことでした。「かわいそうなことじゃったが来年またよろしくねー」とのお言葉に、「はい、必ず...」とリベンジを誓いました(方言はいい加減です。すみません)。