
昔、618Bを手に入れたとき
141Aアンプを買って618Bを取り出した

何のためらいも無く取り出した618Bの
その音に感動のあまり、しばらく気にしていなかった
618Bを取り出し抜け殻のような残骸WE-141A
当時、私はウエスタンの事はよく知らなかったので
私:この141ってもともと何するものなの?
O氏:一応プリアンプだよ、142か143に取り付けて使うのが本来だけど、
ラインブースターで使われる事もあったようだよ
私:ラインブスターって何?
劇場をケーブル引きまわすので減衰した分をブーストするんだと思うよ
私:じゃアンプ単体としての価値は無いの?
無いね、618Bのほかは大した部品も使われていないし、
プリアンプとしても、120や130なんかと比べればそれほどのアンプじゃないよ
私:じゃあ618Bを取り出した後どうするの?
大概は部品取りか捨てられるようだよ
私:へーそうなんだ
18年くらい前に確かこんな会話だった
事実、この141は残骸としてしばらく放置されたままだったが
WEの単線や、トランス類の余りの音の良さに触発され、無性にこの141が気になってきて
音出ししようよ、聞いてみようよ
会うたびにO氏に言っていた、ある日
電源の18Aが手に入ったから音出してみる?
私:ぜひお願いします
むき出しのままの状態で1台の141に、これまたむき出し状態の18A
試行錯誤の上、ボリュームをつけてとりあえずガラクタ状態のまま接続完了
このアンプもそうだがウエスタンのアンプの多くはパワーアンプにボリュームが付いているので、
141には入力ゲインの切り替えだけでボリュームがない
我々の使用条件で使うのだからやはりプリアンプにはボリュームがあった方がいいので付けることにした
たぶんこれで音が出るはずだ
素人の私と、当時まだプロとまではいかない状態のO氏
夕方から作業を始めて、音が出たのが夜中の11時過ぎではなかっただろうか
パワーアンプは確かマランツ8b、スピーカは確かALTEC405A
かけたレコードはオペラのアリア集だったと思う
小さい音だが、音が出てきた瞬間、あまりの音の良さに鳥肌が立った
なんだ~この音は、これがウエスタンサウンドか~!
衝撃だった
どう表現したらよいのだろう、今まで聞いたどのアンプよりも音が濃い、
音がいいだけで無く、魅力よりも魔力的なその音の世界の引き込まれて行かれそうな説得力のある音の世界・・
そんな音だった
ほんの数分間聴いた後で、バカな私は141を手に取りアッテネーターのゲインを変えようと
ついアッテネーターをパチンと➖ドライバーで回してしまった
ぼっつ、
大音量と共に405のセンターキャップが破れて半分飛び出し
その音に驚いて何か線を引っ張ってしまい、その晩はそれであっけなく音出し終了
しかしプリアンプとして使えるかどうかよりも
その音付けアンプ、あの音色がプラスされるだけで十分価値のある物と分かった
ラインブスター?ってもしかして音彩付けのためのアンプ?
ウエスタンの真空管も使っていないのに
ものすごく濃いウエスタンサウンドが聞けるものが手に入った
しかも電源を入れてもかなり安価で仕上がりそうだ

やがてケースに入れて
足りない部品を付け足して、コンデンサーを少しカッコイイ部品に変えて

プリアンプで使うのだとボリュームによってずいぶん音が変わってしまうので
いろいろ試したが、A&Bの古いのが相性が良かった
真空管も6J7、6SN7共にいろいろ試した
勿論WEの球も含めて差し替えてみたが
音はいいんだがなんだか全体のバランスが崩れるような気がして
残念ながら元から付いていたこの安っぽい
RCAの6J7が一番音のまとまりが良かった
試行錯誤のうえ完成したのが、現在の私の141だ
このぱっと見はウエスタンの部品をあまり使っていない安っぽい141だが
音は素晴らしいですよ
音が良いといっても、
音の太さとか、ワイドレンジ感、奥行き感、音場感が良いとかは、
持ち合わせていません
繊細でピュアで、スピード感があり解像度は高いのですが
そんな言葉だけでは言い表せないものを持っています
それは
だた音が、声が楽器の音がいいんです、
しいて言えば彩りが良い?
うーん他にどう言えばいいんだろう、
やっぱり音が良いんです、説得力が凄いんです。
としか言いようがない
ウエスタンの音が好きな人はWE141の音色付けは他に得難いものじゃないかな
音で言えばもっと評価されていい
”WE618Bを取り出した後の脱け殻141”
安易にボリュウムを付けて使うのが正しいとは私も思いませんが
残念ながらこの音があまり評価されていないのが非常に残念です