牛壱日記

藤井陽一 ギタ-リスト

井上伸之

2008年03月30日 07時47分31秒 | Weblog


その日、工房に行くとノブは、

昨日から作り始めたドムを作ってました。
おつー ういーす
なんだよ、もうそんなにつくっちゃったの?
ドムやっぱ足でけーな、
ドム、かっけーーーー!あと2機つくんなきゃ、
やっぱモノアイLED入れようーぜ。

ノブと会ったのって何年前だろ?思い出せない。
知り合った時、最初の言葉ってなんだろ?思い出せない。
でも20年近くたちました。
当時スタジオの店員をしていたノブはいっつもカウンターの向こうで
ベースを弾いていた。

その日は前日にやり残したエフェクターボード用シールド作りを
欽ちゃんとやって、そのままリハに行く予定でした。
色々トラブルがあり、なかなか捗らない作業。
あーでもない、こーでもない、そんな横でノブは
作ったガンプラにポーズをつけていた。
へー、そんな関節まで動くの?すげーな今のプラモデルって。
ノブはドムの中指を立てて笑ってました。

そして何分か、、、私がチェックしてるボードをまたいで階段を下りていった。
トイレかな? 

それが、動いてるノブを見た最後でした。

あん時、もう苦しかったのかな?
俺のギターが爆音で鳴ってる時、助けを求めてたのかな?
怖かったかな、どんな事思ってたかな、
ごめんな、ほんとごめんな、
俺の事うらんでるかな?

俺、36歳の頃ってなにやってたかな?
何考えてたかな?

2~3日前、夢にノブが出てきてありがとうございますって、
言ったような気がした。
これも俺の贖罪の気持ちから来た勝手なる過去曲解なんだろか?
本当にノブは来たんだろうか?

ノブはいい奴でした。
いっつも助けてくれました。
いっつもどっか行くとお土産買ってきました。
24見ろと強制的にDVD置いていきました。
物凄い猫アレルギーなのに鼻がぐしょぐしょになりながら、
ずっと平蔵と遊んでくれました。
凛ちゃんの事を本当に大切に思ってました。
姪っ子の写真をいっつも見せてくれました。
こないだお父さんの御実家の米が旨いと言って持って来ました。
俺が仕事がいやでいやでもう音楽に絶望してた時にバンドに誘ってくれました。
ノブはいいベース弾きます。俺が言ってもなかなか信じませんでした。
仕事やめてもOVERSWAYはやっていこうとつい最近思ってました。
俺が仕事を止めても藤井さん昔は凄かったんだよって言ってくれると思ってました。
やつがいなくなるなんてこれっぽっちも思ってませんでした。


藤井さん、うちの近所に第二次大戦中に銃弾を受けた凄い建物があるんですよ。


物凄い満開の桜の中その建物はありました。

これかー たしかに凄いなー
ここでも空襲の時に沢山の人が死んだのかな?
人の天命とはいかなるものか?
今日の悲しい出来事とは裏腹に大勢の花見客が桜を愛で、
沢山の子供たちが公園で遊んでいた。
こんな光景がずっと続きますように。
世を儚んでない自分にちょっと安心した。


井上 伸之 Bass(OVERSWAY) 享年36歳

コメント (6)
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