ABE GUITARS

ギター・ウクレレ制作
フレット楽器全般 修理調整

グレーベン 修理を終えて

2009年07月19日 | ネック関連
グレーベンのネック作成を通して、改めて「いいギターとは何か?」を考えさせられました。
確かに、このグレーベンは、深く、いい音がします。それは、今の私の技量では到達できないレベルの音だと思います。しかし、初めにご説明したように、4年の間に数え切れないほどにフレットすり合わせやネックのヒーター修正を施し、フレット交換も一度は行っています。それでも、数か月すると状態が狂ってしまって、また修理調整する必要が生じていました。結局はどうしようもなくなって(本当に「弾けない状態」になって)ネック作成となったわけですが、いい音であっても「弾けない」状態では「ギターとしての存在意義」それ自体が無意味になってしまうのではないか?と思わざるをえませんでした。

果たして「いいギター」とは何なのか?
その答えは、究極的には「弾き手あるいは持ち主」が決めることであり「絶対的な価値判断は絶対に且つ永遠無窮」にあり得ません(パラドックス的な論調ですが)。しかし、(コレクターではなく)プレイヤーとしてギターに関わる以上は、音がよかろうが名前が知れていようが「弾けなければ意味がない」のは自明の理であり「最低限、弾ける体(てい)をなしているギターが『いいギター』たり得る大前提としての『絶対的な条件』だ」ということだけは確実に言える、と考えています。それは、声を大にして、とてつもなく大にして、どんな批判を受けようとも訴えたい!と、今回の修理を通し、制作・修理に携わる者の良心として、本当に、改めて、腹の底から、思いました。
「音」と「プレイアビリティ」の両立は、ギターという楽器の制作・修理に携わる以上は、それこそ永遠無窮に避けて通れない課題ということだけは確かだ、と実感した修理でした。

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