毎日着物で生活して早三年目。いつも「何故?本当に毎日なの?」と聞かれることも多いです。上司などは「本当なんだよ~」と援護射撃。ツレも子供たちも着物でいる事が当然という生活になりました。
何故って単に「着物が好きだから」というものと「着て行く場所がないというなら作ればいい」というもの。何も茶席や舞踊をしていなくても着物を着てかまわないでしょう?着てはいけない理由はないし。
改めて「どうして?」と考えるといくつかの理由はあると気が付きました。まずは文学です。泉鏡花や山本周五郎、司馬遼太郎などの歴史小説が好きなのです。これも親の影響です。漫画家の波津彬子さんが好きなので彼女の描く和服の女性の艶やかさにあこがれたというのも理由にあります。高畠画伯の絵も好きです。竹久夢二よりも好きですね。時代劇も好きだし、能楽も好き。歌舞伎もよく見に行きました。
何よりも親が着物を着る人であったという事が一番でしょう。仕事柄着ていることもあったし、華道茶道で着て行くことも多かったし、民謡を習っているのでそこでも着物は大活躍です。
中学のころには着物を一人で着る事が出来ましたが、お太鼓を結べるようになったのは25歳を過ぎてからです。
そうしているうちに例の「加湿機事件」が起こるわけです。
毎日着物を着る。こうなったら半分は意地もあるのですが、着るものもないので仕方ありません。何しろ洋服はスポーツのユニフォーム以外は捨ててしまったのです。数点残した洋服はカジュアルそのもの。コンビニやパチンコくらいにしか行けません。ゴミ捨てやガーデニングにも活躍します。さすがに和服だと草取りには向かないようです。結局はやってますが・・・。夏のサンドレスは残しました。旅行に行くのに必要だからです。おかげで骨折したこの夏は助かりました。
今回の旅行でも「本当に毎日なの?」「時間が大変だね」という言葉をかけられましたが、もう日々の生活において染みついた習慣なので今さら大変だと思う暇はありません。
家族を送り出し、朝食をとり、掃除洗濯といった家事をして、仕事を始める。この時に着替える訳です。
自宅の一部を会社の事務所として貸してるのでそこで仕事をします。ドア一枚なので気分を替えてしっかり仕事に向かうために敢えてきちんと着替える。一日中パジャマでも構わないというスタイルでは良い仕事は出来ない。自分に喝を入れるためにスーツじゃなく着物の帯を締める。そういう事です。
こうやって考えると大層な事をしているように聞こえるかもしれませんが、実は倹約家なだけです。この先何十年も下着以外は買わないでしょう。これは実に助かる。そしてこのまま三代目の姫に着物を譲っていける。すごい!
エコですよ。