グリーンブレーカーズ by 高木肥料店

農業の現場の おはなしなどなど。

農業の「6次産業化」でおこるリスクもある。

2012-11-15 14:34:58 | Weblog
農業の「6次産業化」でおこるリスクもある。

来年度農業予算で

 農家などが加工や流通事業に進出して収益化をはかる「6次産業化」に
 ついては、官民の「農林漁業成長産業化ファンド」(仮称)で支援。創
 設資金として300億円を計上された。


ということから、熱い注目を浴びる 「農業の6次産業化」ですが・・・
前回は、「しかし、6次産業化〔農商工連携も含めて〕の取り組みは、現時
点でさえ山ほどある」という現実を お知らせしました。 こちら 。

そして今回は、もう一歩踏み込んで、6次産業化でもっともありがちな

 農産物を食品加工をすることで利益率を高める

という6次産業化の最大のウリポイントを例にとって、発生しがちなリ
スクを考えてみることにいたしましょう。

たとえばですね、

 農産物を加工して販売していた漬物に異物が混入した

といったケースはどうでしょう。さらには

 製造販売した惣菜や、農家レストランで提供した食事が原因で食中
 毒事故が発生した


というようなケースはいかがでしょう。

そう・・・たしかに農産物を食品加工し販売することで、利益率はあが
るかもしれません。
しかし、食品加工し販売するということは、同時に農産物を販売してい
るだけではおこりえなかったリスクもまた発生する可能性もあるという
ことを考えておかねばならないということなのです。つまり

 ただの農産物の販売には適用されないけれど、
 農産物を加工した場合は「製造物責任法」が問われる


ということなる。6次産業化を計画するということは、こういった不慮
の事態が発生する場合を常に考えておかねばならない
ということでも
あるのです。

 メリットには、かならずデメリットがついてくる

ということですね〔ポツリヌス菌のケースもありましたよね〕。

そういったわけで、農業経営に対するわたくしなりのアドバイスなのです
が、なによりいいたいのは、利益率をあげる方法は農産物加工ばかりが
その方法ではない
ということです。

たとえば農産物の秀品率を上げることでもいい。農産物の糖度とか機能
性とかの品質面を向上させる事もそうでしょう。収穫量をあげるのもいい。
その地域における珍しい作物を作るという手もある。

そうすることで、6次産業化を計画したことによるデメリットに関係なく
できた農産物を 既存の食品業界に高く買い取ってもらうことでも
利益率を上げることは可能だということなのです。

いじょう、優れた農産物や人気のある農産物を作るという農業本来の営
業努力を積み重ねる
こともまた、〔より簡単に〕利益率をあげる方法だ
というおはなしでした。。


◎ たとえば果樹経営の話しです。
  高値が期待できるからと、全国で一斉に“早生”“極早生”品種を奨励
  しちゃったら、“晩生”の生産量が少なくなりすぎて、結果 晩生のほ
  うの価格が上がっちゃったなんて話は 農業界では ごろごろ。

51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg 「夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染




農業の「6次産業化」が全国で話題になっていますが。

2012-11-15 09:25:54 | Weblog
農業の「6次産業化」が全国で話題になっていますが。


いまや すき家、松屋、吉野家。さらには、マクドナルドや餃子の王将、
サイゼリヤといった「デフレの勝ち組」でさえ減益しているというご時世。
そんな経済状況のなかにあるいま、これからの「6次産業化」について
どう思うかとのご質問を受けたもので、当ブログ2月分記事の再掲載で
す。よろしかったらご参考に。

 ↓

来年度農業予算で

 農家などが加工や流通事業に進出して収益化をはかる「6次産業化」に
 ついては、官民の「農林漁業成長産業化ファンド」(仮称)で支援。創
 設資金として300億円を計上された。


ということで、脚光を浴びているのが、いわゆる「農業の6次産業化」で
す。しかし、現場にいるものとして気になるのは、

 ● 「農業の6次産業化」にさえ取り組めば成功する

といった〔威勢の良すぎるとおもわざるをえないような〕論調です。これまで
まるで「農業の6次産業化」がいっさいおこなわれてこなかったと思わざ
るをえないような論調です。

ここに農水省が昨年の11月に発表した「全国の農協」や「農業経営体」
が運営する農産加工場の2009年度調査結果のニュースがあるのですが・・・


 加工場 記事.jpg

いちおう全国の農産か工場の数は2009年時点で


27231ヶ所あることになっています。 既に多いって。.jpg


わかりやすいように言わせていただくとすればですね・・・・

 現時点でさえ6次産業化〔農商工連携も含めて〕の取り組みは、山ほど
 ある。


といわざるを得ないというのが正直なところではないかと思えるんですよ。
これに「全国の農協」や「農業経営体」以外の、農産物加工を生業とする
一般企業も存在する
わけですから。。

と、いったわけで、これから6次産業化に取り組もうかと考えておられる
方への、わたくしなりのアドバイスなのですが

  市場ニーズがあるのかどうか
  よその商品やほかの企業に勝る部分はどこにあるのか

を、よくよく考えられたうえで行動を起こされてくださいね、資金を借りるう
えで利用する金融機関や行政の担当者などの第三者の視点もしっかり
と取り入れられて
くださいね、

ということです。


◎ 本業が赤字だから起死回生で6次産業化だっ・・・というよりも、
  本業に余力があるから6次産業化でも・・・というほうがベターかなと、
  そう思います。

  
51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg 「夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染