グリーンブレーカーズ by 高木肥料店

農業の現場の おはなしなどなど。

まるで忘れさせられたかのような病害。vol.3。

2016-01-07 22:20:45 | Weblog
まるで忘れさせられたかのような病害。vol.3。

現状よりも、さらに食糧輸入が増えることになるとまずはこんな弊害もで
てくるのではないかという回を、再録することにいたしました。もともと
は国内のリサイクル農業推進に対する疑問点をとりあげた2007年から
2009年にかけての回だったのですが、よろしかったら ご参考に。
一回目は こちら。二回目は こちら 。

 ↓

『生ゴミリサイクル肥料は手放しで安全なのか。』

輸入食料の違反食品についての参考記事です。生ゴミたい肥料の安全性を
危惧する理由のひとつでもあります。こういう研究も在るということで。


■ ニッポン消費者新聞 第775号 平成20年5月1日

中国製ばかりが危険というわけではない。06年度、違反の発生率が高かっ
た国は、エクアドル(27%)、ガーナ(18%)、フィリピン(2.06%)、
インド(1.45%)、米(1.32%)の順になる。中国は0.58%。中国が残
留農薬や食品添加物、微生物汚染での違反が多いのに比べ、他の国、特に
米国はトウモロコシのカビ毒であるアフラトキシン汚染が圧倒的に多い。
米国からのトウモロコシは、06年に約15万tが積み戻しになった。 米国
産のトウモロコシでアフラトキシン汚染が多い理由を農学博士の藤田哲さ
んは「管理がよくない。日本はトウモロコシを輸入するときは家畜のエサ
として輸入することが多い。だから管理が行き届かなくなる」とする。
また、「トウモロコシからデンプンをとって人間の食用に利用する場合が
ある」という。


■ 人民網日本語版2007-09-18 違反輸入食品輸出国について

日本の朝日新聞社が発行する週刊誌「アエラ」はこのほど、日本に輸出さ
れた食品の国別基準超過率ランキングを発表した。それによると、米国、
オランダ、イタリア、オーストラリアなどの国・地域の基準超過率はいず
れも中国(大陸部のみ。以下同)を上回った。中国の超過率は0.58%で、
37カ国・地域中23位となり、米国の11位(1.32%)を大きく下回った。
2006年度の日本の厚生労働省の輸入食品モニタリング統計データに基づ
いて、主要輸入国の輸入申告数、基準超過数、基準超過率のランキングを
作成すると、基準超過数は中国が530件で1位、米国が239件で2位だった
が、基準超過率では中国は23位、米国は11位となって逆転した。
記事に引かれた国際農業問題を専門とする九州大学の甲斐諭教授の話によ
ると、先進国にも食品の安全性に関する問題は多く存在する。米国を含む
多くの先進国は海外への食品輸出に際し、長期の輸送に耐えるため多量の
薬品を使用している。先進国産食品に含まれる化合物の問題も深刻だ。
こうした問題は往々にして日本の検疫の通関検査で見過ごされ、問題ある
食品が日本市場に入り込んでいるとしている。


さて、そして いかがでしょう。

個人的には思うのです。食料の60%を海外から輸入される食品に依存す
るわが国の悲しい現実がここにあると。
そして 生ゴミのリサイクルです。輸入食品が6割ある現状で、上記の食
料の残滓から[安心・安全だといわれて]作られる生ゴミ肥料は、本当に
手放しで安全だといえるのでしょうか。

“食料輸入のほとんど無かった時代の有機栽培”と、“現在の日本の姿であ
る世界有数の食料輸入国でおこなわれている 生ゴミなどから作られたリサ
イクル肥料を主体とした有機栽培”とを、同一視することには大きな問題が
あると思われてなりません。


◎ 生物濃縮されていくというレイチェル・カーソンの『沈黙の春』
  の思想。それは この場面でこそ考えられるべきなのではないでしょうか。

51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg 「夢で終らせない農業起業」「 本当は危ない有機野菜









まるで忘れさせられたかのような病害。vol.1。

2016-01-07 17:00:50 | Weblog
まるで忘れさせられたかのような病害。vol.1。

「牛丼が安くなるかもしれません」と、これは19時のニュースの冒頭で
武田さんが発した言葉。そう、これは2015年10月06日にTPPの
閣僚会合が大筋合意したことを伝える枕詞であったのです。
正直いって、びっくりしました。まだこれから各国での国会承認が必要だ
というのに[こんな偏向ともいいうる]報道の仕方でいいのだろうか、と
個人的に思ってしまいました。と、いうことで、大量の食糧輸入が増える
ことになるとまずはこんな弊害もでてくるのではないかという回を、再録
することにいたしました。もともとは国内のリサイクル農業推進に対する
疑問点をとりあげた2007年から2009年にかけての回だったのです
が、よろしかったらご参考に。

 ↓


『農場の静かな殺し屋。』

「農場の静かな殺し屋」・・・と、米国で怖れられている脅威があります。
目にも見えず、匂いも出さず、不意にやってきては家畜に多大なダメージ
を与え、畜産経営の見えない敵となっている「農場の静かな殺し屋」。

その正体はいったいなんなのでしょう。こう書けば、たとえばそれは・・・

闇夜にやってきて獲物は眠っている家畜に近づき、剃刀のような前歯で血
管を一瞬に切断し、傷口から流れ出る血液をなめとるチスイコウモリをお
もわれる方がいるかもしれません。あるいは[わたしを含めた/笑]UMA
ファンならば、首周辺に2~4箇所の傷を残して吸血するというあのチュ
パカブラ
では?なんておもってしまう人もいるかもしれません。

しかし、やつらではありません。

 それでは未知の病原菌?
 抗生物質の乱用から生まれた耐性菌?
 知らぬまに蓄積された化学物質?


などと続けて想像しがちになりますが、いや、それらでもないんです。す
るといったい静かな殺し屋の正体とは、いったい何者なのでしょう。

じつは 不意にやってきては家畜に免疫力の低下や重度の障害を引き起こ
させ、ときには流産や重度の体調不良状態を招く「農場の静かな殺し屋」
の正体とは・・・

それは、

 家畜の餌のなかのカビ繁殖によって生成される毒素であるカビ毒

なのです。

このカビ毒、じつに300種[400種説もあるんですよ!〕以上が知ら
れ、たとえば家畜に現れる症状でいえば

 下痢・重度の食欲不振・低体温・流涎・瞼の腫れ

といった症状からはじまり、そのあと

 軟らかい便・繁殖性低下・毛のツヤがなくなる・乳量減

といった症状をひきおこしてゆくのです。

たとえばそれらのカビとカビ毒の代表的な名前とそのもたらす影響は

  ゼアラレノン/ZEN・・・・・・・繁殖毒・胚芽死・流産
  デオキシニバレノール/DON・・・腸炎・下痢
  アフラトキシン/AFB1 ・・・・ 肝臓毒・腎臓毒・免疫低下 

といったものがよく知られています。そしてここからがより重大な話にな
ってくるのですが・・・マイコトキシンと呼ばれるこれらのカビ毒、もち
ろんヒトにも有害です(肉製品や乳製品を経由してヒトにも影響がでる場
合ももちろんアリ
)。


◎ 最近では、とくにヒトに対する影響が故意にわすれるよ
  うに仕組まれているような印象さえ受けるカビ毒ですが、
  農業の現場ではとくに麦の栽培中や貯蔵の段階での注意
  がはらわれているという現実があります。こちら

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