グリーンブレーカーズ by 高木肥料店

農業の現場の おはなしなどなど。

イネが“水稲”とよばれる理由〔わけ〕。

2019-04-18 11:35:18 | Weblog
イネが“水稲”とよばれる理由〔わけ〕。K

昨夜も 田んぼのカエルの鳴き声が沈黙していた宮崎県海岸部地方。
朝晩が冷え込む気象が続きがちの天気です。ということで、前回の
参考資料として、稲の水管理についてのおはなしとなります。
よろしかったら。

 ↓

『イネが“水稲”とよばれる理由〔わけ〕。』

田植えをされたイネの株が水田に根をおろし始めることを、“イネが
活着する時期”といいます。そしてこのイネの根が活発に動き始める
のに必要な気温


 最低でも20度以上。できれば 25~30度ほしい

という、もともと熱帯の植物としてのイネの特性が、まずはあります。

そしてそのような

 イネは熱帯原産の作物 なのだな

という、イネの姿をイメージしつつ、

「西日本の早場米地方の、とくに南九州では、3月中下旬はイネを
 田植えし、7月末から8月上旬にかけてイネ刈りをするんですよ。」

というような早場米栽培に関する話しをした場合に、農業関係者以外
の方々や 農業関係者であっても〔西日本の気候を体感されたことの
ない
〕東日本の方々の脳裏には、

 3月に田植するとは 
  日本はひろいものだなぁ、それほど西日本は暖かいのだなぁ

などと かんじられる方が多いのではないでしょうか。〔わたくしの体験
からいえば
〕そう感じるのです。

しかし、現実はちがいます。

たとえば、まとまった量が生産されるの早場米産地の代表地ともい
える宮崎県平野部の2013年3月の気温は


 月日  23日 24日 25日 26日 27日 28日  
 最高  20度 18度 20度 17度 19度 21度
 最低  10度 11度 07度 06度 08度 11度


と、いった程度でしかないなのです〔例年では最低気温がマイナスになる
こともあります
〕。そこには

 早場米地帯であっても、暖かいわけでは けしてない

という現実があります。

ではなぜ、3月20日や それよりも早くに田植えされている南九
州の水田のイネの苗が順調に育っていくのでしょうか。

その理由ですが・・・それはたくさんの先人達が集積してくださった
栽培技術
 にあります。

  田植前の 健康で丈夫な苗を育てる技術
  それぞれの水田の性質や、栄養状態に適合した施肥技術

そして なによりも、

 ● 早めに田の準備をして水をいれ、田植時の水温を上げておく
 ● 風のない、晴天の日を選んで田植えをする
 ● 田植後、気温があがる日中には田の水を浅くして水温をあげる
 ● 低温が予想される場合には田の水を深くして、苗を寒さから守る

などといった、田植え後の水田の水の深さや温度を調節する技術の存
在があるからなのです。

このような栽培管理、なかでも〔葉枯れや枯死を防ぐのに最も効果
的な
〕イナ作における田での水の駆け引き をみるにつけ、

 イネを 稲 とよんできた先人たちは さすがなものだな

と、おもわずにはおれない自分に気づかされるのです。

そして本年。昨年よりもぐっと冷え込んでいる2014年ではあり
ますが、早い方では例年どうりに 3月15日には田植されるとい
うことです〔3月11日朝には平野部でも結氷したのですけれど〕。


晴れ 「東北で田植えがおこなわれる5月中下旬に25度以上の気温に
  なることは少ない
」などといった話しも耳にします。ということ
  は・・・・最高気温が20度に届かない早場米地帯の3月中旬の田植えは、
  東北よりももっと寒い地方の田植えに匹敵する作型であるともいえます。。

51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染」​