渋柿もつかる温泉。
次回関連で過去分ですが、よろしかったら。
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柿を食べたいのならなら甘柿を植えれば済むことなのに、では
どうしてわざわざ渋いカキが植えられているのでしょう。
その理由は・・・実が渋いということを利用して柿の実を動物
たちに食べられてしまうことを防いできたなごりからだといわ
れています。そうシブくてたべることをあきらめた動物たちと
ちがって、ヒトには古来よりいろいろな渋抜き法を開発してき
た歴史があるのです。
そんなカキの渋みを抜く脱渋ですが・・・
日本でもっともおこなわれている脱渋は、柿の実を酸欠状態に
置くことで渋を抜く方法ですね。
もっともポピュラーなのが焼酎を使ったやりかたですが
焼酎に柿を浸します。その柿をヘタを上にして新聞紙を
敷きつめたダンボ―ルの中に詰め、その後ダンボ―ル箱
をクラフトテ―プで目張りして、7日後に開封
みたいな手順です。これで渋みが抜けるのですから[甘ガキを
植えて毎日毎夜鳥獣たちとの頭と体を使ったバトルを繰り広げ
る苦労を考えれば]ほんとうにお手軽な方法です。
まあ原理としては、カキの実をただ酸欠状態におけば脱渋する
のですから、アルコールを使う方法だけではなく過去からいろ
いろな方法がいろいろな場所で試まれてきたわけで・・私が見
聞きした変ったところではたとえば
■ 庭先に柿を埋めて凍結させる[寒い地方ですね]
■ 生石灰を水で溶き、柿を入れた箱にいれ、その後密閉
■ 太目の竹に柿を詰め竹の筒の中に線香の束を入れて密封
■ 乾燥機で25度程度に加熱・乾燥させる[時間は不明]
■ 皮を剥いて軒先などに吊るして寒風にさらす[干柿?笑]
といった方法などもあるのだそうです。そしてもうひとつ。今
回ご紹介する極めつけの[ある意味霊験あらたかな]脱渋の方
法が、温泉に漬けることで渋みを抜くという脱渋方法です。
実際にこの渋抜きがおこなわれているのは開湯して800年と
いわれる鹿児島県の紫尾温泉。毎年10月になるとおこなわれ
ている方法で、この神社では脱渋する行為を「あおし」、脱渋
された柿を「あおし柿」という呼び方でよばれていますよ。
しぶ柿を専用温泉浴槽に一晩浸しておくと、それだけで翌朝に
は渋みがとれて独特の甘さと色つやを持った柿に変身する
というのですから、うらやましいかぎり。さすがに紫尾神社の
拝殿下から原泉が湧き出でている温泉、通称「神の湯」とも呼
ばれているのもわかる気がします。ちなみに紫尾温泉、泉質は
単純硫黄泉なのだそうです。
ということで今回は、いま食べごろの日本の秋の風物誌である
カキ、その柿の脱渋についてのおはなしでした。
温泉にユズやショウブはつきものですが、さすがに柿が
つけられている風景にはびっくりしました。秋の鹿児島
にいかれたおりにはご覧になるのもいいかも。
「夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染」