2017年09月15日分ですが、次回資料分として再掲載です。
前回分の『日本政府の取組み』と併せて よろしかったら。
↓
『薬剤耐性菌の広がる経緯。』
本年7月14日に新聞各紙に掲載された『飼料抗菌薬2種禁止・
耐性菌の人体影響懸念』という記事をご覧になった方も多いか
と思います。
ここでもういちどその記事の内容を要約すると・・・
「家畜の成長を促進させるため、飼料に混ぜて使うことが認め
られているコリスチンなど2種類の抗菌薬について、農林水
産省が飼料添加物としての指定を取り消し、使用を禁止する
方針を固めたことが13日、分かった。薬の効かない薬剤耐
性菌が家畜の体内で発生し、食品や環境を介して人に感染し
健康に悪影響が出るリスクが無視できないと判断した。
耐性菌による死者は、世界で年間70万人に上るとの試算も
あり、2016年の伊勢志摩サミットで各国は原因となる抗
菌薬の適切な使用を進めることに合意した。日本での禁止は
合意後初めて。審議会での検討を経て、本年度中にも正式に
決める。」
というものでしたが、その記事の内容をわかりやすく図示した
ものが こちら ↓ 。
あらためてこの図を見ると、抗生物質の効かない薬剤耐性菌
が家畜の体内で発生し、食品や環境を介して人に感染し健康
に悪影響が出る経緯がよく表現できているなぁと思います。
しかし。このニュースの掲載時には、なぜか大部分の新聞は
この図を使用せずに、薬剤耐性菌そのものの顕微鏡写真を付
記していた。そこで、前回のオランダの取り組み[こちら]
と併せて、今回あらためて添付した次第です。
・・・そして、今回の図と農水省の新聞発表をここであらた
めて読みなおして特筆すべきなのは、
耐性菌に感染した患者を治療するときに医師が頼りにする
最強の抗生物質であり・既存の薬が効かない感染症への最
終手段として、いわゆる「最後の砦」として使われてきた
コリスチン
が、飼料添加物のひとつとしてある意味当然のこととして畜
産業の業界のなかで使用されつづけてきたということ。この
事実でしょう。
日本でさえこのような状態なのですから、2015年にはじ
めてコリスチン耐性を持つ細菌が中国で発見されたのを皮切
りに、その後は検査するたびにつぎつぎにヨーロッパやアジ
ア・アフリカなどの世界各地でみつかっていったのも、いま
となっては必然であった気がしますよね。
その事実を鑑みれば、2016年の伊勢志摩サミットでこの
耐性菌問題が議題のひとつとされ、そして審議の結果として
参加各国の首脳が
原因となる抗菌薬の適切な使用を進めることに合意
したというのも[その危機感が]わかる気がします。
とにもかくにも、最初の一歩。人間に使われる抗生剤よりも
動物に使われる抗生剤のほうが多いとされている日本に住む
いち市民の立場としては、これを皮切りに政府には耐性菌の
リスクを少しでも減らしてく努力をつづけていってほしいな
と、いまつよく思います。
ちなみに中国で2015年にはじめてコリスチン耐性
を持つ細菌が発見されたのは、じつは養豚場であった
とのことですね。
「夢で終らせない農業起業」「本当は危ない有機野菜」