マダニにも天敵がいるのだけれど。
2018年6月に森林総合研究所が発表し、新聞などのマスコミで
大大的に報道された オオヤドリカニムシ。
カニムシの仲間で、身体のわりにでかすぎると思える巨大なハサミ
をもった頼もしいお姿がこちらです。 ↓
オオヤドリカニムシ(体長5mm)
じつに強そうですよね。
なんだか鋼鉄の塊というかんじの風情で、そのルックスは まるで
鉄人28号にでてくる敵役のロボットにもみえちゃったりする頼も
しさ。このハサミでコナダニやマダニを捕まえ、体液を吸い取って
食べてしまうということなので、とくにマダニ被害の著しい宮崎に
おいて 将来的に対マダニ用の切り札的な生物農薬 になってくれ
ないかなぁと、おおいに期待しています。
そして。
なってくれないかなぁ・・・と未来形で上記したのには、理由が
あります。そのひとつは、オオヤドリカニムシの生育分布。報道
ではとりあげられていなかったのですが、じつは北海道から本州
までに生息しているらしいとのことで、九州には仮にいたとして
も数が少ないこと。
そしてもうひとつが、オオヤドリカニムシの生活圏[生育方法]。
オオヤドリカニムシは、生物多様性の豊かな森林[ドングリなど
の餌が豊富にある環境ですね]に住む野ネズミといっしょに生活
しているらしいのです[おそらくは共生関係]。そうなると・・
森林の占める割合は多いものの、そのうちの人工林の割合が異常
に多い傾向[ほぼ全国平均の倍]にある宮崎県は、野ネズミやオ
オヤドリカニムシにとって なかなか生活しにくい環境であると
いうしかないのですね、これが。
したがっていまや県民病になったともいえるSFTS[こちら]
を媒介するマダニの数を減らすためには、
● 人工的に増やしたオオヤドリカニムシを自然に放す
● 生物多様性の豊かな森林である広葉樹林を増やしていく
という 短期的と長期的な二つの施策を 同時に進めていくの
が ベストなやり方。
なかなか一筋縄ではいかないとは思いますが、なんといっても
SFTSに効くワクチンがないのが現状という厳しい現実があ
るのですから、できることはなんでもやっていくということが
必要なのではないでしょうか。そう思います。
ということで今回は マダニの天敵であるオオヤドリカニムシ
のご紹介と、その天敵を活かした対策[野ネズミに乗ったカニ
ムシ類 VS野生動物に乗ったマダニ/こちら]に ついての
おはなしでした。
悲しい話ではありますが・・・ 結局のところマダニ
被害の拡大は無節操な人工林拡大による人災であるとも
いえるわけですよね、実際には。
「夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染」